テスト期間、いつもよりもひとつだけ早い電車で行くことにしてる。今日は玄 関のドアを開けたときから何だか冷えるなぁと思っていたのだけれど、自転 車に乗っているとほんとに空気が冷たく感じた。午後は暖かいよってお母さ んが言ってたから手袋をしてこなかったのだけど、少しだけ後悔。

車が来なかったら渡っちゃう信号。でも今日はいつもよりも少しだけ車が多 くて、大人しく待つことにした。手に感覚がなくなってきてて、ほっぺに当て たり息を吹きかけたりして手を暖めてたとき。反対側の歩道に、よしたけが 来た。今日でふつか連続だ。ここで可愛く『おはよ〜!』なんて手を振った りしちゃってもいいかなっていつも思うのだけれど、ずっとずっと気まずい 感じだったから、それが今でも続いてる。(私の中でだけだけど。)とっくの 昔に時効なはずなのに。ほんとはむちゃくちゃ気付いてるのに、気付いてな いフリをしちゃった。次どこかで見かけたら、手を振ってみよう。

チャイムが鳴った瞬間、有ちゃんが振り向いた。『終わった〜ぁ!』って言 った。1週間休みなしでテストだったのは初めてで、テストの出来はイマイ チなはずなのにすごく開放感があった。思いっきり遊びたい。お買い物した い。昨日、階段の人が近くにいてあんまり読めなかった雑誌を読みたい。階 段の人のこと、いっぱい知りたい。

有ちゃんと放課後の廊下でいっぱい階段の人のことをお話した。すっごくす っごく気になってるよ。人ごみの中、階段の人のほうをパって見て「いた!」 とかって思って向きなおしたら有ちゃんがニタニタしてた。『ほんまに恋しよ るなぁ!』って言われた。少し前まで『恋じゃないよ、気になりよるだけ!』 って言ってたけど、今日は言わないでおいた。

お昼を過ぎて帰るとき、朝のひんやり感はなくなってて、すごーい暖かかっ た。一緒の電車に乗ってた隣の高校の人が『今なら即寝れそう!むちゃ暖 かいー!』って言ってて、ほんとにそんな感じ!って思った。

2月28日(金) 晴れ

 

1時間目から簿記のテスト。今度こそと思ったけれどやっぱり出来はイマ イチで岩澤ちゃんとアネゴと階段を下りながら気分はむちゃ沈んでた。2 時間目は空きなので食堂で勉強することに。月曜日、岩澤ちゃんと勉強し たときと同じ場所に座った。3時間目にある保健の教科書を開いた。そした らドアのところに階段の人がいた。むちゃ喜んでしまった。階段の人は私 の後ろ側のテーブルに座った。私も岩澤ちゃんの側の席に座ればよかっ たって思った。そしたらなんとなく見れたのになぁ。

せっかくの空き時間、テスト勉強できるのに私は教科書開きながらそれど ころじゃなかった。何だか集中できなくて、結局あんまり覚えることができ ていないままチャイムが鳴った。ザワザワとみんなが席を立って、私たち も次の教室に向かうことにした。そしたら階段の人たちも席を立ってて、食 堂を出るときちょうど私たちの前にいた。うはーって思った。やっぱ背、高 いなぁって思った。

食堂を出て、階段の人の後ろ歩ける〜!なんて思ってたら階段の人と友 達くんは立ち止まって何か話しだしたみたいで、結局追い抜くことになって しまった。後ろ歩きたかったのに!って思いながら、岩澤ちゃんとアネゴと どこが出るかなー?ってテストのヤマをはった。階段を上りながら教科書 を見て『健康日本21!笑』てむちゃ大きな声で叫んで岩澤ちゃんたちのほ うを向いたとき、真後ろに階段の人がいたのに気付いた。うはーって思っ て、同時にすごい恥ずかしくなった。何、健康日本21って!同じ叫ぶなら その横に書いてあったノーマライゼーション、とかのがカッコイイって思っ た。聞こえてませんようにって思ったけど、でも聞こえててほしいとも思っ た。後ろは歩けなかったけど、後ろに歩いてた。嬉しかった。

私が叫んだ「健康日本21」はテストに出てて、あとから岩澤ちゃんとアネ ゴと有ちゃんにむちゃくちゃ感謝されてしまった。2点分!やったぁ。もし 階段の人に聞こえてて、テスト解くときに『あのとき誰か叫んでたなー』と か思ってくれたらいいのにとかって勝手に考えた。聞いてるはずないし、 思ってくれるわけもないけど、でもこんな風に考えるのが楽しかった。

