そのまんまロングロングロング日記 修学旅行編
すごい長いです。一気に4日分だけど、全部読んで欲しいです。私の恋の結末、かな。
■ 23日火曜日
出発の日。空港で荷物検査をするとき、あの人がブレザー着ていないことに
ずっとずっとドキドキしてた。旅行先が沖縄だから、みんなみんなブレザーは
持ってきていない。みんな着ていないのに、あの人が一番カッコ良く見える。
絶対絶対、素敵な旅行になるといいなって思った。空港のロビーでみんなワク
ワク。遠くのソファで友達くんたちと座ってるあの人を見つけた。わー、いた。
すごーく遠いのに、あの人のことはハッキリわかるんだ。搭乗するとき、2列に
並ぶ。横にいたウメさんがあの人の声マネをしながら『わーイケダさんカワイイ』
とか、『俺のあげた犬持ってきてくれてるんだー嬉しい』とかって言うもんだから
みんなで大笑いしてた。ウメさんは私をよくからかう。でもそれがとても楽しくて
いつも本当にそうなったらいいのになってことをたくさん言ってくれるんだ。
そう。私はあの人からもらったワンちゃんを持ってきた。ちょっとだけ、気づいて欲
しくて。私が冗談ってわかってても、笑い話ってわかってても、ウメさんのことばに
キャーキャー言いながら顔を真っ赤にしてぐるぐる回ってる私を見ながら、ウメさん
アネゴ、ちょぴん、たにーが笑ってくれた。そう言ってくれたらいいのにな。

飛行機が離陸した瞬間、拍手と歓声がドッてした。わー田舎モノ丸だしだぁ。でも
そんなうちの高校のみんなが好き。飛行機はたくさん乗ったことあるけどみんなと
キャーキャー言いながら乗る飛行機が今まで乗った中で一番楽しかった。あの人
は私よりも後ろのほうの席。でも声は大きくて聞こえるから全然平気だった。
飛行機の中ではゆきちゃんとはねちとUNOをしたり、ウメさん、ゆかりっち、ふじこ
とババ抜き&ジジ抜きをしたり、必死で日焼け止めクリーム塗りまくったりした。
沖縄はどんな暑さなんだろう。みんなワクワクドキドキしてた。ドキドキしてた。
地図を見ているくらい海にはグラデーションがかかってて、すごく感動した。
早く泳ぎたいねーってみんな言ってた。修学旅行、楽しみになって来たぞ。

沖縄はやっぱり暑くて、夏だった。半袖でも充分すぎるくらい暑かった。暑い!
空港からバスへ向かう途中、後ろを歩いてた友達くんが私のバックについている
あの人からもらったワンちゃんを見て、『なー、これって馬なん?犬なん?』って
タケワっちと話してた。え、ちょっと待って。犬、なんだけど、振りかえれない。
友達くんとタケワっちのすぐ後ろにはあの人がいたから。わーわーわー!!ねぇ。
答えたくても答えれなかったから、友達くんの声が聞こえないフリした。ごめん。

お昼はソーキそばだった。お店に入ってみんなで並んで食べた。並ぶときあの人
と向かい合わせになるような感じになった。(といっても間に2列あったけど)
わーわー、初めから私って何て幸せなんだろうって思った。目が合った。わわ!!
あの人のことばかり気にしてたら食べるのがクラスの中で最後になってしまって
でも私は残すのはキライだからがんばって食べた。ふやふやになったカキアゲを
食べてたら有馬ちゃんとキエちゃんが『ごっちは頑張り屋さんやのー、そんな
ごっちが大好きやよ』って言ってくれた。何だか妙に嬉しかった。

平和記念公園の資料館みたいなところを自由に見学しているとき、私はウメさんと
アネゴと一緒にいて、あの人は友達くんといた。洞窟みたいなところへ入るとき
あの人たちの後ろにいる形になった。ウメさんが『あv』って言って、私もわーって
思った。嬉しい顔を上手く隠せなくて下を向いてたらあの人が洞窟に入る寸前に
横のほうにいたFくんのほうへ行ってしまった。『え?!』と、友達くん。私もショック
だった。避けられたのかも。友達くんはそのまま私たちの前にいた。ウメさんが友
達くんに『何であんただけここにおるんよー』って言った。『え?!』と、友達くん。
見学が終わってロビーみたいなところでみんなが揃うのを待ってたとき、ソファに
座っているあの人と目が合った。わわわ。ドキドキした。

