昨日の日記の、桃色和紙。 何回繰り返し聴いてるかわかんない

私がこうして日記を書くのも今年はこれで最後だから、今日は2002年にお礼を 言おうと思う。すごくすごくすごく、楽しかったよ。本当に色んなことがありすぎ て、少し私には充実しすぎていた気がするよ。2002年の初めは、よしたけから の年賀状で幸せ1年分もらった気分だった。何度も何度も読み返して、クセのあ る字は変わっていなくて、嬉しかった。少しして私は違う人に恋をした。今考え るとその期間はとても短かったけれど、真剣だった。私がとてもとても長い日記 を書くようになったのも、その人をすきになったからだった。告白しようとした日 に、その人の誕生日に、私は失恋をした。想いを伝えることなくその恋は終わっ た。たくさんの涙を流した。もう恋なんかしたくないって、思ってた。

だけどすぐに私は恋をすることになった。体育祭の練習のとき、グラウンドを走る ユニ君を見た。ユニフォーム姿で目の前を、本当に目の前を走っていったユニ君 を私はどんどん気になった。それから私はたくさんの友達の協力を経て、前の恋 では叶えられなかったことをたくさんすることができた。すきな人とする初めての メール。試合を見に行ったり、ワールドカップですきな選手を教えてもらったり。 告白をしてユニ君にすきな人がいると分かったけれど、それでもなかなか諦める ことができなかった。一緒に行ったホームステイでは可愛いロンドンの街並みを 前後で歩くことができた。一緒にロンドンアイに乗れたし、写真も撮った。帰って きてからも一緒にプリクラを撮ったり誕生日プレゼントをあげたりした。たくさん たくさん勇気を出して、たくさん嬉しかった。

今は自分の気持ちがよく分からないけれど、でもこの1年は本当に最初から最 後まで恋をしていたなぁと思う。そのドキドキしたことのほとんどが、これまで書 いてきた日記に詰まってる。その日記を、過去を振りかえるためだけにするのじ ゃなく、これからに繋げていけたらいいなぁと思う。勇気を出したことは自信に変 えて、失敗したことは次は絶対成功させようって、そう思えるようにしたい。何だ か書いていることがよく分からないけれど、ただ長い日記というだけではなく、 その長い分だけ意味を持てたらと思う。

わわ。何だか話が離れてしまったけれど、本当に今年は充実していたと思う。 その1年を日記に書けたことがとても嬉しい。今はユニ君が大すきでこれ以上すき になる人なんかいない!とか思っているけれど、来年の今ごろは全く別の恋をし ているかもしれない。その気持ちの変化も、これからも素直に日記に残していき たいと思う。"日記に素敵なことが書きたいから"という理由で勇気を出したこと が何度もあった。今考えるととんでもないけれど、でもそういう面でも日記を書く ということは自分にとってプラスになったと思う。・・やっぱり何だか話がずれて しまう。とにかく私はこの1年がとっても大すきで、それを日記に残せたことが嬉 しくて、そして来年も日記を書くぞ!ということです。

いつもカキコしてくれる友達、遊びに来てくれるみんな、ありがとうございまし た。また来年も、これからもずっとずっとよろしくお願いします。

12月28日(土) 晴れ

近くの文具屋さんで買った、かわいいうさぎがたくさん跳ねている桃色の和紙。 机の横幅に合わせてそれを折り、透明シートの下へ敷く。今日まで透明シート の下にあったのは、数枚の写真とプリクラ、期限が切れた定期、連絡網。そのど れもがユニ君に関係するものばかりだった。勇気を出して一緒に撮った写真、黄 色の背景でユニ君の前でドキドキしている私のいるプリクラ、"三好"さんという 駅員さんが押してくれた印のある期限が切れた定期、同じ紙の上にユニ君の名 前と私の名前がある連絡網。私はそれらをタンスの小さな引出しへしまった。

こんな方法で簡単に私の心の中からユニ君への気持ちがなくなってしまえたら いいのに。少しでも楽になれるようにと思ってそうしたのに、桃色になった机に 違和感を感じてしまう。引出しを開けようとする私がいる。

大好きなアーティストのアルバムが大音量で部屋に響く。その甘い歌詞の中 の"君"を無意識に変換してしまう。ユニ君からのメールの保存を解除しても、き っと覚えてる。サッカーの雑誌を立ち読みするクセはやっぱり残っていて、Mス テスペシャルでSMAPがfreebirdを歌っているのを見るとあの着信音を思い 出す。鳴らないかな、って何度も期待して携帯の前にいた自分を思い出す。