テストが終わって電車が来るまでの時間、駅の近くのお店に寄ることにし た。前にふつか連続で階段の人に会ったところ。入口に同じ高校の自転車 がいくつか置いてあったから、まさか!なんて思った。そしたらそしたら前 もいた本屋さんに階段の人がいた。すごすぎって思った。こんなにいっぱ いいいことあっていいのかなって思った。階段の人はマンガのところにい て、友達くんとお話してた。私は雑誌コーナーのところにいて、ひたすら緊 張してた。そのあと雑誌コーナーの目の前にある携帯屋さんのところで携 帯見てた。もうどうしようかと思った。気付いたら電車の時間が過ぎてて、 自分で呆れてきた。でもやっぱ嬉しかった。

2月27日(木) くもり

 

自分なりに勉強できたと思っていた教科に限ってテストがいまいちだった りして、何だか2年最後のテストなのにすっきりしない気分。アネゴと結果 にぶーぶー言いながら廊下を歩いた。階段の人の教室。誰もいないの分 かってても、階段の人いないの分かってても、見てしまう。テスト期間に入 ってからあんまりすれ違ったり見たりしてなくて、はやくテスト終わってほ しいって思う。

明日もあるねーとかって泣きそうになりながら階段を降りてたら、ユニ君と すれ違った。ユニ君は下を向いた。教室に彼女さんがいたから、今から一 緒に勉強するのかなって思った。はやくテスト終ってほしいって、思った。

アネゴも菊さんもたえちゃんも自転車。私は駅まで歩きなので、小走りで 着いて行くことにした。『たえちゃんとうちっていつもテストのとき一緒に帰 ってるよねー!』ってたえちゃんに言ってから、あって思った。前も、その 前のテスト期間のときも、たえちゃんとユニ君のお話しながら帰った。こう やって帰ってるときに向こうからお昼買って戻ってきてたユニ君にすれ違 って、バイバイって言うか言わないか迷いまくったときも、隣にたえちゃん がいたんだ。前にすれ違った場所を通るとき、ちょっと思い出した。

『ごっち最近どうなんな??』ってたえちゃん。私はすきじゃないけど、気 になってる人がおるよって言った。『むちゃ気になるし!誰誰?何組?』な んて言うから、少しずつヒント出しながら帰った。ひとつヒントを言う度に 分かっちゃうかもって思って、ひゃーとか言いながら前を走るアネゴのとこ ろに走った。さっきまでユニ君のこと思い出したりして気分がのってなかっ たんだけど、何だか楽しかった。

この前帰ってたときに、階段の人が追い抜いて行って曲がった信号のとこ で『ここの信号曲がるひと!』って言った。『分からんしー!笑』ってたえ ちゃんは言ってた。でもだんだんバレちゃって、最後には『分かったー!』 って言われた。それでたえちゃんとバイバイするときに、『いっぱい恋した らいっぱい可愛くなれるで!応援するし!』って言ってくれた。ありがとう って言った。はやくテスト終って、いっぱい階段の人のこと知りたいって思 った。

2月25日(火) くもり

 

例えば『気になるひとができたかも。どうしよう?』って友達に相談すると する。そのとき、実は自分の心の中ではしっかり答えが出てるんだって。 受け入れるか入れないか、悩んでいるときは受け入れたいんだよねって。 その通りだと思った。私が少しずつ友達に階段の人のことを話し始めたの も、前みたく応援してほしいって思ってるんだって思った。認めたくないけ ど、その通りだと思う。

ぽかぽかベランダでお話。氏家ちゃんは窓をコツコツたたいて、教室の中 にいる長尾君を振り向かせた。長尾君は鍵を外して窓をあけて『なに?ど したん?』って氏家ちゃんをみた。私とタニミカと岩澤ちゃんは『もう、かわ いいのーふたりはっ!』ってずっと言ってた。私が長尾君に向かって『氏 家ちゃんはうちのやけん、長尾君にや渡さんよー笑』って言ったら長尾君 も氏家ちゃんも笑ってた。岩澤ちゃんが『どうする長尾くん!ライバルやで ー!』って言ってた。ベランダはぽかぽかしてて、おまけに氏家ちゃんと長 尾君のラブラブを見ちゃって、何だかもう春って感じだった。

『うーめさん!』って休み時間にうめさんをベランダに誘って、相談を聞い てもらうことにした。『あんね、前言ってた人のこと、やっぱすごい気にな ってしもた。』って、ベランダの手すりに伏せながら言った。うめさんは『ほ い来た〜!!』ってむちゃ笑顔で言ってくれた。『あたしもな、前ごっちが言 ってから「あーこの人かぁ」なんて見てたんやけど、いいひとそうじゃない ん?優しい人やってよく聞くし!こりゃ行っちゃうか〜??笑』って言って くれた。ユニ君のときもこんな風にうめさんはいっぱいいっぱい支えてくれ た。ユニ君への恋は上手くいかなかったから、うめさんに"協力しても無 駄"って思われないかなってちょっとだけ思ってたんだけど、少しでもそう 思った私が恥ずかしくなるくらい、うめさんは私が階段の人を気になって いることを受けとめてくれた。