夜は国際通りで自由行動。さとぴーとトンピとミキちゃんと一緒にいた。この4人で
いると、すごーくのんびりした気分になれる。たくさんのお土産屋さんの前を通り、
何度も何度もあの人を探した。向こう側の歩道にいたときは車を気にせず走り出し
たいくらいだった。でも、あんまり会うことはなかった。
夕飯は沖縄料理にしようねって言ってたけど、時間がないので近くのピエトロで
すますことに。こんなところに来てまでピエトロ行かなくてもいいんだけど、ね。
横のテーブルに座っていた女の子3人が話しかけてきてくれて、友達になった。
ときどき沖縄の方言が混じるのか、聞き取れない言葉もあったけど、大丈夫。
どうやら同い年みたいで、プリクラ交換したり、一緒に写真を撮ったりした。わ。
時間があったらもっとお話したかったのにな。もっと仲良くなりたかったのに。

ホテルではウメさんとアネゴと一緒の部屋になった。ウメさんが『なー、ごっち。
今日中にあの人のアドレス聞こうでー!!じゃないとアタシが聞いちゃうよん。』と。
私は恥ずかしくってずっと『イヤーイヤー!!』って叫んでた。今更アドレス聞いても
バレちゃうから、どうせだったら好きですって言いたいって思った。私があまりにも
アドレスを聞くことを恥ずかしがっていたのでウメさんが『じゃー長尾くんに協力し
てもらおうよー!!決まりッ!!』と言って長尾くんに『ごっちが○○くんのこと好きなこ
知っとん?』とメールした。長尾くんとは"友達くん"です。そのメールを送信すると
きも、私が『長尾くんにバレるやんー!!』って言いながらウメさんに送信させないよ
うに、部屋中を走り回った。でも、本当のところ少しドキドキしてた。やっと、私の
恋が進み出しているのかもしれない。ドキドキしてた。
『あーなんとなく知っとった^□^どしたん?』と返信があった。わわわわわ!!
やっぱり知ってたんだ。わわわ。すぐにウメさんから長尾くんのアドレスを聞いて
相談を持ちかけた。長尾くんはあの人と同じ部屋だから、すごーく羨ましい。
20通くらいメールした。私が告ったらヤバイかなって言ったら絶対OKやって!!
って言ってくれた。ほんと?ほんと?最後に私が『あの人にオヤスミって大きな声
で言ってね。うちの分も込めて。笑』って送ったら、言ってくれたみたい。わわ。
オヤスミなさい、あの人くん。部屋で『大好きだー!!!』って叫んだ。大好きだー。

■ 24日水曜日
今日はいろんなところを見学する。旧海軍指令壕の見学のとき、ウメさんと一緒に
回ってたら、後ろにあの人と長尾くん(友達くん)が来た。ずーっと一緒だった。
長尾くんが私を見てニカーってした。わ、長尾くんナイス!!ウメさんがキャーキャー
言ってた。もう、みんなバレちゃうって。そう小さな声で言うと『バレてるって!!』
って、大きな声でウメさんが笑う。わーわー!!バレちゃう。
ひめゆりの塔でも東南植物楽園でも長尾くんがナイスだった。ひめゆりの塔では
あの人がずっと資料を真剣に読んでいた。他の男子の中にはさっさと出口のほう
へ行ってしまう人もいるのに、あの人はやっぱりいいなぁ、と思った。
植物園でウメさんが『長尾くんー、写真撮って!!』とカメラを渡した。長尾くんの隣
にいたあの人はスタスタと通りすぎてしまった。避けられてるのかな。うー…。
万座毛は少し雨が降っていて、気分的にも少しブルーだった。でも芝生がすごく
キレイなことや、崖のすごさにビックリした。崖を見たとき『リポビタンDのCMに
出てきそうじゃない??』ってアネゴに言うと周りにいたミキちゃんたちがぶはって
吹き出した。みんなそうそうー、そんな感じやねッって言ってくれた。でしょ。
そんな風に笑ってたら後ろにあの人と長尾くんがいた。どわー!!変なお話してる
ときにっ!!聞こえてませんように、聞こえてませんように。

