本格的に授業が始まる。ユニ君の号令で始まるSHR。席を立つときにほんの少し
だけ横目で教室の端っこを見る。あれから少しだけ茶色くなったような気がするユ
ニ君の髪は、すこしだけはねてて、それがとってもカッコイイ。ずっとずっと見て
いたいけれど、できなくなった。最近はメールもほとんど送っていない。大好きな
気持ちはきっと変わっていないのだけれど、それを伝えようと思う気持ちが小さく
なった気がする。"友達"なら、メールを送っていたと思う。だけど、やっぱり私に
とっては"好きな人"だから、メールを送ることができなくなった。メールを送るこ
とで私のことを知ってほしかった。私を気になってほしかったから。でも、その気
持ちが小さくなった。好きだけど、その気持ちを押し付けるのは 今はだめ。

夏休み前に受けた模試の結果が返ってきて去年から下がり続けるグラフにため息。
1年前の夏に受けたときの結果がとっても眩しく感じた。私だってがんばればでき
るんだから、本気にならなくちゃって思った。最近すべてのことが中途半端で、全
ての疲れが勉強に出てしまっている。今日受けた英語の実テも、今までの中で1番
自信がない。成績に入らないから、とは思ったけれどやっぱり良い点が取りたい。

昨日、着任式の前に調整室に入る私をライオン頭が見てくれていた気がする。ガラ
ス越しだったからそうだったとは言いきれないのだけれど、あの頭は絶対絶対ユニ
君だった。思いこみでも、そう思うだけで何だかやる気が出てくるんだ。だいすき
だいすきユニ君。少し新しい気持ちの、好き。もう1度、アドレスを聞きに行こう
か。まだ、何にも知らなかったころに戻ったみたいな気分。メールをしていないと
とてもとても遠く感じて、でもたくさんユニ君のことが知りたくて、大好きで。片
思いをはじめたばかりみたい。

もう1度だけ 好きって言いたい。でも、まだ言わない。

8月29日(木)

 

夏休みの特別講座はクラス単位で授業がある。ユニ君とは系列が違うから普段は同
じ教室にならない授業も、同じ教室で受けることができる。たったそれだけの理由
で毎日5時間かけて宿題とか予習して、何だか少しがんばってる私。その割には授
業で間違えてばかりなのだけれど。

4時間目が数学のとき、数学を選択していない私はうめさんたちと食堂でカレーを
食べてた。ユニ君は数学を選択しているのでもちろんいなかった。カレーを食べ終
わってみんなでお話しているとき、私が『あと15分で数学おわる!』って思った
こと言っただけなのに、みんなが『・・あーハイハイ、みよっしーね。』って笑っ
た。それからみんなに気付かれないように時計を気にしてたら『わー、ごっち今時
計チェックした!笑』って菊さんに見つかってた。

しばらくして、終わりのチャイムが鳴った。食堂の外を気にしていたら、みんなも
一緒に探そうとしてくれた。いろんな人が下りてきて、その中にユニ君もいそうな
団体さん(サッカー部軍団)の姿が見えて、みんなが『わ、来た来たで!!』って教え
てくれたのだけれど、バレちゃうって思って前を向いて固まってたら『なんでそん
なに乙女しとるん?』とうめさん。『乙女なんよ。』と菊さん。違うー!

ユニ君たちは食堂に来なくて、きっと部活に行ったのかなぁなんてみんなで考え
た。カレー食べているときにお話の中に出てきたラブラブカップルのふたりが食堂
を出ていったので私が『どこ行ったのかなv』って言ったら、みんなが固まって
『・・さっきみよっしーについて行ったらよかったやんか。笑』って言った。みん
な私の言うことばの主語はいつでもユニ君だと思ってるみたいだった。まぁそうな
んだけれど。

アネゴと帰っていたら、グラウンドでサッカー部が練習をしていた。アネゴは『ほ
ら、もっと近く行って見ようでー』ってグラウンドに近く歩いてくれたけれど、私
は行かなかった。サッカー部の声が聞こえるくらいまで近くなったとき、ユニ君の
声も聞こえた。そのあとみんながユニ君の名前を呼んで、ユニ君が円の真ん中に入
ってパスしてるボールをカットしてた。動きがすごく素早くて、かっこよかった。
バレないように、って思って少ししか見なかったのだけれど、電車に乗りながらも
う少したくさん見とけばよかったなって思った。