『ごっちは気になってからすきになるんが早いもんな!笑 あ、でもあたし がこんなして盛り上げるからやろか?でもまたがんばろな!』って言って くれた。むちゃ笑ったけど、何だか嬉しくて泣きそうになった。うめさんに こうやってお話するだけで、恋がうーんと進んじゃう気がする。『最初の恋で や何もできんかったのに、みよっしーのときはアド聞けたしプリクラも撮っ たりしたやん?ほらごっち、すごいがんばれとるんよ!だんだん進みよる やんか。やけん今度はもっともっと・・な!楽しみやわぁ!』ってうめさん。 ありがとう。いーっぱいありがとう。私、がんばりたいって思ったよ。

2月21日(金) くもり

 

たぶん1日だけメールを交わしたこと、階段の人は気にかけるどころかす っかり忘れてしまっていると思う。私だって気になりはじめる前は忘れて た。だから、思い出してほしいから、私のことを気になってほしいって思 う。そう思う気持ちは恋なのかもしれないけど、それとは少し違う感じ。

一緒に氏家ちゃんと教室を出てクラスに戻ろうとしたのだけれど、氏家ち ゃんは立ち止まったままだった。廊下で止まったまま少し考えて、あって 思った。後ろには長尾君がいて、やっぱりそうだったのねって思って『ひゃ ーごめん、うちって気がきかへん子やぁぁ!!』って言いながら、タニミカと 岩澤ちゃんのほうへ戻った。氏家ちゃんは大笑いで『や、違うよごっち!!』 って言ってくれたけど、長尾君が目で訴えてたのです。邪魔やーって。タ ニミカと岩澤ちゃんも大笑いしてて『よしよし。明日は気をつけんとね!!ま た長尾君に睨まれるで!笑』って慰めてくれるフリをしたので、私も『長尾 君に睨まれたぁぁ』って泣くフリとかして、ほんとに笑った。長尾君は『や、 睨んでないし!笑』とか言ってたけど、氏家ちゃんと仲良くお話してるのみ て、やっぱ邪魔だったんだって思った。明日は気をつけるけん。

廊下であゆみちゃんを待ってる間、階段の人も廊下で友達を待ってるみた いだった。うーわーあって思った。ひとりで勝手に緊張してた。たったの5 分くらいだったけど、とっても長く感じた。氏家ちゃんが近くに来たので 『この前言ってたひと、あのひとね。ドアのとこの。』ってヒソヒソ話な感じで 教えた。氏家ちゃんはニカーって笑ってた。そのあと大きな声で氏家ちゃ んにバイバイって言った。声が階段の人にも聞こえたらいいなって思っ た。

階段の人は私よりも先に帰っちゃって、少しだけガッカリした。あゆみちゃ んの準備も終わって靴箱へ行ったら、食堂の中に階段の人が見えた。わ ぁって思ったけど、そのまま帰ることにした。すきですきでどうしようもな かったら、食堂に入ってたと思う。駅までの道。今日は風が冷たくて、寒い ー寒いーって言いながら歩いた。『昨日みた天気予報ねー、お昼から雪と か言いよったよ。』って言った瞬間だった。後ろから自転車で階段の人が 追い越していった。うーわーあって思った。ふと横を見たらあゆみちゃん の大きな目が輝いてて、ふたりで笑った。階段の人は友達ふたりと 帰ってた。途中で角を曲がってた。家、あっちのほうなのかって思った。

『これ、来たー??恋、しちゃったね??ひゃー!』ってあゆみちゃんの目 がもっと輝いた。私は『恋じゃないよー絶対。ただ会えたり見たりしたら嬉 しいだけなん!!』って言った。あこがれ、なんだと思う。『お兄さん、な感 じしない?』ってあゆみちゃんが言った。階段の人は落ちついている感じ で、すごーく優しい雰囲気で、すごく気になる感じ。『協力しまくるよ!』っ て言ってくれたけど、そんなのじゃないよ。ただ、1年の秋ころに1日だけ メールをしたこと、下の名前で呼んでたこと、覚えててほしいって思った。

2月20日(木) くもり

 

ぽかぽかお日様のあたる窓側の席で、ウォークマンで音楽を聴きながら友 達に囲まれてマンガを読んでた。だから私もぽかぽかお日様のあたる窓側 の席で、教室は違うけれど同じ場所にいる階段の人のことを、アネゴと の んびりお話した。すきって感じじゃないけど、すごーく雰囲気が暖かい階段 の人のことをお話するのはとっても落ちついた気持ちになれる。何の音楽 聴いてたのかな、とか、すきな子はいるのかな、とか そんな感じだけだけ れど。