夕飯はバイキング。円テーブルに座るときあの人が見えるように座った。わわ。
あの人の私服はカッコイイ。私の私服、変じゃないかなぁ。ドッキドキドキ。
食べてるとき、あの人と何度も目が合った。わー、嬉しいよ〜!!あの人は手で口と
鼻を覆ってた。ひゃー、嬉しいよ。私たちが写真の取り合いっこしてたら、ウメさん
が『あの人こっち見よったでー!!!』って。えええ。わーわーわー。
夕飯が終わってホテルの売店にいた。『あの人おらんかなー』ってタエちゃんの肩
に頭を乗せてボーっとしてたらあの人と長尾くんたちもいた。タエちゃんが
『今や、ごっちー!!告ってこいッ!!』って言った。どええ。い、今?長尾くんも横目で
こっちを気にしながら何か言いた気な顔してる。どうしよう、どうしよう!!そんな風
に考えてたら、あの人たちは帰ってしまった。ふー。うー。言えなかった。

その夜、長尾くんに電話した。長尾くんは『ちょっと待ってネ』と言ってトイレに入っ
て、声が聞こえないようにしてくれた。ぶぶぶ。長尾くんに『友達に告るより先に
アドレス聞いたほうがいいんと違う?って言われるんよー』って言った。長尾くんも
『賛成。そのほうがよくない?』って言った。でも私は告白のがいいと思った。
『長尾くんは女の子からいきなりアドレス聞かれるのと、告白されるの、どっちが
嬉しいんよー??』って聞いたら『告白。笑』って言ってた。矛盾してるや。
長尾くんは呼び出すのは任せてなって言ってくれた。ありがとう。あの人は明日が
誕生日。でも気持ちが何となく今日伝えたがっている気がした。私がどうしよう、
どうしようって言っていると『あー、明日にしとく?明日はあいつの誕生日やし、
最後の夜やし、何かシュチュエーション的にもいい感じやし、今日1日ゆっくり
考えれるやろ。』って言ってくれた。わ。長尾くんいい人!!横にいたタエちゃんと
アネゴが『わわー!!私長尾くんにしちゃおっかな。笑』って言った。ちょうど12時を
回ったところだったので『おめでとうメール送ってあげてね。私の分も込めて。笑』
って言った。今日はあの人と長尾くん、違う部屋みたいだから。私の気持ち、伝わ
りますように。長尾くんはメール送ってくれたみたい。よかったぁ。
『ほんまがんばっての!ごっつ応援しよるよ(ピースの絵文字)』って電話が終わ
ってからメールが来た。タエちゃんとアネゴはもう長尾くんに夢中だった。

その日は2時過ぎまでウメさん、アネゴ、タエちゃんと恋バナしてた。ウメさんの
大人な恋愛話にみんなキャーキャー言いながら、ずーっとお話した。楽しかった。
『ごっちもあの人と付き合うことになったらこんなことできるんでッ』ってウメさん。
みんなが応援してくれているから、絶対絶対がんばらなくちゃなって思った。

■ 25日木曜日 あの人の誕生日
ドキドキの1日が始まった。朝食はコース別体験学習のコース別だったから
あの人と違う時間帯になってしまったけど、朝食会場へ向かう途中に廊下で
タケワっちとあの人とすれ違う形になった。見つけた瞬間嬉しくて、わーって感じ
で、でもやっぱり恥ずかしくて下を向いてしまった。でも今日はずっと見られてた。
え、え、って思うくらい視線を感じて、見上げるとやっぱり目が合った。わー!!!