8月21日(水)

 

学校から駅までの 田んぼばかりの帰り道。赤とんぼを見ました。すぐにどこかへ
行ってしまったけれど、その赤はとってもとっても強くて 目に焼きつくようでし
た。夏の暑さで赤くなったのかな。それとも恋をしているのかしら なんて考えな
がら、私も両手いっぱい広げて風を感じながら大空を飛びたいなぁなんて思ってみ
たり。ユニ君色の青空は、もうすぐ秋色になる。

今日で振られて2ヶ月が経った。ユニ君は、私がまだ好きって思っていること知っ
ていると思う。それでもメールの返信をくれるし、本当はすごく重荷になっている
と思うのに私を傷つけないようにしてくれている。すごくすごく、優しい人。何だ
かユニ君に"好き"って気持ちを押し付けているようで 少しだけ嫌な気分。

好きって気持ち押し付けるのじゃなくて、振り返ってもらえるようになりたい。だ
けどユニ君には好きな子ちゃんがいて、ユニ君が振り返ってくれることは きっと
ない。なのにまだ好きで 諦められなくて でも結果はわかっていて。ぐるぐる考
えがまわる。でも、いつも最後に辿り着くのは ユニ君が好きだということ。やっ
ぱりやっぱり、もう少しだけがんばってみたい。

朝焼けの雲はピンク色していて、とってもカワイイ。早起きしてよかった。

8月19日(月)

 

どんなに待ってもFree birdは鳴らなかった。ユニ君のほうからメールを送って
くれること、来るはずないって分かっていても期待してた。ないないって何度も思
っても心の端っこのほうで もしかしたら って思ってた。

最近、ユニ君からの返信はとっても短くて絵文字もなくて、もういい加減嫌なんだ
っていうことなんだって思った。嫌われちゃったなって思った。だけどそれを自覚
したくなくて、『そんなことないよ。』って言ってもらいたくて、たくさんの人に
相談した。私の友達はみんな優しいから『そんなことないよ。』って言ってくれた
けれど、やっぱり心の中は変なモヤモヤでいっぱいで ユニ君からの返信メールが
さっきよりもつまらなそうな口調に見えてきて、もう泣きそうだった。メールはこ
とばだけで表情がつかめないから、不安だよ。

これ以上嫌がられたくないから、メールを送らなかった。だけどメールを送らない
ことがあたりまえになってしまう気がして、恐かった。せっかくの、唯一の繋がり
なのに。もう振られてるのは分かっているけれど、それからもメールしていいよっ
て言ってくれたのはユニ君なんだからこの繋がりを大切にしなくちゃって思った。

何度も下書きをして、プレビューを見て、確認。本当に久しぶりだったから、また
送信ボタン押したあとに『送っちゃった!』と言ってしまった。最後に"?"がある
から、きっときっと返信をくれる。作戦いっぱいのメール。短くても、返信をくれ
るだけで嬉しい。自己満足でしかない、片想いメール。

5日ぶりに、Freebirdが鳴り響く。嬉しくてしょうがなくて思わず立ち上がる。
短かったら、そっけなかったら、もうメールするのやめてとか書いてあったら・・
嫌な考えがぐるぐるして、でも無視しないでいてくれたことが嬉しくて不思議な気
分だった。

最後に、絵文字がついてた。

たくさん書いてくれてた。

わー!久しぶりのメールで、久しぶりの絵文字に、久しぶりのたくさんのことば。
久しぶりがたくさんで、嬉しかった。急いで返信しなくちゃって思ったのに、4分
もかかってしまった。送信完了のメッセージを確認して、ふぅ、と外を見てみたら
夕焼けで空が赤というかピンクに近い色をしていた。それがとってもとってもきれ
いで、次のメールのときに教えてあげようって思った。でも、次に返信するときは
空が紫色に近くなってて、あららって感じだった。

"いいやろ!!ってか無理やし"

ホントにこんな顔して笑ってそう。うー、幸せです。待ちきれなくなって、自分か
ら送ったのだけれど 送ってよかったなぁって。宿題がんばろうね。

8月18日(日)

 

