ドキ ドキドキ ドキドキドキドキ...

時計が5時を指した。あゆみちゃんとまこっちゃんと恋のお話してた放送室を 飛び出した。5時で図書室は閉まるから。階段の人が、図書室から出てくるか ら。廊下の手すりにもたれて、まこっちゃんと目を合わせる。はぁ、とため息 をつく。図書室から出てきたところに話しかけたりなんてできないのだけど。 きっと恥ずかしくて、話しかけるどころか直視することもできないだろうけ ど。それでも廊下にいたかった。もう1度、はぁ、とため息。

図書室からだんだんと人が出てくる。その中に背の高い階段の人を見つけた。 こんなところにいるのを知られたら、きっと待ち伏せしてたって思われちゃ う。(実際、何もできない待ち伏せなのだけど)私は図書室に背を向けた。まこ っちゃんが『あ、帰ってますよ〜』って教えてくれた。私はちら、と図書室の ほうを見た。階段の人は友達くんの後を歩いてた。一瞬立ち止まったから、わ ぁって思ったのだけど、角を曲がってすぐに見えなくなってしまった。

一瞬だけだったけど、見れてよかったと思った。何となく余韻で、しばらくそ の場所にいた。手すりをギュって握って、お互いの恋のお話。放課後の学校は とっても静かだ。声が響いてしまいそうで、思わず小さな声になる。

ふと周りが騒がしくなった。さっき階段の人たちが曲がっていった場所に、階 段の人たちがいた。階段の人はいっぱい友達くんに押されてて、いっぱい笑っ てた。キャーって思った。笑い声がいっぱい響けば響くほど、ドキドキした。 その笑い声の中に、映画のときにずっと隣で聞いていた階段の人の声を見つけ て、もうほっぺがどんどん熱くなるのが分かった。

でも階段の人たちはすぐにどこかへ行っちゃって、残ったのはドキドキだけだ った。まこっちゃんと『うわぁぁ〜』って小さな声で叫んだ。そしたらいつの まにかまた騒がしくなってて、今度はさっきと反対側から階段の人たちが飛び 出てきて、キャーって思った。まこっちゃんが『先輩の好きな先輩て、なんか むちゃ元気な人やね!』って笑った。ほんとにあれは階段の人なのかなぁと疑 っちゃうほど、何だか騒いでた。

その後は同じことの繰り返しだった。いなくなったり、飛び出てきたり。新聞 社の取材を受け終わったあゆみちゃんが途中から一緒にいてくれたのだけど、 『あのひと、さっきからこっちのほうばかり見よるやん!すっごい意識してく れよるん違う?』って言った。私は何だかもう何にも見れなくて、ずっと手す りに伏せてた。まこっちゃんが『もう、今日の先輩可愛すぎ!!』って笑った。 その言葉にも照れてまこっちゃんを叩く真似してたら、階段の人の友達くんた ちが揃ってこっちの方向見てて、うわぁ〜って思った。

急にドアを開けて渡り廊下を走りまわったり、エレベータのところで引っ張り 合いっこしたりしてた階段の人を見た。何だかずっと笑顔だったから、いっぱ いドキドキした。コモンホールには私たち3人と、階段の人と友達くんたちし かいなかったから、私のドキドキしてる音が響いちゃいそうだった。でもその ドキドキ感が心地良くて、ずっとこの放課後が終わらないでほしいなぁと思っ た。

放課後。ドキドキした5時過ぎの図書室前。

6月27日(金) 曇りのち雨

 

駅のホーム。とっても優しい光。 いつもこの光の下で 恋のお話。 3人の恋が叶いますように。

『わぁ、いつもと雰囲気違う〜!可愛い。夏バージョンやね!』朝の電車でけ ーちゃんが言ってくれた。階段の人が好きだと言った髪型。首にあたる風は気 持ちがいいのに、いつもよりも暑く感じた。ほっぺがどんどん熱くなるのがわ かった。