冬休み、ひとりになれば忘れられると思ったけれど、諦められると思ったけれど 余計に恋しくなって、思い出すことばかりしていて、できそうにもないよ。

12月27日(金) 晴れ

映画を観たあと、お店のショーウインドウの前のベンチに座って菊さんとお話を した。さっき映画を観る前に来たうめさんからのメールのことや、サッカー部のこ と、ホームステイへもう1度行きたいことやフック船長のこと、今までしてきた恋 のこと。その間『○時をお知らせします』というアナウンスを2度聞いた。

『もうみよしくんなんかやめとこ。』 『はぁぁ恋がしたい恋がしたい!』 『でもこうやって話してるときも常に、こう、おるんよ。』 『・・やっぱすきなんかなぁ』

うめさんにメールで諦めると言った。菊さんには踏ん切りがついたと言った。イチ バンユニ君のことを想っていたときよりかは、すきという気持ちは小さくなった気 がするけれど、でも確かに私の中にある。ユニ君をすきという気持ち。1度すき になったら、それは消えることはないのかな。

『でもね、イチバン叶えたい恋だったよ。叶えたいって思いよった。』

話し言葉の中では過去形になったユニ君への恋。私の心の中でも過去形になっ たのかな。気がついたら外は真っ暗になっていて、駅までの道が少し遠く感じ た。メールをした日よりも頬にあたる風は冷たかった。家について洗面所へ向か う。水の温度がとてもとても熱く感じた。何でかわからないけれど、涙が出た。

12月26日(木) くもり

大きなツリーがホールの真ん中に飾ってあります。 あああ 料理が写ってない! やっぱりプレゼントって嬉しいなぁ コモンホールのツリーがピカピカしてて、今日はイブなんだなぁと実感する。 靴箱で会ったしおりちゃんは何だかキラキラしていて、今日の放課後が何だ か待ち遠しそうで可愛かった。私はこの日曜にあった出来事をずっとずっと考 えていた。朝の号令をかけるユニ君。いつもと全然変わりはなくて、私はいつ もと同じようにその声を聞いて、何かを思った。

女の子の日になってた。私はここ半年間くらい、いつもこのときになると熱が 出る。大掃除のときにすごく寒気がして、日のあたっているところに座らせて もらってた。だけれど有ちゃんや上野ちゃん、あねごがとっても心配してくれ て保健室へ行くようすすめてくれた。担任のえりちゃんもそう言ってくれて、 私はほうきを上野ちゃんに渡して保健室へ向かった。保健室では菊さんやジ ャスミンがベッドを用意してくれた。カーテンの向こうに聞こえるみんなのおし ゃべりをなんとなく聞きながら、毛布をほっぺまで被った。イブなのに私は何 でこんなところにいるんだろうとか思った。

熱はやっぱり少し高くて、保健の先生はもう少し休む?と言ってくれたけれど 学年団集会が終わったみたいで、あとは帰りのSHRだけだと言ったので戻る ことにした。保健室を出ると、体育館のほうからバタバタと足音が聞こえた。 うめさん、あねご、ちょぴんが私に向かって走ってきた。大丈夫?って言って くれて、みんなが持ってた膝掛け毛布を私にぐるぐると巻きつけた。足にお腹 に頭にそれを巻ながら、私たちは大笑いしながら教室へ向かった。何だかそ れがとってもとっても暖かくて、ちょっとだけ涙が出そうになった。教室に入る と、私の席の近くにいた有ちゃんやキエちゃんやしおりちゃんも心配してくれ ていて、もう何だかほんとに私ってば幸せだぁって思った。

今日私は何人かの人にユニ君のことを言った。クリスマス誘ったけれど、断ら れたこと。私は話しながら、もうユニ君のことを嫌いになったと言った。ハッキ リ言ってくれないところに腹が立ったと言った。自分が上の立場になって調子 にのっているんだ、とも言った。私は自分がこんなに汚い言葉を使っているこ とにビックリした。あんなにすきだった人なのに。だけれど私は今回のことで 今まで私は自分の中でユニ君のことをとても美化して見ていたと実感した。 自分の中でのユニ君と、実際のユニ君はやっぱり違う。それはあたり前なの だけれど、その差に私は絶えられなかったのかな、と思う。そしてそれはやっ ぱり片想いだったということだと思った。