『覚えてる?』

一本の電話がかかってきた。2年ぶりに聞く声だった。カズくんからの、電話。本
当に久しぶりで思わず叫んでしまった。カズくんは小学校から中3の夏まで同じ英
会話教室に通っていて結構仲良しさんだった人。聞くところによると、高2の始め
に九州に転校したみたいだった。今日一日だけ香川に来ているみたいなので、遊ぼ
うと言われた。だけど私は朝から起きたままの格好で、おまけに部屋のそうじの途
中だったので断った。

シャワーを浴びて部屋に戻ると、窓の外見てみて、とメールが入っていた。シャワ
ーをしていたので受信完了から10分近く経っていたのだけれど、私の部屋の小さ
なベランダから下を見ると、カズくんがそこにいた。髪をタオルで乾かしながら、
久しぶりと言った。カズくんは真っ黒に焼けていた。カズくんとは中学が違ったけ
れど、中2のとき学校帰りにたまたま会って、家まで送ってもらったことがあっ
た。『家、よく覚えてたね』というと『忘れるわけないやろ』と言われた。

『できたんか?』と聞かれて『失恋したけど、まだ好きな人がおるよ』と言ったら
笑われた。カズくんは中学のときから大好きだったサッカーを今も続けているみた
いだった。『うちの好きな人もね、サッカー部なん。』と言ったら『俺もお前の高
校行けばよかったなぁ』って笑ってた。また春休みに香川に来ると言っていたので
そのときに英会話教室の仲良し4人組で遊ぶ約束をした。

『何か腕につけるものない?』と言われたので、赤いスマイル君のリストバンドを
ベランダから放り投げた。カズくんはそれをひろって上にあげて『春、ラーメン持
って来るからな。』と言ってバイバイをした。私はうなづいて、部屋に入った。

ユニ君に4日くらいメールを送っていない。こんなにしていないのは、振られて気
まずくてメールを送れなかった日以来かもしれない。来るはずないの分かっていて
もユニ君のほうからメールが来ることを、どこか期待してる。だけど、待ちきれな
くなってまた私から送っちゃうんだ。これだから片想いってやつは。

8月17日(土)

 

夢の中でも私は、ユニ君と話せないでいた。場所はなぜか飛行機の中で、お菓子の
交換をするんだ。何も言わずお菓子を差し出してくるユニ君。何も言わずそれを受
け取る私。心の中でありがとうを言うのだけれど、声にならない。だんだんユニ君
の表情から笑顔が消えて、私はなぜか泣きそうになる。だけどユニ君からもらった
お菓子がとっても嬉しくて、それをずっとずっと大切にするんだって思ったんだ。
だけど、確かにあったその感触もなくなってしまった。目が覚めた。

机の上には開いたままの古典の問題集があって、その横にはまだ麦茶が少し残って
いるグラスがある。今日はここまでしようと決めていたところまで終わっていない
のに寝てしまったんだ。私は自分に甘いと思う。だけど、寝たいときに寝ることが
できたから夢でユニ君に会えたのかな、なんてこれまた都合のいいように考えた。
だけどだけど、新学期からユニ君の前で立たされるのなんてそんなの嫌だから、や
っぱりするべきことはきちんとしなくちゃって思った。

13日のお祭りユニ君やっぱり来てたみたい。どこかですれ違わなかったかなぁ。
またタイヤキおいしそうに食べてたのかな。でもタイヤキ屋さんなんてあったっけ
なぁ。来年、隣でタイヤキ食べれますように。なんてね。

早起きはとっても気持ちがいい。少し散らかった部屋を片付けて昨日の残りの古典
を仕上げてしまおう。

8月16日(金)

 

駅の改札を出たところで誰かを待つのって、とってもワクワクする。ごめん、待っ
た?なんて言って私のところに走ってきてくれるのがユニ君だったらいいなぁって
勝手に思ってみて、恥ずかしくなった。携帯片手にあゆみちゃんを待つ。他の誰か
からは彼氏待ちかしら、なんて思われないかな。ユニ君待ちかしら、なんて思われ
ないかな。