日曜日に受けた検定の結果が、職員室前の掲示板で発表された。『落ちよるけ ん見たくない〜』なんて言いながら氏家ちゃんと見に行った。絶対ないと思っ ていた自分の番号をみつけた。嬉しすぎて飛び跳ねてたら周りにいた男子に、 『お、ゴールが決まんじょる。笑』って、私のしてたバンザイを真似しながら いっぱい笑われて、私も笑った。鎌ピが『池田さんおめでとー!』って言って くれて、また笑った。

氏家ちゃんがお昼のパンを買うので、一緒に食堂に下りた。購買機で並んでい ると、階段の人が食堂に入ってきた。氏家ちゃんの買ったパックジュースを持 っててあげてたのだけど、思わずそれを強く握ってしまった。髪、髪!私がい ること気づいてくれたかな。すごく恥ずかしくなって、やっぱやめとけばよか ったかもって思った。

お昼休み、ベンチに座ってジャスミンとお話。今日の髪型のワケを言うと『ご っちおもろい!可愛すぎ!』って言いながら、い〜っぱい笑ってくれた。髪撫 でてくれた。話せば話すほど恥ずかしくなって『今日、自分の全部が恥ずい 〜!』ってうずくまったら、『あのひとも照れてるはずやって!というか髪の 変化知っててくれよるんとか嬉しいやん!』って言ってくれた。やっぱり嬉し いかもって思った。

"ほんまにするとは思わんかった!"なんて言われた。でも会ったり話したりし たわけじゃないのに、今日の髪のこと知っててくれて嬉しかった。そのあと階 段の人にツンツンにしてみんの?なんて言ってみたけど却下されてしまった。 何だかくやしくて、学年でツンツン頭の男子の名前を言ったら、『そのほうが もてるんかえ?』って聞かれた。くやしさを突き通そうと思ったのだけど 『○○くんはそのままでいいと思うよ!』って言っちゃった。

目が合ったりしなかったから不安だったけど、今日の髪のことちゃんと知って てくれてよかったって思った。

6月26日(木) 晴れ

 

後ろの席のしおりちゃんが私の携帯でパシャ。 地理の休憩時間。おしゃべりしまくり。 90分授業は長いよ〜。

階段の人はいつも廊下に近い席に座ってて、机に向かってたり、廊下側に向い て友達くんとお話してたり。私はできるだけその教室の前を通れるように、ワ ザト西側の階段を使ったり、図書室に行ったりする。恥ずかしくて教室の中を 覗き込んだりはできないのだけど。

いつもよりもお弁当を早めに食べて、氏家ちゃんとタニミカと廊下を走る。こ れから週に1度、体育でプールがある。男子がプールを選択していないから、 思いきり楽しめる。久しぶりの水の感触。と〜っても気持ちがよかった。先生 が来たときだけキャップを頭にちょこんと乗せてたタニミカがとっても可愛か った。かぶるのは嫌だけど、怒られるのも嫌だからって。いっぱい笑った。

放課後、階段の人はまた図書室で勉強するみたいだった。私も図書室で勉強し たいのだけど、何だか真似された〜って思われちゃいそうで行けなかった。あ ゆみちゃんが目を輝かせて、私の手を取って職員室まで連れて行ってくれた。 そこには階段の人と友達くんがいて、ひゃ〜って思った。でも上手く見れなか った。

階段の人に、髪型、最近あんまり変えてないねって言われた。大人っぽく見ら れたくて最近はずっとおろしてたのだけど。学校では直接話したりするわけじ ゃないのに、目も合ったりしないのに、知ってたってことは見てくれたってこ となのかな。そのあと好きな髪型を言われた。(聞いてないのに!)それにして ってことかな。なんて。

ひとつ結びにしたり、ふたつにしたり、小さい三つ編みにしたり。階段の人を 好きになり始めたとき、気づいて欲しくて毎日変えてた。だけど階段の人が大 人っぽい人がタイプみたいだったから、おろすようになった。でも階段の人が 結んだのが好きって言ってたから、たぶん私は明日鏡の前で髪を結ってるだろ うなって思った。何だか恥ずかしいけど。

「勉強しなくちゃだね、いつもメール送りまくってごめんね」って送って階段 の人からじゃぁ勉強せなの。バイバイ。とかって言って欲しかったのだけど、 (自分からメール始めたから自分から終わらせたくない)「もう今日は勉強せ ん!」って言われて、それからもメールが続いた。嬉しかったけど、何だかダ メだ〜って思った。