『勢いで言っちゃった。電話で言うたんで!すごい?』私だけにこっそり教 えてくれた。結果はダメみたいなのだけれど、これからたくさん自分のこと を知ってもらうんだって嬉しそうだった。今日も朝いちばんにおはようって 言ったんだよって教えてくれた。ぜったいぜったい、上手くいくって思う。 振られても諦めないって、すごくカッコイイって思った。彼女がいるとかじ ゃないから、ほんとにチャンスだよって思う。名前は出さないけど、ほんま に応援しよるけんね。

アネゴと上野ちゃんにごめんなさいを言って、帰りのSHRが終わると同時 に学校を出た。ほんとはそうじの時間だけど、5時から歯医者に予約をし ちゃっているのでどうしても4時9分の電車に乗りたかったのです。いつも より早い電車。黄色とオレンジの光が眩しくて目を閉じた。このぽかぽか 感が教室の窓側の席と一緒で、少しだけ嬉しかった。

歯医者さんの受付の人が次回で終わりですよって言ってくれてむちゃハッ ピーだった。帰り道もまだ明るくて、おまけにぽかぽかしてて、それにそれ に次で終わりだなんて嬉しすぎた。大きな通りのとこで信号待ちしてたら、 向こう側の歩道に同い年くらいの男子がいた。最初は全然気になってもな かったのだけれど、シルバーの折りたたみ自転車に目が止まってしまっ た。もしかしてって思ったときに信号が青になって、もしかしてって思った まま通りすぎる形になった。もしかして、は当たってた。わぁーって思っ た。自然と笑顔になってしまった。2年前のバレンタイン。チョコブラウニ ーをあげた張本人のよしたけだった。

髪がワックスつけた感じで無造作になってて、前の猿っぽい面影はなくな ってたけどぜったいそうだ。ちょっと姿勢が悪い感じとか、ぜったいそう。 通り過ぎたとき『ゴホゴホゴホッ』って言ってた。風邪ひいてるのかな。で も見れてよかった。すごーい嬉しかった。もう絶対に隣の席になって、津 郷たちと一緒に騒いだりとかはできないけど、でも行きたいって言ってた 進路で思いきり活躍しててほしい。

ただすれ違っただけなのに、すごいパワーもらえた気がする。中学のとき の気持ちが鮮明に思い出せた。今の高校に絶対通いたいって思ってた強 い気持ち。最近、理由をつけては勉強から離れようとしてたけど、だめだ ね。あのときの気持ち大切にして、今いる場所で思いきりがんばりたい。 勉強も、恋も。

2月17日(月) 晴れ

 

友チョコの山! むちゃおいしかった

教室に入ると『ごっち〜!こっちおいで!いらっしゃいませー♪』って机の 上にタッパーを並べてうめさんとようこさんが手招きした。わぁーって思っ て走っていったら『どれでもすきなん食べてえーよ!』ってたくさんのタッ パーの中から選ばせてくれた。クッキーにチーズケーキにトリュフにブラ ウニー。朝からこんなに食べていいのかなってくらい食べちゃった。私も みんなに昨日つくったブラウニーをあげた。みんなすごい喜んでくれて、 私までハッピーだった。今日は男子よりもチョコもらった自信あるよ。

お昼休みに各部の部長&会計が集まることになって、私は会計なので行く ことになった。そしたらその中に階段の人もいて嬉しかった。階段の人に 私の気持ちはバレてないから少しだけ大胆になって、プリントを提出する とき横に行ってみたりした。やっぱりやっぱり背がすごく高かった。少しの 間だったけど近くにいれて嬉しかった。そのあと教室へ戻るとき、教室の 中にいる階段の人と3秒くらい目が合った!うーわーあーって感じで飛び 跳ねたいくらい嬉しかったけど、すきじゃないんだしって思って嬉しいのを 我慢した。

『ごっちはチョコ誰かにあげんのな?』って横にいたあいちゃんが言って、 私が『本命!て人がおらんもん〜!』なんてお話してるときだった。私の 歩いてる廊下に、ユニ君と彼女ちゃんがいた。どわって思った。もうすぐそ の前を通らなくちゃいけないのにって思った。あいちゃんとお話してたのに 考えてることが全く違った。もしかして、やめてやめてやめて。そう願った のに、恐れてたそのことが目の前であった。彼女ちゃんから紙袋をもらっ て、ユニ君はニカってあの笑顔で笑った。気になんてならないよって、もう 平気だよって笑顔でいようとすればするほど、ほっぺが固くなった。涙が 出そうになった。声を出して『いやだ!』って叫びたかった。付き合ってる んだからチョコを渡すのがあたり前なのは分かってるけど、こんなに目の 前でそれを笑顔で見守れるほど平気になれてなかった。やっぱり神様はイ ジワルすぎると思った。何で私がイチバン近くで見なくちゃいけないの? タイミング悪すぎるって思った。もうやだって、誰かに言いたかった。