たくさんの人の波の中に、ふたりを見た。4月、好きだったあの人を見た。後ろに
いるのは彼女ちゃんだった。あれからずっとふたりはラブラブで、見ているこっち
まで幸せになっちゃうくらい。泣いた日、私は諦めないでいようと思っていた。だ
けどふたりの幸せいっぱいの笑顔を毎日見ているうちに、ふたりを応援しようと思
うようになった。だけど、諦めることができてよかったと思う。ユニ君を好きにな
ることができたから。ユニ君への片想いはたくさん泣いて不安でいっぱいだけれど
自信をもって好きだと言えるから、すごく楽しい。好きだ、なんてユニ君に直接は
言えないのだけれど。

あの人の後をちょこちょこっとついて行く彼女ちゃんに手を振った。バイバイって
ちゃんと言えるようになった。私って少し強くなったのかも、なんて思った。ふた
りの後ろ姿を見ながら私もがんばらなくちゃって思った。

"三好くんは高松祭り行くん??"

"行く"って言われても、一緒にまわろうよ、なんて言えないし"行かない"って言
われても何となくショックだし。よく分からないけれど、送ってた。返信は来なか
った。あゆみちゃんが来ても、何度もセンター問い合わせしても来なかった。"行
かない"っていう返信だけでも来て欲しかった。無視、しないで欲しかった。

地下のプリクラ屋さんは浴衣を着ている人でいっぱいだった。なんとなく並んでみ
てもこの列が一体どの機械に続いているのかも分からなかった。たくさんの人の声
がぐるぐるしてて変な感じがした。浴衣を着ているのに、冷房がかかっているのに
暑くてしょうがなかった。屋台、たくさんまわるのとっても楽しみなのに、花火見
るのとっても楽しみなのに、何だか気持ちがのらなかった。

列はなかなか進まなくて、下駄で足が痛くて、いろんなことで泣きそうだった。ポ
ーチの中で携帯が振動した。メールだ。新着メールは2件で、件名がRe:でいっぱ
いなのと、Re:がひとつだけのだった。もしかしたら、そう思ってRe:がひとつだ
けのを開いた。ユニ君だった。思わず『わぁぁ』って叫んだ。

"もちろん"

たったそれだけだったけど、嬉しかった。メールを送ってから1時間が経ってた。
とーっても長い1時間だった。もちろん、って何がもちろんなのかよくわからない
けれど、そんなにお祭りが好きなのかな?何だかかわいいって思った。あゆみちゃ
んにギューってして、携帯ギューってして、よかったぁって思った。無視しないで
くれてありがとう。

かき氷に熱くておいしいポテト、浴衣、うちわ、花壇に登って見た花火。ユニ君も
今、このお祭りのどこかにいるのかな。それとも明日に行くのかな。今日、すれ違
わなかったかな。浴衣姿、見て欲しかったなぁ。なんて。

だーいすきあゆみちゃん  ラブラブ!

8月13日(火)

 

窓をあけたら、すーっと風が入ってきた。飾ってあったポスターがピンの取れた左
下のところだけパタパタさせていた。イギリスから帰ってきた日より、昨日より、
涼しくなっている気がした。まだまだ暑いけれど、もう少ししたら赤とんぼの姿も
見え始めるのかしらなんて思うとすこしだけ不思議な気分になった。

ユニ君を気になり始めたのは、ぽかぽか暖かい日だった。影が長くのびて、何だか
青春してるみたいって笑った夕方だった。目の前を部活でユニフォーム姿のユニ君
が走っていったんだ。青いユニフォーム。気にならないはずなんてなかった。目で
追った。その日から、気になる人 になった。

もうすぐ夏になろうとしていた。その夏の暑さも、だんだん、だんだん涼しくなっ
ていって終わってしまうんだ。秋がくる前に、この暑さで気持ちが高まっている間
にもう一回だけ、気持ちを伝えたいって思った。思うだけで終わってしまうかもし
れないけれど。

何度も何度も見てしまう。昨日うめさんが私にくれた、素敵な素敵なプレゼント。
私と、うめさんとうめさんの彼と、ユニ君の4人で撮った1枚の写真。私はとって
もとっても嬉しそうな顔をしていた。ユニ君はこのときどんな気持ちで写ったのか
な。ほんの少しだけカッコつけちゃって。カッコ良すぎだぁ。