私は夏の初めに振られて、今までの間すごく真剣にユニ君のことをすきだっ た自信がある。初めに日記にユニ君の名前が出てきたときは、こんなにすき になるとは少しも思っていなかった。アドレス聞いたときの勇気も、大会を見 に行った勇気も、一緒にプリクラを撮ったり写真を撮ったことも、オフサイドの 意味を聞いたことも、隣の席になって沸騰寸前だったことも、忘れることがで きないけれど、ユニ君のために使った勇気や嬉しかったことや流した涙や悩 んだ時間は、全然無駄じゃなかったって自信を持って言えることができる。

"うん!よくがんばった!"

久保くんがそう言ってくれた。"振られても、自分が納得するまでがんばった らいいと思うよ。無理にあきらめることはない。"そう以前に言ってくれた人。 私は納得するまでがんばれたと思う。振られてから諦めるまで半年以上もか かったことになるけれど、この半年は本当に私にとって充実していたと思う。

明日から冬休み。しばらくの間、ユニ君を見ることはない。本当に諦めるのか と言ったら嘘になるし、すきにならない自信もない。またきっとドキドキしちゃ うと思う。気がついたら携帯を握っているかもしれないし、今まで通りサッカ ーの雑誌を立ち読みなんかしちゃうと思う。だけど、少しの間ユニ君のことを 気にせずにのんびり過ごしてみようと思う。またすきになったらそのときはそ のときで、新しい片想いとしてまたがんばろうと思う。

ほんとは雪を降らせたくてしょうがないような白い雲を見ながらそんなことを 思った。ハピハピ メリークリスマス!

12月24日(火) くもり

まだ6時前なのに、外はもう真っ暗だった。なぜだかわからないけれど、自転 車の電気が壊れていて真っ暗な道を真っ暗なまま走った。待ち合わせ場所 へ行くとまだ誰もいなくて、あゆみちゃん宛にメールを作成する。だけれどそ れが完成する前にあゆみちゃんはやって来た。そこからまた少し走って、ゆ きうらがバイトしているファミレスへ向かう。

じゃんけんで勝ったほうがえりか、負けたほうが飯野にメールをすることに。 私はじゃんけんで勝って、えりかに"あゆみちゃんとごっちは着きました☆" と送った。少しして、飯野がやって来た。なぜだか分からないけれど、私とあ ゆみちゃんは大笑いしてしまった。久しぶりに会う飯野は10センチくらい背 が伸びていて、可愛い面影があまりなくなっていた。あゆみちゃんは飯野が ハリーポッターに似てると言い出して、また大笑いだった。私は携帯のカメラ で飯野を撮って、雷のスタンプを飯野の額に押した。それをふたりに送信した ら飯野に怒られて、また笑った。この感じ、久しぶりだーって思った。

えりかが来るまでしばらく外で待っていたのだけれど、入ることにした。メニ ューの置き方ひとつひとつや、頼むものひとつひとつになぜだか必ず誰かが 笑い出す。えりかが来たらイチバンにココだってわかるように、窓の外に向か ってみんなで常に手を振っていよう、とかわけわかんないけれど、笑った。少 ししてゆきうらが私たちのテーブルに来てくれて、『池ごっちの笑い声、めち ゃ聞こえたよ』って言われた。ゆきうらはやっぱり大人っぽくて、ウエイトレス さんも何だか似合ってて、そしてやっぱり飯野が『ほんまに俺らより年下なん か?』と言っていた。ゆきうらは昔からすごーく大人っぽくて、可愛い。

えりかがやって来て、私たちのテンションは更に高くなる。ゆきうらに各自い ろんなメニューを頼んで、いろんなお話をした。中学のときの思い出話、今の こと、えりかがにんじんを嫌いなとこは変わってなくて、そしてやっぱりみん なも全然変わってなかった。『高校生って、もっと大人かと思ってたよ』って私 は言った。みんな同感してたけれどよく考えて、中学のときはこんな風にファ ミレスにみんなで食べに来ることなんてなかったなって思った。私たち、やっ ぱり少しは大人になったのかな?

"クリスマス、もしよかったら一緒にどこか行かない?"