岩澤ちゃんは朝いちばんに勇気を出したみたいで、『渡したよ渡したよ!』 って幸せそうに教えてくれた。ちょうどその相手の人が近くにいたので『後 ろおるよ!その人v』って教えてあげたら『え!うそ〜??』って言いなが ら絶対後ろを見ようとしない岩澤ちゃんがすごく可愛かった。岩澤ちゃんに は言わなかったけれど、その相手の人がずっと岩澤ちゃんのほう気にして て、こりゃぁ意識してるって思った。やったね岩澤ちゃん☆

移動教室のとき、階段の人の教室で授業をすることになった。氏家ちゃん が座った席の横が階段の人のHRでの席だったから、私はそこに座ってみ た。座ってから、恥ずかしくなった。氏家ちゃんとは授業中、ずっとお手紙 交換してお話した。途中でケンちゃんに手紙を大きな声で盗み読みされた りして、ヒヤヒヤしたけどそれがまた楽しかった。「どうしよ。机の中にチョ コ入れちゃおっか!」とかって話して、笑った。ほんとにそうしちゃおうかと 思ったけど、そんなの怪しいだけだからやめておいた。階段の人。チョコ 渡したら、意識してくれたかな。

授業が終わってケンちゃんにチョコあげた。(もちろん義理)そしたらすご くビックリしてて、いつもみたく『いらんわこんなん!』とかって捨てられた らどうしようって思ったけど『おっ!ほんまに?わーありがと!』ってすご いニコニコして受け取ってくれた。他にもケンちゃんはたくさんの生徒から もらっててビックリしてた。職員室で自慢したりするのかな。

階段の人は誰かからチョコ、もらったのかな。すきな人はいるのかな。気 になって気になってしょうがないのは、階段の人。心をズキズキさせるの はユニ君。今日はほんとにどうしようかと思うくらいズキズキしたけど、で も今は大丈夫。落ちつきました。ゆっくりとだけど、階段の人のことを気に なってる時間がだんだん長くなってる気がする。今はまだよく分からない けれど、その時間がユニ君よりもずっとずっと長くなればいいなって思う。

2月14日(金) 晴れ

 

おととしの今日、初めて作ったハート型のチョコブラウニー。渡せない渡 せない、恥ずかしくて絶対渡せないって半泣きになってた。お母さんに『そ んなこと言うんなら作るんじゃないの。』って冷たく言われた。大きく作り すぎたハート型のブラウニーは、閉店ギリギリまで悩んで悩んでやっと選 んで買ってきた可愛い箱になかなか入らなくて、もっと涙がこぼれた。や っと歪だけれど箱の中に収まったときには、12時を過ぎてたんだっけ。そ れから何度も何度も書きなおして書きなおして、たった3行のことばを2時 間かけてカードに書いた。そのときには"渡せない"って思ってた不安も小 さくなってた。絶対渡すんだって、強い気持ちに変わってた。

よしたけがおいしいよって言ってくれたチョコブラウニーを、今年は友チョ コという形でだけれど作ってみた。あのときよりもおいしく作れるようにな ったよ。時間もあのときの倍近く短くなった。おととしは、焼く間もオーブン の前で20分間いるのなんて平気だった。だんだん膨らんでいくブラウニー を、ずっとみるのはとても嬉しかった。今はあのころみたいに純粋な気 持ちにはなれないけれど、でもあのときの気持ち忘れたくないって思う。

今年は勇気を出す側ではなく、応援する側になってバレンタインを過ごし ます。私の大切な友達も、勇気を出すみたい。おととし、去年、みんなが 私を応援してくれたみたいに、私もいっぱいいっぱい心を込めて応援しま す。恋する女の子にとって、素敵なバレンタインになりますように。

2月13日(木) 晴れ

 

後ろに並んでた1年生の男子も大笑いしてた。うちの高校にやって来たハ イテクなソフトクリーム機。いろんな種類があって、どれもおいしそうで迷 った。自分でぐるぐる巻くのだけれど、思ったよりも早くクリームが出てき て、私は大きく巻きすぎたみたいで食べたら中が空洞だった。円テーブル で食べながらロディが巻くのをうめさんとアネゴとみてたんだけど、むちゃ 上手に作ってて大笑いした。しかもチョコを選んでて何だか可愛かった。 ソフトクリームを無表情で食べてる人なんていなかった。みんな幸せそう な顔して、そしてちょっとだけ子どもに戻った感じ。

教室に戻って、ベランダで日向ぼっこしてたふじことゆかりっちに、ソフト クリームおいしかったよって報告。『ごっち、ストロベリー食べたやろ!』っ てゆかりっちが言ったけどはずれです。今日はメロンにしてみた。イチバ ン食べてみたいストロベリーは、いつかすきな人と向かい合わせで食べた いなって勝手に思い中。そんな夢描いてたら一生ストロベリー食べれない 気がするけど、それくらい固い決意したい気分。ストロベリー食べれます ように!!