朝はバナナボートに乗ったり、プールで泳いだり、と沖縄の夏(?)を楽しんだ。
さとぴーや上野ちゃんに、『今日告白するつもりなんだ』って話した。わわわ。
みんな頑張れーって言ってくれた。頑張る。絶対絶対、伝えるよ。
クラスが違うからこの何日かあんまり会ってなかったあゆみちゃんとは午前中、
海で遊ぶのが一緒だったから、ずーっとお話ししてた。伝えるよ。頑張る。
昼食のとき、菊さんや杉ちゃんに告白するよって伝えた。杉ちゃんは『キャー!!
いよいよだねっ!!バリバリ応援しとるけんッ!!』って言ってくれた。菊さんはギュー
ってパワーをくれた。こんなにたくさんの人に宣言しちゃったんだから言わなくちゃ
って思った。カレーを食べ終わって部屋に戻るとタケワっちからメールが来てて、
『がんばりよー、俺は応援しとるから』って。そう言えばタケワっちにも言ったん
だった。もう、朝からどれだけの人に言ったのかわからないくらい、みんなに宣言
したんだ。今までたくさんの人に応援して見守ってきてくれた分、宣言したんだ。

さとぴー、ちょぴん、ジャスミンの部屋でバスの時間が来るまでお話した。
ずーっと私がドキドキ止まらないお話を聞いてくれた。体育であの人と同じサッカ
ーだと知って、何だか嬉しい自分がいたって言ったら『カワイイー!!!』って言って
くれた。きっとそれが気になりだした日。それからこんな風にして友達に気になる
ことを言えば言うほど好きになっていくことや、好きになりすぎてアドレスも聞けな
いことも話した。自分が話しているのに、こんなにあの人のことを好きなんだって
私が一番教えられたような気がした。今日は絶対頑張らなくちゃ。

バスの時間が来たので、急いで自分の部屋に戻るとウメさん、アネゴ、タエちゃん
が部屋にいた。私はタオルとカメラをかばんから取って『今日がんばるけん!!』と
言い、すぐに部屋を出た。みんなから返事がなかったけど、気にしないでいた。

カヌーは楽しかった。さとぴーといろんなマングローブにぶつかった。わー!!
でもすごーく楽しかった。ライバルちゃんのいるグループの子たちが写真を撮るの
に悪戦苦闘していたから、『ええよー、撮ってあげるよっ』って言って撮ってあげ
た。ライバルちゃんにじっと見られた気がしたけど、気づかないフリをした。

カヌーですっかり川臭くなってしまって、こんなのじゃ告白できないよーって思った
から、ホテルに戻って夕飯までの45分間でシャワーを浴びることにした。『ただい
ま』って部屋に戻り、タオルと着替えを取りながらタエちゃんに『川臭くなったけん
シャワー浴びないかんわ。ねータエちゃん、どこで告ったらいいかなぁ?』って聞い
た。タエちゃんはただ笑ってるだけだった。結構真剣に質問したんだけどな。

シャワーを髪から浴びていたら、お風呂のドアをドンドンってされた。ウメさんや
アネゴやタエちゃんはいたずらするのが好きだから、またお風呂でも覗きにきたの
かなって思って『何よ〜??笑』って答えたら『ごっち、そのままで聞いてな。』って
真剣な声でウメさんが言ったから、これはいたずらじゃないなって思ってシャワー
を止めて、『うん、何?』って答えた。ちょっとだけ、嫌な予感がした。
少し沈黙が続いて、ウメさんが沈んだ声で『○○くん(あの人)に彼女ができたん
よ』と言った。続けて、『○○くんが、告白したんやって。』と言った。
私は『うん、わかった。すぐ出るけん』と言ってシャワーをもう1度浴び出した。外で
タエちゃんが『ごっちぃ〜…』って震えた声で言った。私はそれ以上声が出なかっ
た。ただ、シャワーの音も聞こえないくらい、目を閉じていただけだった。