屋上のしきりを飛び出してグラウンドを見た。下から先生は危ないから戻りなさい
と怒っているけれど聞こえないフリ。サッカー部が練習試合をしている。とっても
とっても遠いけれど、すぐに分かる。首のうしろをかくクセ。掛け声、走り方。い
つのまにこんなに知ってたっけ。うめさんは『誰が誰だか分からんわ』と言ってい
た。

屋上に出た窓からジャンプして教室に入る。
『冬までには、ぜったい上手く行きそうな気がする。』うめさんが言ってくれた。
そのことばがあまりにも突然だったからびっくりしたけれど、そのことば、本当に
させたいって思った。ねぇ、私がんばりたいよ。

8月12日(月)

 

まだ3日しか経っていないのに、ユニ君に忘れられてるかもって思うくらい長く感
じた。こんなにユニ君にメールを送っていなかったのなんてはじめてで。や、ホー
ムステイ中はもちろんメールなんてできなかったのだけれど。その前に送ったメー
ルの返信がとっても短くて正直とっても凹んでいた私は、恐かった。ユニ君の返信
メールは、男子のメールはだいたいそんなもんだって分かってはいるのだけれど、
やっぱり長いほうが嬉しいもん。・・返信が来るだけでもめちゃんこハッピーなの
だけれど。

質問形式にしたらきちんと返ってくるのに、そうでなかったら何にも来ない。もう
こんなの慣れっこだけど、前に質問形式じゃなくてもユニ君のほうから話題をたく
さん持ってきてくれたことがあったから、そのときみたく、そのときよりももっと
イイ感じになれたらって思ってしまうんだ。また笑顔の絵文字使ってね。お願い。

中学のとき、一緒に生徒会活動をしていた会長から"久保にアドレス教えました。"
とメールが入った。そのあとすぐに久保くんからメールが来て、なななんとそれが
めちゃめちゃ長いメールだったのでびっくりした。約1年半ぶりに連絡が取れたの
ですごく嬉しかった。久保くんも同じ生徒会で一緒に活動をしていて、すごく真剣
に恋の相談にのってくれていた、めちゃかわいい人。何でも今は髪がツンツンにな
っているらしく、本人曰く大人になったとか。久保くんにはかわいいままでいてほ
しかったのだけどな。そのあともたくさんメールをくれて、おやすみまで言ってく
れて、何だかショックだった。ユニ君はこんなのじゃない!

自分からメールはくれなくて、返信は短くて、おやすみなんてなかなか言ってくれ
ないけれど、それでも私はユニ君からのメールが大好きなんだ。ひとつ残らず保護
かけちゃうんだ。

"うん。じゃぁ。おやすみ"
またこんな風に言ってもらえるようにがんばります。1ヶ月前の私、幸せだなぁ。

8月10日(土)

 

無断アルバイトの件で生徒指導室に呼び出された。何だかスッキリしたけど教頭先
生が私のことをあんな風に思っていただなんて。ホームステイの間そんな風に思わ
れていただなんて。すごくすごくショックで、無断アルバイトの反省よりも何より
も、そのことでいっぱいいっぱいで。きっと先生たちは、私のことただの泣き虫だ
なんて思ったと思う。泣くくらいだったらアルバイトなんてしなければよかったじ
ゃないか、なんて思っていると思う。

『自分のことしか考えていないわね。』なんて先生は言ったけれど、私はその言葉
先生のそっくりそのまま返したかったよ。あんなこと平気でこの場で言えるなんて
先生だって自分のことしか考えていないじゃないか。私のこと、ひとつも考えてく
れていない。矛盾だらけで、私の言葉信用してくれなくて、何か言おうとしたら
『ハイハイもういいから。』そんなことってあるもんか。無断アルバイトの反省よ
りもこんな不平等に涙したんだ。私に何も言わせてくれなかったから。

矛盾だらけで嘘つきで、汚いって思った。アルバイトのことだけなのに、私の性格
のことまで評価することないじゃんか。自分を否定された気がして、お母さんのこ
とまで見下されている気がして、涙が止まらなかった。

悪いことをけなすよりも、いいところを見つけてほしかった。私、そんな悪いとこ
ろばかりでできている人間なのかな。先生の言葉で、自分が嫌いになったよ。

 
家に帰って、大好きなたくさんの友達とメールした。
"ごっち だーいすき"
そんなひとことがすごーくすごーく嬉しくて。私は、先生みたいじゃなくみんなの
いいところたくさん見つけるんだって思った。そのほうが絶対絶対楽しい。

