有ちゃんが私の机をたたく。私はそれが何の合図かわかったけれど、わから ないフリをする。そして有ちゃんも、私がわからないフリをしていること、わか っていると思う。ユニ君が来た。昨日、ユニ君がいつもよりも早く学校に来て いたからってだけなのに、いつもよりもふたつ早い電車に挑戦する私は単純 だと思う。結局ひとつ乗り遅れてひとつ早くなっただけなのだけれど。

1時間目の生活・家庭一般のテストは学科全員で大講義室に入る。鍵がまだ 開いていなくて、みんなドアの前で教科書やワークを見て最後の追いこみを していた。私も片栗粉の性質をもう1度復習。ふと、顔をあげたときびっくりし た。すぐ近くにユニ君がいた。どわわ。さっき教室を出たとき、まだユニ君は 机のところにいたのに。私が急に黙り込んだのを察したのか、うめさんが後ろ を振り返ってユニ君を見た。そして私にニカってする。私もニカってなった。 『もうわからんし!』鍵が開いて部屋に入るとき、ユニ君が言ってた。『わから んのやって!ほらごっち教えて来まい。』と、うめさん。

テストが終わって、ほんの少しの開放感。監督のケンちゃんが『ほい、挨 拶。』という。だけど学科全員が集まっているので、みんなみんな誰が号令を かけるのかわからない。するとケンちゃんが『・・じゃぁ三好。号令かけて!』 と言った。ユニ君が『れーい!』と、いつもよりも少しだけ大きな声で言った。 うわぁって感じだった。有ちゃんがすぐに私を振りかえって『何でやろね。笑』 と言った。私はただただ、ドキドキしてた。

11月29日(金) 晴れ

プリントを片手にローファーをスリッパに履きかえる。おっきなユニ君の靴が あった。もうユニ君来てるんだって思った。階段を上るペースが少しだけはや くなる。まだ予鈴もなっていなかったけれど、みんな結構揃っていた。でも、 前から2番目の列の人たちはあんまり来ていなくて、廊下側前から2番目の ユニ君とベランダ側前から2番目の私は"隣"になることができた。一瞬だけ だけれど。明日はもうひとつはやい電車で来ようかな。

英語表現と古典のテストの出来はイマイチだったけれど、112題の問題を丸 暗記した流通経済だけはなかなかできたと思う。あんなに覚えたのに50題し か出なかったのは少しショックだけれど、開放感があった。がんばった!英 語表現はユニ君と同じ教室で受けることができた。最後の号令のとき、号令 をかけるのはユニ君ではなかったのだけれど、号令といったらユニ君だよな ぁなんて何となく見たら、パってユニ君が振りかえって焦った。

たえちゃんと並んで駅までの道のりを歩いた。前もテストのときこうやって帰 ったよねってお話をした。あのときもやっぱり私はユニ君をすきだった。あの ときたえちゃんにもとってもすきな人がいたけれど、今は気持ちが小さくなっ てしまったみたい。『うちはまだ熱しとるよ』って言ったら笑われた。次、こう やって一緒に帰るときはお互いにノロケ話しようねって言った。ね!

今、出張してるお父さんとお母さんが電話してる。なんだかんだいって、仲良 いなぁって思う。・・ユニ君とメールしたくなってきた。

11月28日(木) 晴れ

『もし日本史の授業にごっちがいたら、ごっちは半泣きやと思う。』アネゴが 言った。すきな子ちゃんが直接ユニ君とお話しているわけではないのだけれ ど、ユニ君はすきな子ちゃんのお話にいつも笑ってるよって。何だかその光 景はすぐに頭に浮かんでくる。ユニ君も、恋してる。間接的にだけど、そのこ とが伝わってくる。正直、もう応援なんてできていない。

そうじの時間、うめさんがごみ袋持って『ほらっ、福祉教室のとこも寄ってゴ ミない?って聞きに行こうー!』って言ってくれた。ユニ君は福祉教室のそう じ。私は恥ずかしいーって言いながらも、ついて行った。教室に入る。ユニ君 は日があたってぽかぽかしている窓のところに寄りかかってた。わぁって思っ た。ゴミない?ってうめさんが聞くと、潤さんが『ある!ありがとー!』ってゴ ミ袋を持ってきた。廊下に出て『話さんとー!』ってうめさんが笑った。私は 『・・カッコよかった。』って言った。笑われた。私はほんとに見ることしかでき ないなぁって思った。

私がタケワっちと流通経済の問題の出し合いっこしてたり、家庭科の栄養価 の計算を一緒にしていたときに、何だかユニ君がこっちを見たような気がし た。一瞬でも、一瞬でもいいからヤキモチぽいのを焼いてくれたらいいのにっ て思った。無関心なのかなぁ。すき、じゃなくていい。気になってほしいと思 う。何かを、思っていてほしい。