涙はでなかった。髪を乾かして時計をみると30分近くシャワーを浴びていたみた
い。でもやっぱり目の奥が熱くなってきてタオルで覆いながらみんなのいる部屋
へ戻った。一番奥の、私のベッドに座った。ウメさんは自分のベッドで横になって
アネゴはイスに座ってメールをしていて、タエちゃんは膝をかかえこんでいた。
ずーっと沈黙が続いて、その沈黙に耐えきれなくなって、涙がとまらなくなった。
『…みんな、今までありがとぉ』最後まできちんと言えなかった。声を出して
泣いたのはいつぶりだろう。『ごっち…』みんなも半泣きになってずっと傍に
いてくれた。でも、あと5分で夕食の時間だった。赤い目のまま、向かうことになっ
た。エレベータのところへ行くとたくさんの生徒がいた。ゆうこちゃんが私に気付い
て『ごっちどしたん?!』って大きな声で言った。タオルで目を隠して、何でもないよ
って言ったつもりだったけど、声にならなかったみたい。周りにいたウメさんたちが
何となく話しをそらしてくれた。ありがとう。同じエレベータにはライバルちゃん…
彼女ちゃんも乗っていた。気付かれないように、下を向いた。今日だけ、今日だけ。

食事会場へ向かうと菊さんがギューってしてくれた。『ごっち、目がバレるわ。』
他のみんなに泣いていることあんまり気付かせないようにしてくれた。いつもだっ
たらあの人向きに座るけど、みんなが座らせてくれるけど、今日はみんながあの
人に背中が向くように座らせてくれた。何でみんなそんなに優しいのかな。
タオルで目を押さえながらボーっとしてた。見たくないあの人のことを探す私がい
た。聞きたくなくても、私の耳はあの人の声を探してた。あの人の声しか聞こえな
くなってた。でも、もうあの人には彼女ちゃんがいるんだって思ったら、急に周りが
ザワザワしてて、いろんなところで笑い声がするけど、どうでもいい感じで、何も
楽しみがなくなってしまうのって、きっとこんな風なんだろうって思うくらい、
ザワザワで押しつぶされそうだった。あの人のことをずっとずっと気にしながら
毎日を過ごしていたから、こんなザワザワ気付かなかった。こんなザワザワ気付
かなかったくらい、私は毎日あの人に夢中だったんだ。こんなに好きだったんだ。

今日に限って食事中にたくさん写真を撮る機会があった。おまけにビデオまで
撮ってた。私は放送部で、放送部の顧問の先生がビデオ撮っているから、私の班
他の班に比べて撮影が長いような気がした。気のせいなのかな。でも、ツライよ。
写真、私上手く笑えたかな?泣いていること、気付かれないように、できたかな。

食事会場から戻るとき、菊さんが後ろからギューってしてきた。菊さんは泣いてい
た。私はせっかく涙が止まったところだったけど、また、鼻の奥がツーンとした。
『ごっち、うちの部屋おいで。』そう言ってくれた。菊さんの部屋で、菊さんと
さとぴーにお話を聞いてもらった、というか一緒に泣いてくれた。『ごめんね、知
っとったんやけど、ごっちに言わせてあげたかったんよ』菊さんが言った。菊さん
に、お昼宣言したとき、菊さんは知ってたみたい。このこと。私は、何を話した
のかよく覚えていないけど、ずっとふたりがギューってしてくれたのは覚えてて、
菊さんは『私が男だったら絶対ごっち一番に彼女にするのに』って言ってくれた。
そういえば中3の文集にもまいちんに『もし私が男だったら好きになっとったと思
う』って書かれてた。え、え、私って。さとぴーとはずっとずっと中1のときからの
仲良しさんで、成績も似てたのでいつもお互いライバル意識燃やしてて、お互い
のこと誉めたことなんてあんまりなかったのに、今日初めてさとぴーが『ごっちは
何でそんなに一途になれるんやろうっていつもすごいと思っとった』って言ってく
れた。何だかちょっと照れくさかった。
あの人は優しいから私がこんな顔してたらきっと彼女ちゃんとラブラブしたくても
できないだろうから、もう平気なんやーって顔できるようにがんばるって言ったら
『ごっちは相手の気持ち分かってあげられるの、すごいよ』って。何もすごくなんて
ないのにね。ただ自分の気持ちを隠して、伝えるのが恐かった弱虫なのに。
菊さんにはあゆみちゃんというライバルがいて、さとぴーには上野ちゃんという
ライバルがいる。ここには全員揃ってないけど、みんな私の大好きな友達なんだ。
みんなの恋の相談を聞いていて、私が私のライバルちゃん 彼女ちゃんを見てき
て思ったことを全部話した。