髪型を好きな人好みにするのって、何だかやっぱ照れるかも。

6月25日(水) 曇り

 

大好きなふたり!思わずパシャリ。

"おわったらメールしよか?"のメールから約1時間後、花火終わったよのメー ルが届いた。バイバイを言ったのに、続けてくれたことが嬉しすぎた。打ち上 げは楽しかったみたいで、焼肉いっぱい食べれたって嬉しそうだった。それか ら12時頃までいろんなお話をして、いつもみたくおやすみってお互い言って 終わりにした。

メールをした次の日は、ちょこっとだけ照れてしまう。移動教室で階段の人が 私のHR教室に入ってきたとき、ずっと背中を向けてしまった。「クラスの打 ち上げ、いつにする?」みたいなことが書かれた後ろの黒板を、階段の人がじ 〜っと読んでた。(背中向けてたとか言いながら、ちゃっかり見てた。)同じク ラスだったら、一緒に打ち上げ行けるのになぁと思った。

放課後、あゆみちゃんと廊下でお話してたら階段の人と友達くんが歩いて来て て、すれ違うのが何だか恥ずかしくて同じ方向に意味もなく歩いた。でも、等 間隔で階段の人の前を歩いてることのが恥ずかしいことに後から気づいた。あ ゆみちゃんと笑った。職員室の前で立ち止まると、少しして階段の人たちが追 い抜いて行った。歩いてきた廊下を戻って元の位置であゆみちゃんとお話して たら、また階段の人たちが通り過ぎていった。

階段の人たちは図書室で勉強してたみたい。分厚い大学情報誌を見ながら、明 日の面談で使う希望調査表に大学名や入試科目を記入する。第一志望を書き終 えたところで、階段の人が行きたいって言ってた大学のある地域のページを見 る。私の志望しているところと、うーんと離れてるや。第二志望はその地域の 大学を書こうと思ったけど、やめておいた。

帰り道、まこっちゃんが片想いの彼と相合傘しながら帰ってた。それがとって も可愛くて、まこっちゃんが嬉しそうで何だか幸せ気分。駅に着いて『携帯で 撮ってしもた!相合傘!』と言ってまこっちゃんに携帯を見せると『キャー!! 照れますよー先輩〜!!』って嬉しそうだった。可愛すぎる。私も背の高い階段 の人と相合傘するぞ〜って、心の中で叫んでみた。

6月23日(月) 曇りのち雨

 

1年でイチバン太陽が長く顔を見せる日なのに、今日も傘を放すことができな い。昨日の夜、氏家ちゃんやタケワっちと電話やメールで教え合いっこした会 計の検定は何だか微妙な出来具合で、気分も何だかスッキリしない。検定が終 わったあと、この前アドレスを聞いてくれた人とばったり会ってしまったのだ けど、何だか気まずい雰囲気でやっぱりぐるぐるする。

この何週間か、テストや検定ばかりであまりのんびりしていなかったので、今 日は検定から帰ってきて久しぶりにのんびりしてみた。ほんとは受験までのん びりなんてしてられないのだけど。雑誌を読んだり写真の整理をしたり、マト リックス(第一章のほう)のDVDを久しぶりに観てみたり。階段の人はリロー デッドを友達くんと観に行ったみたいで、オススメしてくれた。内容が難しく てまだイマイチ理解できてないみたいだったから、もう1回観にいかない?な んて誘っちゃえばよかったなぁと思った。

今日は1週間くらい前から階段の人が楽しみにしてた、打ち上げの日。顧問の 先生が焼肉を食べさせてくれるみたいで、階段の人は食べまくる〜なんて言っ てた。そろそろ打ち上げが終わるころかな?と思って、さっき「今メールして も大丈夫かな?」ってメールを送ったら、ちょうど花火をしているところみた いだった。また私ってば迷惑な時間にメールしちゃったなぁと思って、ごめん ねとバイバイと、打ち上げ楽しんでねってことを書いて送ると、"おわったら メールしよか?"って言ってくれた。何だか嬉しすぎた。