窓側の席はぽかぽかして、気がついたら目が閉じよう閉じようとしてる。 カーテンを閉めないと光がノートに反射して眩しいのだけど、今日はなんと なく我慢してみた。そんな眩しさもすごく心地よかった。

同じ部活の宮武くんは人気者。部会でみんなで紅茶を飲んでたときに、み んなで『宮武くんにチョコあげるけんのー☆』とかって言いまくって、それ で私が『宮武くんモテモテやのー!照れとるし!うひひ』ってからかったら 『何がうひひや!』とかって更に照れてた。その素直なとこが人気なんだ と思うなぁ。バレンタイン、ドキドキだね。

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P.S 誰かさんへ。
おやすみで終わらせたのに、おやすみって返ってきた。携帯のメールでは よくあることだけど、パソコンのメールでリアルタイムだったのって久しぶ り。2年ぶりにお話している気分になったよ。たぶん私の気持ちを君が知 らなかったら、私は君をすきになってたと思う。なんて思ってみたりなんか して。思ってみただけだよーう。

2月12日(水) くもり

 

ぽかぽかぽかぽか。もし私が何かの花の蕾だったりしたら、今日のこの暖 かさで咲いちゃうと思う。花の蕾だなんてずうずうしい例えしてしまったけ ど、本当にそんな感じでお昼ころまでぽかぽかしてた。2・3時間目の生物 の休憩時間は菊さんとアネゴと渡り廊下で日向ぼっこ。ぽかぽかぽか。ど んな景色だって春に見えた。この暖かさがすき。ぽかぽか。

朝、遅刻電車(本鈴3分前に着く電車)で最近よく一緒になる高縄ちゃんと 何だか今までよりもたくさんお話するようになった気がして嬉しい。遅刻す るのは嫌だけど、ふたりで猛スピードで学校に走るのとか楽しすぎる。科 が違うから授業もクラスも全然一緒じゃないのだけれど、こうして仲良しさ んになれてよかったと思う。今日は気分的にサワヤカだったので、高縄ち ゃんにはもちろん廊下ですれ違ういろんな友達に『おはよう☆』って言った 気がする。朝じゃないのに言ってたりもしたから、みんな笑ってた。ほんと に何だかわかんないけど晴れの日って心も晴れる気がする。

お昼もベランダに出て、みんなで「暖かい〜」「幸せ〜」なんて言いながら お弁当を食べた。ゆかりっちは床に膝掛けを敷いて寝転がってた。すごい 気持ち良さそうだった。私も寝転がりたいーって思ったけど、横になったら 絶対5.6時間目は寝ちゃいそうって思ったから、やめておいた。

食堂にハイテクなソフトクリーム機ができたみたいで、学校中は大騒ぎ。 (私だけが騒いでるのかもだけれど。)抹茶にキャラメル、ゴマ、夕張メロ ン、チョコ、ストロベリーなどなど。一体うちの高校は何考えてるんだろ。 私はタイミングが悪いのか、いつも食堂のおばちゃんに「ごめんねー、終 わっちゃったのよ」と言われちゃうので次こそはがんばって食べたい。どう やらポッカさんがソフトクリームつくるの上手みたい。すごいなぁ。

放課後、あゆみちゃんと後輩の田渕ちゃんで3年生の担任の先生からのメ ッセージを撮影するために学校中を廻った。卒業式の前日に行われる3年 生を送る会で流す予定。衣装を用意したり実験に使う用具を出してくる先 生もいて大笑いした。体育教官室へ移動しているときに、部活をしている 階段の人を見つけた。私たちはその真横を通らなくちゃいけなくて、うわぁ って思った。でも同時にむちゃ嬉しくてしょうがなかった。あゆみちゃんが 私を見てニカニカしてた。近くに行けたときは嬉しかったけど、でもそれは ドキドキとか、そういう感じじゃなかった。帰りに「もっかいあっちのほう行 って帰ろ?」ってあゆみちゃんは言ってくれたけど、断った。そんなんじゃ ないもん。「さっきどんどん顔が赤くなるごっち可愛かったよ。」って門を 出てからあゆみちゃんが言って、私も笑った。

Title 応援してるよ〜!!
"...それにかまわないよ話し聞くの嫌いじゃないし。バレンタインに何か あったら話すよ。(期待しないでね)..."