彼女ちゃんがあの人を見るときの目は、私と同じだった。いや、私以上に愛しそう
に見ていたかもしれない。私ははじめ彼女ちゃんと普通の友達だった。だけどいつ
か彼女ちゃんがあの人を好きって知ってから、少しだけ見る目が変わってしまった
かもしれない。話す時も、なるべく好きな人の話題がでないようにした気がする。
彼女ちゃんとあの人がお話してるときはすごくショックだったけど、でもあの人を
笑顔にさせる彼女ちゃんがいつも羨ましくて、あの人と話せて嬉しそうな彼女ちゃ
んにはとても共感した。あの人とお話できるのって、ホントに嬉しいんだよね。

私がまだあの人のことを好きじゃないとき、彼女ちゃんと話してて私とこの子は
似てるなって思ったことがある。プリクラをお母さんに見せたとき、この子さやかに
似てるねって言われた子も、彼女ちゃんだった。ふじこに私があの人を好きかもっ
て言ったとき、『そっかぁ、でもライバルがいるよ。誰とは言わないけどヒントあげ
るね。ごっちに恋愛のしかたも雰囲気も、何となく似てる子だよ。』って言われた。

きっと、どの恋にもライバルっているんだと思う。でもそのライバル同士は一番の
仲良しさんになれると思う。だって同じ人を好きなんだもん。ね、一番好みが合う
んだよ。さとぴーが私の話を聞きながら『ごっちのすごいところは相手の気持ち、
分かってあげられるところやね』って言った。『私は上野さんのことは、ただライバ
ルって思ってて自分のことしか考えてなかった』って。や、私もそうなんだけど。
菊さんは『私はあゆみちゃんのこと見ると、変な気分になって心から好きになれん
自分がおるんよ』って言った。私だってそうだよ。
あの人がいると肩をつついてくれたり、告白するって決めたとき小さな声で『傍に
いられんけど、ずっと応援しとるけん』って言ってくれたさとぴー。バレンタインのと
き、隣の席でメモの内容変じゃないか、前髪変じゃないかチェックしてくれたり、
いざ渡す前になったとき、無言で背中押してくれた上野ちゃん。ほら、似てる。
自分の恋と同じくらい私の恋を応援してくれて、いつもギューってしてくれて、
好きな人を見ると顔真っ赤にして、恋に関してまっすぐな菊さん。自分の恋よりも
私の恋に興味深々で、好きな人がいると私のほうばかりみてテンションが高くなっ
て、中学のときの辛く切ない恋を乗り越えて新しい恋を大切にしているあゆみちゃ
ん。ふたりとも私の大親友で、私のことを大切にしてくれてて、ほら、似てる。

『やっぱ恋がないと毎日やってられないわー』って言ったら『あたしも生きてられん
と思うわ。』と菊さん。だね。ひとりの人をこんなにも好きになって、毎日その人を
考えて、ドキドキして、眠れなくなって、切なくなって、こんな風に泣いて。
好きな人を好きな分だけ友達に報告して、嬉しいことがもっともっと嬉しくなるよう
に、たくさんの友達に報告して、過ごしてきた片想いデイズ。うー。

さとぴーから貸してもらったタオルを目に当てて、最後に菊さんにギューってしても
らって、もうひとりの大切な大切なあゆみちゃんに、今日のことを話しに行った。
部屋に戻って電話をかけると、もしもし、よりも前に『どうだった?!』って。わわ。
できるだけあゆみちゃんに不安がバレないように『うふふー、部屋に行くけん待っ
ててな!』とだけ言った。あゆみちゃんは元気な声で『うんっ』と言った。
部屋に入ると同時にあゆみちゃんに抱きついた。『告る前に、ダメになった。』
泣かないようにしようって思ったけど、やっぱり無理だった。あゆみちゃんが
『なんでうちら一緒の部屋じゃないんやろう。今日、ずっとごっちの傍におりたいの
に。』と小さな声で言った。私の話を聞きながら、あゆみちゃんは『うちね、ごっち
が新しい恋できるか心配だったんよ。でもあの人のこと好きになったごっち、すご
い好きだったよ。なんかね、輝いてた。笑』って私を元気付けてくれた。
『うち、ごっちが一番好きだよ。私があの人やったらごっち選ぶのに。というか
私から告白しちゃうかも!』って言ってくれた。やっぱり、菊さんとそっくりだ。