うめさんさんが、ユニ君との写真現像できたよって教えてくれた。カッコいいよっ
て教えてくれた。ごっちまた惚れなおすんちゃうんって、ハートいっぱいのメール
をくれた。月曜日にくれるみたい。楽しみだなぁ。うめさんありがとう。

明日くらいに、勇気を出してユニ君にメールしてみようかな。手、もうすぐ完治だ
ねって送ってみようかな。久しぶりのメールになるから、また緊張してしまう。

とか言いながら、私も先生の悪いところばかり書いてしまった。私も矛盾だらけ
だなぁ。愚痴っぽくなってしまってごめんなさい。また、いつもみたく幸せ日記書
けるようにがんばります。というかバイト辞めることになっちゃったよ。ぐすん

8月9日(金)

 

夏休みの大きな大きな仕事といえば、文化祭の準備。毎日誰かがジュースを買いに
行く当番になったり、誰かが扇風機を持って来たり。暑くて暑くてしょうがないけ
れどみんなで力を合わせて何かを作ることが楽しくて楽しくて。完成したときの喜
びは、私たちにしかわからない。 その喜びを、今年私はわかることができないか
もしれない。わかる資格なんてないのかもしれない。

校則違反のアルバイト。ホームステイがあったからお盆までの出勤日はもうワガマ
マが言えない。だから、今日も明日もあさっても文化祭の集まりがあるのに、私は
行くことができない。それがすごくすごく嫌なんだ。バイトがあるからいけないな
んて、そんな理由胸をはって言えない。みんなに何て言えばいいんだろう。

ユニ君からのメールの返事が、また前みたくそっけなくなって、来なくなって。そ
のせいもあるのだと思うけれど、どんなことにでも不安になって恐くなって、私ら
しくないマイナス思考になってしまっている。もしかしたらみんなに嫌われるんじ
ゃないか とか、ユニ君に嫌われたんじゃないか とか。

目をつむってもセミの声しか聞こえない。セミさえも私を笑っているような気がし
た。横になりながら、ただひとりが恐くて恐くてしょうがなかった。

8月7日(火)

 

ただいま。長い間留守にしていてごめんなさい。でも、本当に1日いちにちをしっか
り楽しんできました。もう全部を伝えたいので、またいつもみたくロング日記になり
ました。よかったら見てね。↑

朝は7時に起きた。昨日眠い目こすりながらも夜まで起きていたから時差ぼけも大
丈夫みたい。朝からセミの声。イギリスでは鳴いていなかったんじゃないかな?朝
からクーラーをつけた。暑い。すごーく暑いよ。昨日現像した写真を何度も見ながら
何度も2週間のこと思い出した。夢でも見ていたんじゃないかなって思うくらい、あ
のときのことが遠く感じた。だって朝食はご飯だった。お味噌汁もあったし、お茶も
あった。もう"いつもどおり"の生活になってしまった。でも、大好きなファミリーと過
ごした日々も"いつもどおり"だった。もうひとつの、いつもどおりだった。上手く言葉
では表せないのだけれど、何ていうのかな。少しホームシックになりました。あれ?
またおなかいっぱいサンドウィッチ食べたいな。朝起きて、ママが部屋をノックして
"朝食にする?"って笑顔で聞いてくれるの。また、ノックしてよ。ママ。夢なんかじ
ゃなかったのに、夢みたい。イギリスにいてあれだけ食べたいと思っていたご飯を
目の前にして、パンのほうがいいと思ってしまった。うー、矛盾してる。

昨日家について少ししてユニ君にメールをしました。久しぶりのメール。不思議な感
じ。絵文字つきで、ユニ君の口調だ。"おもろすぎ"って言ってた。ユニ君にとって
このホームステイはどんなものになったのかな。たくさん話したいよ。メールだけじ
ゃ足りないよ。聞きたいことたくさん。たーくさん。ホームステイで、もっと好きにな
っちゃったよ。諦めるつもりが、諦められなくなっちゃったよ。

明日、ホームステイメンバーの集まりがある!また会える。やったぁ。

8月5日(月)

 

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