"...いつも私ばっか話してる気ぃする。何でも話してね!"って送ったら そう返信がきた。英太郎くんはほんとに優しすぎていつも感動。英太郎く んの応援するよって言葉はすごく元気付けてくれる。英太郎くんは違う高 校だから恋の相談がとってもしやすい。だから気になった人のこととか、 やっぱりユニ君のことが気になるだとか、小さな心の変化も何でも言って しまう。いつもありがとです。最近、恋をがんばりたいって思ってきたよ。

2月10日(月) 晴れ

 

せっかくの休みの日なのに朝から学校。模試の結果は良くも悪くもない感 じで、午後からは選択していない教科だったので終わりの号令があると同 時に教室を出た。お昼は家族で食べに行くことになっているので、門にお 父さんが迎えにきてくれているはず。廊下に出ると、少し前に階段の人が いた。やったーって思った。少し後ろをついていく形になった。周りに人が たくさんいて、気がついたら見えなくなってたけど、それはそれで気にしな かった。ユニ君のときだったら、できるだけ近くに行こうってしてたと思う。 だけど、そのあと食堂の入口のドアのところに階段の人をみつけて、背が ドアのガラス窓の線のとこだ!って思って、自分がドアのところに行ったと きに、間接的に背くらべなんかしてみた。背、高かった!

こうやって日記にいろんなことを書くようになって、自分でも分からなかっ た自分の気持ちとかが分かるようになった。ユニ君のこと忘れたって自分 で思ってても、日記をその夜とかに書くときに、そういえばあのときこうや ってユニ君のこと思い出してた!って意識してなかった自分の気持ちを思 い出せる。階段の人の背のことなんてそのときはあんまり気にしてなかっ たのに、そういえば私てば何気に自分の背と比較しちゃってた!って思い 出す。意識しないっていつも言い聞かせてるのに、十分意識してることが 日記を書くことによって分かってしまう。これからは日記に自分の気持ちを 書きながら、すきになりすぎちゃダメ、とかコントロールしていけたらいい なって思う。でも、自分の気持ちに正直でいるのは大切にしたい。

お母さんがまたお弁当にタコさんウインナー入れてくれるみたいで今から ワクワク。ふじこ曰く、オムライスとタコさんウインナーとスパゲッティーが 私のお弁当のイメージみたい。幼稚園?最近はほんとにお弁当つくりを手 伝わなくなっちゃったから、月曜は早起きしてみようかな。

2月8日(土) くもりのち雨

 

『最近ほっとかれるんやって。』なんて少し寂しそうに笑った氏家ちゃん。 ほとんど選択している教科が同じの、氏家ちゃんと長尾くんのふたりは、 ほとんど毎時間一緒に移動してた。だけれどこの何日かはちょっと気まず いみたい。授業の終わり、氏家ちゃんはパタパタと長尾くんのほうへ近づ いてった。そしたら何だか長尾くんもそれを待ってたようにむちゃ笑顔にな って、またいつものふたりになってた。ふたりとも幸せな気持ち隠しきれな い感じで、ずっとずっとにこにこしてた。いいなぁいいなぁ。

おもしろいくらいにユニ君とよくすれ違う。でも前みたくときめいたりなん かしてられないから、友達と大声で笑ってるときにすれ違っても、そのま ま大口あけて笑ったまま通りすぎてみた。もう黙ったりしないよ。ユニ君に も、私が完全に大丈夫になったこと知って欲しい。どうせだったら見せつ けるくらいに、彼女さんとラブラブしてもらったほうが良いかもしれない。 それはそれでショックかもしれないけど、今の私なら大丈夫。思いっきり 幸せになってほしいと、思えるようになったよ。

階段の人と最近は全然すれ違ってなかったけれど、今日は少しだけたくさ ん見れた気がする。職員室の入口らへんにいて、うわぁーって思った。何 だかムショウに嬉しくなって、横にいたあゆみちゃんに声にならない嬉しさ を伝えた。ユニ君のことをずっと"ティガー君"って呼んでた有ちゃんは、 最近私が妙にニコニコしているのを見て、『どしたごっち?新しいティガー 君できたんな?笑』なんて言ってきた。私は、すきとかじゃないけど、今ち ょっとだけ気になってる人、としてなんとなく言ってみた。するとさっそくそ うじへ行くとき、その人のいるクラスの前を通ったら有ちゃんがどーんって 当たりを何回もしてきて、大笑いした。

『すきなんやったらむちゃ協力するよ』ってあゆみちゃんは言ってくれたけ ど、『すきじゃないよ』って私は言った。ただ気になってるだけ。きっと前の 私だったら、もうがんばりはじめてた気がする。でも今の私は、ちょこっと 楽しいだけで十分。ユニ君のことを思い出して苦しい気持ちになる時間よ りも楽しい時間がたくさんあってほしい。今、階段の人をすきだっていう気 持ちになっていたら、それはユニ君を忘れるためにすきになったって感じ になると思う。それもひとつの恋だとは思うし、実際ユニ君のことを忘れる ために階段の人を気になった気もするけど。だけど、いつかその理由じゃ なくてすきになる日が来るような気がするから、それまではまだ小さな幸 せを勝手に見つけていたいと思う。