あゆみちゃんが私の部屋まで送ってくれる途中、あの人と彼女ちゃんが下の階の
ベンチでお話しているのを見た。わ、いいなぁ。でも、ちょっとだけモヤモヤは
消えていて、ふたりを応援しようって決めている私がいた。でも、涙が出た。

■ 26日金曜日
目がこれ以上ないってくらい腫れていた。ハッキリ言ってバレバレで、見れたもん
じゃない。このあと7時半から集合写真を撮らなくちゃいけないのにな。うー。
心はもうスッキリしているのに、顔がスッキリしていない。何度も何度も顔を洗って
目を冷やして、何とかがんばった。でも、部屋を出るとだんだん辛くなってきて、
あの人と彼女ちゃんがいるところへ行くころには、涙がすぐそこまで来ていた。
下を向いて並んだ。みんな私がすごい顔をしていることに気付かないフリをしてく
れて、その優しさが私にとってはもっと辛かった。集合写真、笑顔で写ったよ。
ピースで顔を隠して、少し誤魔化したけど、でも笑ったよ。いつも通り、笑顔だよ。

朝食も、あの人に背中を向ける形で食べた。ザワザワが昨日よりも大きく感じた。
あの人の声は遠すぎて、聞き取れなかった。聞こえなかった。
ゆかりっちが朝食を済ませて出口へ向かうとき、ジュースを飲んでいる私の背中を
ポンって押して振り返って何も言わなかったけどグーサインをして走っていった。
ゆかりっちはカッコイイ。すごーく、嬉しかった。嬉しかった。ありがとう。

部屋に戻って昨日長尾くんに『今までありがとう。昨日とか夜遅くまでメールとか
電話で相談にのってくれてホントにありがとう。』って送ったメールの返事が来て
いたことに気付いた。『いやいや…ええよええよ^□^これからも俺でよかったら
何でも相談のるよ(ブイサイン)今回は力になれんでごめん…』やっぱりタエちゃん
は長尾くんに夢中になってた。『ええ人やー!!』って。私もそう思った。
この恋は周りのたくさんの人に支えられて大きくなって、素敵な片想いになったな
って思った。また涙が出た。でも、昨日の夜とはきっと違う意味の涙だと思う。

首里城公園で見学するとき、偶然なのか意地悪なのか運命なのか不運なのか、
私の後ろにあの人と長尾くんがいた。初めは戸惑ったけど、正直嬉しくてたまらな
くて、でも悲しくて切なくてたまらなかった。でも、いつも以上に楽しくウメさん
とお話した。でも、耳はずっとあの人の声を探してた。あの人の声を聞くと安心し
た。空港のロビーでお弁当を食べてると、残りのカメラを使いきろうということに
なって、みんなで写真を撮りまくった。ワザト変な顔をして、目が腫れていること
目立たないようにしたけど、元気ってことをみんなに伝えたくて、自分に言い聞か
せようとしていたのかもしれない。後ろのイスに座ってたふじこが私の髪を引っ張
って『編み込みしちゃる♪』と言って編み込みしだした。その間ふじこのカバンに
ついてた人形を見て自分のカバンについているワンちゃんのことを思い出した。
みんなに見えないように、そっと外してカバンの奥にしまった。
♪じゃんけんぽいぽいどっち出すのー の、手の出し方や グーパーの仕方の
違いについてみんなで語り合いながら、私はきっといつも以上に笑った気がする。
朝泣き顔だった私を誰も思い出さないように、今日の私は笑顔だったことをみんな
に覚えてもらうように。笑えば気分もどんどん明るくなっていく気がした。