携帯の前で、ドキドキ。好きな人からのメールを待つのは、何でこんなに嬉し くてドキドキしちゃうんだろ。

6月22日(日) 雨のち曇り PM10:01

 

朝の電車。『先輩、この前のやつあげます!』と言って、まこっちゃんが一枚 プリクラをくれた。まこっちゃんと、まこっちゃんの大好きな人の笑顔。私は 『お似合いやん〜!お守りにしようかえ〜!』って言いながら、パスケースに ふたりの笑顔を入れた。まこっちゃんはずっとキャーキャー言ってた。可愛い なぁと思った。好きな人と撮った写真やプリクラに写る自分の顔は、恥ずかし くて見れないこととかお話した。嬉しいのに、照れくさくて恥ずかしくて。

上野ちゃんがニカって笑った。私は初めそれがなぜだか分からなかったのだけ ど、教室を出たときに分かった。階段の人が、私のクラスの前にいた。1時間 目はうちの教室を使うみたい。そのあと階段の人と友達くんが教室に入って、 ちょうど私の席の近くでお話してた。『うちの机、プリントでいっぱいやの に!だらしないやつって思われてしまう〜!』とかって言ってたら『机の中や 見んて!』って上野ちゃんが笑ってて、私も笑った。

外は雨。教室の中は何だか蒸し暑い。のんびりみんなでお話するのは好きなの だけど、暑さには耐えられなかった。タニミカたちと図書室にヨシモ君(クラ スで一番人気の、可愛い男の子)を見に行ったり、ケンちゃん(担任)のところ へ遊びに行ったり。ほんとにみんなでいると笑いが止まらなくて、楽しい。廊 下を曲がったところで、階段の人とすれ違った。階段の人も友達くんと楽しい お話をしてたのか、むちゃ笑顔だった。何だかそれにすごくドキドキしてしま って、私はこの人と遊びに行ったりメールしたりしてるんだなぁと思ったら、 何だか照れた。タニミカが私を見て二カーって笑った。きっとタニミカは私が 今何考えてるのか、分かってるんだろうなって思った。

帰るころになると、雨は降ってなかった。閉じたままの傘を自転車のハンドル にかけて、朝はものすごいスピードで通る道をゆっくり帰った。大きな通りの ところで、向こう側に中3のとき同じクラスだったチンさんがいた。チンさん と中学のときは少ししかお話したことなかったのだけど、高校に入ってから登 下校のときによくすれ違うので、挨拶だけは欠かさずするようになった。青信 号になって、すれ違うときに笑顔でバイバイって手を振る。階段の人にも、自 然にこんな風に言えるようにがんばろう。

6月16日(月) 雨のち曇り

 

いつもよりふたつ早い電車にはいつもフッチーがいて、雨の日は氏家ちゃんも いて、駅から学校までの道を単語帳やプリントと睨めっこしながら歩いた。そ んな毎日が続いた1週間も、今日で終わり。きっと来週からは続々と返却され るテストにいっぱい悩まなくちゃいけなくなるのだけど、今は開放感でいっぱ い。テストが終わるまでやめようって決めてた階段の人とのメールも、今日か ら再開だ。嬉しくて、ほんとに何だかずっと笑ってた気がする。

後輩のまこっちゃんとは、とっても仲良し。部活があった日は、あゆみちゃん とまこっちゃんと3人で大笑いしながら一緒に帰る。今日もコンクールの練習 をしたあと、一緒に靴箱を出た。そしたら後ろから『あ、まこっちゃんや。』 と男の子の声。まこっちゃんは顔真っ赤にして、返事をした。彼はまこっちゃ んの好きな人。バイバイを言い合ってから少しして、まこっちゃんが幸せそう にため息をついた。もう可愛すぎて、どうしようかと思った。ずっとにこにこ してた。私まで何だか幸せになっちゃった。