みんなとお話している間、私は必死で携帯と格闘してた。"遊びに行かな い?"だとチャラチャラしてるって思われるかなぁ?とか、"過ごさない?"だと 何だかちょっとだけやらしくない?とか、みんなに相談にのってもらった。み んなもすごく考えてくれて、結局その一文だけで3時間くらい考えたことにな る。ワザト飯野にその文を送ってみて、『ドキってした?』とか聞いてみたりし て。私が送信ボタン押すの戸惑ってたら『みんなの指、ごっちの指に重ねて みんなで押そうで!』とか言ってくれて、泣きそうになった。何で私は学校で も、学校が違うみんなにも、こんな風に応援してもらえるんだろうって思った。 えりかが『5.4.3.2.1!』ってカウントダウンして、私はそれに合わせて送 信ボタンを押した。たぶん、メールをしだした春頃みたく、緊張してた。『送っ た!』って言って、ふーって机に伏せたら涙が出てきた。みんな『すごい!』 って言って、ほんとに暖かい目で見てくれてて、もっと涙が出た。

ユニ君からはなかなか返信がなかった。みんなが何度も来た?来た?って聞 いてくれたけれど、私は何度も首を振った。ゆきうらのバイトの時間も終わっ て、えりかとゆきうらがデザートを食べて、帰ることにした。席を立つとき携帯 が鳴った。レストランの中がザワザワしていて音は分からなかったけれど、直 感でユニ君だと思った。みんなが勘定をしている間私はこっそり携帯を見た。

"ごめん、もう予定入ってる" 倒れそうになった。同時に叫びそうだった。帰 り道、みんなでまたメールの話になったけれど、言えなかった。途中、みんな に気付かれないようにユニ君に返信をした。"そかー、彼女???"もう、一 文に3時間かけてた私がウソみたいだった。やる気のない返信。みんなと別 れて家までの一本道を走る。10時半を過ぎてて、車もほとんど通らない。白 い息がやけに明るく見えて、その息を目で追い空を見た。冬の星はとっても とってもキレイで輝いてた。手を伸ばせば届きそうなのに、空は高い。この恋 も、届きそうでいつも届かない。頬に何かを感じて、始めて泣いてることに気 付いた。息が荒くなり、目の前は白い息でいっぱいだった。

"そこはご想像にお任せします☆"

- うわーん 気になるやん!教えてください

"いやいや。無理無理ええやんその話は。やめようぜ"

ひどいって思った。私はすごく真剣なのに。がんばったのに。気になるのに。 ベッドに横になりながら、涙が止まらなかった。ユニ君は私の気持ち知ってる から、だからこそハッキリしてほしかった。迷惑ならハッキリ言ってほしい。彼 女いるのならハッキリ言ってくれないと、私諦めることも想い続けることもでき なくなる。私の気持ちが重いなら、迷惑なら遠まわしに言わないでハッキリ 言ってほしい。そのあともメールをして、何だか冬休みは予定でいっぱいだ、 とか言ってたから

- じゃぁたくさんの予定、彼女さんとラブラブしてくださいねー

って送った。もう、私は携帯の前ですごく怒ってた。何だかムカムカした。だ けど、その少し前のメールで風邪だとか言ってたから、ほんとにムカムカして たのに、ハッキリしないユニ君に怒る気持ちでいっぱいだったのに、最後に "風邪はやくなおったらいいね。"と付け足した。ユニ君に怒ってたのに、正直 ほんとにムカムカしているのに、私はほんとにユニ君がすきなんだと思った。

すきなのに上手くいかない。ユニ君に彼女さんがいたら本当に諦めることが できるかもしれないのに、何だかハッキリしないまま。ユニ君は私の気持ちを 知っているのに、迷惑だと思っていそうなのに、誕生日プレゼントをあげたら 笑顔だし、プリクラも写真も一緒に撮ってくれた。もう、わかんないよ。

あゆみちゃん、えりか、ゆきうら、飯野にメールで全部伝えた。勇気をくれた ありがとうと一緒に。リビングに行くと電気は消えてて、お風呂場から流れて くるゆずの香りに気がついた。今日は冬至。イチバン夜が長い日。ほんとに 長かったと思う。これから、だんだん1日の明るい時間が増えて行くんだね。 私のこの恋も、気持ちも、明るくなればいいなと思う。もう23日になっちゃっ たけど、ゆずのお風呂に入ってきます。

12月22日(日) くもり

12月2日〜12月20日分のログ

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