飛行機の中。みんな疲れきってしまって寝ている子がほとんどだった。でも私は
やっぱりあの人のことを考えていた。少し姿勢を正してみると、あの人の頭が
ちょこんと見えるんだ。気がつけば私はあの人を見ていてあの人が窓の外を見た
ら、私も窓の外を見て、キレイに広がっている沖縄の海を見て、あの人も見ている
沖縄の海を見て、少し寂しい気持ちになったけど、たくさんの思い出ができた
沖縄にバイバイって思ったんだ。少し口惜しかったんだ。やっぱり辛かったんだ。
サービスのオレンジジュースを飲んでいると、あの人がコーヒーを頼んでいた。
わ、カッコイイ。大人だなぁ。気がつけば、やっぱり私はあの人を見ていた。
あの人が長尾くんたちとトランプをしているのも知ってる。新聞でスポーツ欄か
何かをチェックしているのも知ってる。ずっと、ずっと見ていたんだ。私。

関西国際空港であの人と彼女ちゃんが何か話しているのを見た。ズキンってき
た。ふたりが見えないように、ウメさんの後ろに立った。いくら大丈夫って思って
も、やっぱりふたりを直接見るのは、ツライ、かな。あんなに嬉しかったあの人と
同じクラスになれたこと、今はすごく嫌だって思った。嫌だって思った。
バスの中でタケワっちに『ツライかも。』とメールした。でもよく考えて、何弱気
になってるんだろうって思って返信される前に『やっぱ元気っ!!』って送った。
同情を求めてたのかな。そんなのいらない。みんなの中に元気な私がいなくちゃ
いけないんだから。でも、帰りのバスの中では眠るフリして泣いてしまった。
『もののけ姫』のビデオが流されてて、アシタカがあの人に見えてきたりして
もう、どうしようかと思った。ウメさんとミスドのドーナツを食べながら『アシタカ
ってカッコイイよね』って言った。ふたりで笑った。

バスから下りて久しぶりの学校を見た。寒かった。27度のところから一気に17度
のところまで来たんだもんね。みんな半袖だったから『寒ーいっ』って言ってた。
前に学校を見たときは、あの人のことでドキドキしてたんだ。今も、そうだけど。
ちょっとだけ、切なくなった。最後に集合するとき、彼女ちゃんと隣になってしまっ
た。でも、いつもと普通に『やっぱりこっちは寒いね。』って言った。言えた。
親の迎えを待つとき、あんなに持ってくること禁止されていた携帯をみんなが出し
て『帰ってきたよー』って電話した。先生もやれやれって顔してた。笑った。
門の前の花壇のところでお母さんを待った。持久走の授業のとき、あの人とFくん
が話しているのをずっと見てた花壇。その前をFくんじゃなくて彼女ちゃんといる
あの人が通っていった。『バイバイ!』って彼女ちゃんに言った。大きな声で。
あの人に聞こえるくらいの大きな声で。本当はあの人に言ったのかもしれない。
バイバイ、私の片想い。バイバイ。

家に帰ると同時くらいにたくさんの人からメールが来た。中でもふじこは『沖縄楽し
かったね〜!!食べすぎで胃がおかしくなっちゃったよ。笑 ひとつ聞いてもいい?
あのこと…ごっちの精神面が心配なん。』と送ってくれた。私は今日1日、ふじこに
平気なところを見せてきたつもりだったのに、ふじこは見破ってくれていて、元気
なフリをこのまま突き通そうと思ったけど、ふじこには甘えたくなった。全部言っ
た。最後に『今日、うち元気でおれたよね。』って送ると『うん、めちゃいつも通り過
ぎたよ。普通やった!』って送ってくれた。よかった、よかった。これであの人と
彼女ちゃんも安心してラブラブしてほしいなって思った。私は大丈夫だっ。

あゆみちゃん 菊さん ウメさん アネゴ タエちゃん ふじこ 長尾くん さとぴー
上野ちゃん ジャスミン ちょぴん しおりちゃん 杉ちゃん ポロリ たにー 岡原
さん ゆかりっち タケワっち ゆうこちゃん ゆきちゃん けーちゃん 山下くん
鳩もっち 川西先生 入口先生 えりか まいちん ゆきうら まっちゃさん 飯野
ヒカリ お母さん おばあちゃん お父さん みく ここに来てくれているみんな

ありがとう。

美濃くん、松ユカ 幸せになってね。大好きだよ。ありがとう。

4月27日(土)

 

4月11日〜4月22日分のログ

4月1日〜4月10日分のログ

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