うー。自分のほんとの気持ちをそのまま書くことなんて、難しすぎてできないよ。

2月7日(金) 晴れ

 

暦の上ではもう春みたい。そういえばこうやって自転車で駅へ向かってい るのも、いつもより風が冷たくない。なんて思ってみて、そうだ、今はお昼 だからいつもよりもポカポカしてるんだって思った。今日は中3の受験生 が推薦入試なので学校がお休み。県内では休みになるのがうちの高校だ けみたいで、何だか得した気分。そういえば私も2年前の今日はドキドキ してた。赤いリボン。3本白ラインの入ったセーラー服を着てた。手には学 生カバン。あのときの私がしっかりがんばってくれたから、今私はここにい るんだ。2年前の私、ありがとう。

どこのお店も学生がほとんどいなかった。一緒にいたアネゴは大学生に間 違われて、試供品を配っているお姉さんにずっと捕まってた。私も一緒に いたのに!!ぐすん たくさんお店をまわって、たくさんお買い物して、た くさんお話した。歩いているとピンクとか赤とか白とか、バレンタインな雰 囲気でいっぱい。特別あげる人はいないのに、チョコのコーナーをじっくり と見てしまう。どうしようどうしよう?

行きの電車に乗るとき、同じ電車にユニ君と彼女ちゃんが乗ってませんよ うにってひたすら祈ってた。学校が休みなんだから、デートしてる可能性 がいっぱいだから。同時に階段の人とか乗ってないかな、なんて思って た。学校近くのお店であんなに会ったんだから、会っちゃうかも!って勝 手に思ってた。ユニ君も彼女ちゃんも階段の人もいたらどうしよ!とまで 考えたりもした。だけれどその誰も乗っていなかった。さっきまでの自分の 勝手な想像に笑えてきた。

学校でも他の場所でも、ユニ君と彼女ちゃんのふたりでいるところを見る のは、まだ少しだけつらくなる。少しどころか、耐えられない気持ち。でも 学校でも他の場所でもどこでも、階段の人に会っちゃったら、うはーって 思う。ただの偶然なのに、運命かも!なんて思っちゃったりもしてた。すご い不思議な気持ち。

暦の上では春でも、やっぱ寒いと思う。でも、帰ったのが6時前だったの だけどまだ明るかった。だんだん明るい時間が長くなってる。春が近づい てるんだって、ほんとに実感する。幸せいっぱいな春がやってきますよう に。

左のガキんちょがさやかです。プーさん☆ 幸せの予兆?UFOキャッチャーでぬいぐるみGETだぜ☆

2月6日(木) 晴れ

 

「背、すっごい高いよね」「いつも周りにたくさん友達いるよね」「いいひと だよ、ぜったい」すきになりたいって思う。でも、きっとすきにはならない。 ただ今はユニ君のことがあって、悲しい気持ちにならないようにって、気に なってるんだと思う。階段の人とふつか連続でお店で会っただけで、もっと 気になっちゃってた私は単純でバカだと思う。

放課後、そうじのあと廊下を歩いてたら向こうからユニ君が歩いてきてた。 髪、少し切ったんだね。リュックじゃなくなったね。少し前だったら、その ユニ君の小さな変化を知れるだけで嬉しかった。今は、気付いちゃう私が くやしかった。君なんか気にしてないよって真っ直ぐ前を向いて、ユニ君 の横を通った。かえってそのほうが意識してるってバレバレだって、すれ 違ってから気がついた。

古い携帯は今でも私の机の上にある。いつのまにか充電しなおしてた。目 を瞑っても、指は勝手にボタンを選んでる。携帯を変えてだいぶ経つのに 指は覚えてた。初めのメールから最後のメールまで、ユニ君からのメール はfreebirdが教えてくれた。メールが来るたび響く音。どんなメールで も嬉しかったから、freebirdが鳴ると勝手に嬉しくなる。だから、メー ルをしてないときでも何度も聞いてた。もう届かないメール。絶対に響かな い。

指が勝手にボタンを押して、それが響いた。いつぶりだろう。もう聞かない ようにしようって思ってたのに。まだ16和音で安っぽい音なのに、響く。 ギューって苦しくなる。返信がなかなか来なくて不安になってたときに響い たときみたく、ギューってなる。ほんとにほんとにすきだったって思った。 はやく思い出として心の中にしまい込みたい。ときどき思い出しては、勝手 に切なくなるのなんてもうやだよ。

新しい恋ができるかもって思ってたけど、やっぱり無理だったのかもしれ ない。もし今日もお店で階段の人に会ってたら、恋が始まってたかもしれ ない。きっと恋のきっかけなんて単純なのに。

2月3日(月) 晴れ

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