『絶対絶対、気になってはおると思うよ!!』上野ちゃんが言った。そうだったら いいのになぁ。気になって、気になってほしい。

11月27日(水) 晴れときどきくもり

転がってるのはティガーとプーさん 2003年の手帳!先週のところ。  その日にあったことをひたすら書いています。  ユニ君のことばかりじゃないよ。  食べたお菓子や、買ったもの。欲しいもの。  小さな字で、たくさんたくさん気持ちを込めて。  
  チャイムが鳴って、少ししてユニ君が廊下を走ってくる。私は壁に背を向け て、有ちゃんやキエちゃんとお話してた。ユニ君が来るところ見れるように・・ ではないのだけれど、朝はいつもこの場所に私はいる。何回こころの中でお はようを言ったかわかんない。こうやって何となくユニ君を見るにはとっても ナイスな場所なのだけれど、おはようを言うには遠すぎるよ。近づきたいの に。アドレスを聞いたときみたく、試合を観に行ったときみたく、おはようを言 うのって勇気がいると思う。

体育へ行くとき、靴箱のところでユニ君たちとすれ違った。すれ違ったあと、 私と一緒にいた友達みんなが私を振り向いてニコってする。でも、堪えきれ なくってみんなで大笑いする。こんな瞬間が、何だかすき。体育のあとも、靴 箱のところですれ違う形になった。わぁわぁーって思って『次の授業って何だ っけ。』って、気がついたらアネゴにヘンテコな質問してた。ユニ君とすれ違 うときは、何だか息が止まりそうになる。ドキドキする。

朝のくもり空がウソみたいに、日差しが教室へまっすぐに入ってくる。ようこさ んとカーテン越しに影絵遊びしながら(影絵してたのは私だけだけれど。よう こさんは恥ずかしいからしないって言った。笑)教室の後ろでお話してるユニ 君を見る。何だか笑顔で、一緒にいる長尾くんとかが本当に羨ましかった。 ユニ君は何だかいろんな人に囲まれてて、本当に人気者だなぁと思う。特別 大きな声でしゃべったり、目立つような行動をする人じゃないのだけれど、ほ んとに好かれていると思う。だいすきだいすき。

そうじへ行くとき、廊下に菊さんがいた。マフラーをしていたので、『うちも!』 って言ったら私にもマフラーをしてくれた。ひとつのマフラーをふたりでする 形になってて、うめさんたちとキャーキャー言ってた。そのとき、横をユニ君 が通って好きな子ちゃんとすれ違ってた。それで、何かヒトコト交わしてた。 私は気づかないフリをしていたのだけれど、うめさんも気付いてて『ほらっ、 ごっち今の見た?』って言った。わぁって思った。ごっちも何か話さな!って 言ってくれた。私も、そう思った。

そうじの時間はおしゃべりタイム。だけど、このときをみんな私の恋のお話の 時間に使ってくれる。『計画表によると、今日はバイバイで明日はおはようや でっ笑』ってうめさん。みんな大笑いだった。それに付けたして有ちゃんが 『で、あさっては"スキ"やんな。笑』もう自分のことなのに、笑いすぎておな かが痛かった。『こうやって計画立てるんは楽しいやろっ』ってうめさん。ほ んとに、恋って楽しいなぁって思う。みんなも何だか楽しんでいるみたいで、 ちょっと複雑な気分だけれどがんばろうっていう気持ちを起こさせてくれる。 みんないつもいつもありがとう。だいすき。

ユニ君が階段を下りてくるときを狙おうって、みんながゆっくり階段を上る。 今日はバイバイ言う日って、やっぱり決まったみたい。みんなでお話しながら 上がっていると、廊下のところに潤さんがいた。てことは近くにユニ君がいる かも!って思った。そしたらうめさんが『すごいっタイミング良すぎ違うん?』 って言った。サッカー部くんたちの中に、ユニ君がいた。わぁ。うめさんは私 に『ほらバイバイやでっ』って言いながら階段を踏み外してしまった。みんな で笑ったり騒いだりした。私はドキドキしぱなしだった。きっと潤さんとかは、 私たちが騒いでいる理由もお見通しだと思う。ユニ君たちが下りてきて、階段 ですれ違う形になる。うめさんや有ちゃんが『バーイバーイ!!』って大きな声 で言った。潤さんが『バーイバイ!』って言った。『バイバイ』ってユニ君も言 ってた。ふわーって感じだった。まだすぐ近くにいるのに、うめさんと有ちゃん は『ごっちぃー!!あの人バイバイ言うたでっ!!』なんて言ってた。わぁぁ。私 は何だかドキドキしちゃってて、自分でバイバイ言えたかどうかも覚えていな いけれど、でも何だか嬉しかった。キャーって、教室まで一直線に走った。

うめさんの架空の計画表通りにはなかなかいかないかもしれないけれど、自 分なりにがんばりたい。バイバイやおはよう、何だかやっぱり恥ずかしいけれ ど、プレゼント渡したときの勇気を思い出して言いたいって思う。

11月26日(火) くもり

11月1日〜11月25日分のログ

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