家に帰って、机に向かわずリビングへ向かう。のんびりごろごろ。テストがな いって幸せだ。夕飯を食べて少しして、時計を見る。1週間と3日ぶりの、階 段の人へのメール。久しぶりだから少しだけドキドキした。1通目の返信がな かなかなくて、ずっとリビングと部屋を行ったり来たりした気がする。不安で いっぱいになったとき、いつもの音楽が響いて不安が解けた。嬉しくてしょう がなくなる。

テストのこと、映画を観たこと、打ち上げのこと、焼肉食べまくること、サッ カーのこと、コンクールのこと、いっぱいお話した。階段の人が今日観に行っ た映画をオススメしてくれて、また一緒に行きたかったなぁと思った。サッカ ーのコンフェデ杯は深夜にあるから、がんばって起きとくみたい。だから私も がんばって起きとこうと思った。(まだ少し先だけど)

"ほんま長かった。めっちゃ今リラックスムードやし。"

長かったっていうのは、テスト期間のこと。私も同じこと思ってたから、一緒 だ〜って嬉しかった。私の場合は、階段の人とメールができないからとても長 く感じたのだけど。リラックスムードって、何だかおもしろかった。階段の人 ものんびりごろごろしてるのかな。

コンクールのお話してたとき、最後に"がんばっての。自分のベストが出せる よーにの。"って言ってくれた。日曜日は思いきりがんばらなくちゃなぁって 思った。それで、また結果を伝えたいなって思った。がんばるね!

やっぱり方言いっぱいで、短いけど?マークがなくても眠くなるまで続いちゃ う階段の人とのメールが大好きだ。久しぶりのドキドキ。テスト、いつもより もがんばってよかったなぁって思った。テストお互いお疲れさまだね。おやす みなさい。

6月13日(金) 雨のち晴れ

 

お気に入りだから夏になっても変えるつもりはない、春色のカーテンをあけ る。いつもよりも少しだけ早起き。朝の風は少しだけひんやりする。まだ頭の 半分くらいは夢の中。机に伏せて、目を閉じる。もう何度でも眠れそう。テス ト週間中の朝はいつもこんな感じだ。

いつもよりもふたつ早い電車に乗ると、フッチーがノートと格闘してた。おは ようを言って横に座った。『メソテース(中庸)』がふたりともなかなか覚えら れなくて、最後には『目のソテーの複数形!』とかって無理やり作って、ふた りで『なんかやだ〜!』って笑った。フッチーと一緒にいると、ほんとに何だ かおもしろい。

1時間目は隣の教室(階段の人のクラスとは、反対の隣)でテストがある。さっ きのメソテースとかが書かれたノートを持って、タニミカと廊下に出た。反対 側の教室を見る。学科が違うからテストは階段の人とひとつも同じのがない。 メールもお休み中だし学校でも会わないから、何だかこのテスト期間で忘れら れちゃうんじゃないかと思ってしまった。

3時間目まで終わって、少しの開放感。タニミカや氏家ちゃんは食堂でお昼を 食べるみたいだったのだけど、私は帰ることにした。玄関で携帯のマナーモー ドを解除しながら、何となく校門を見た。階段の人がいた。少し遠かったから 違うかなって思ったのだけど、絶対そうだ。ちょうど階段の人とCDを返し合 いっこした場所だったから、何となくわぁって思った。友達くんと帰っている ところだった。

友達くんはずっと歩きで、階段の人は自転車でゆっくり運転してた。優しいな ぁと思った。ほんとに何だかゆっくりで、このままじゃ追いついちゃうかもっ て思って、私は違う道を歩いた。(なんか、ついていってるみたいだから)後ろ 姿しか見れなかったけど、何だか元気になったかも。テスト、あと4日間思い きりがんばって、終わった日はいっぱいメールしたいなぁって思った。

6月9日(月) 晴れのちくもり

 

1日の授業が終わって、あとは帰りのSHRと掃除をするだけ。私はこの10分 間の休み時間がイチバン好きだ。風通しのいい窓側の席に集まって、オープン キャンパスの情報雑誌をみんなで読む。これが去年までだったら、発売したば かりの雑誌やCDだったんだろうなぁと思った。ふと廊下を見ると、階段の人が 友達くん達と通ってた。大会が終わったあと、途中から学校に来たみたい。

今日は学校に来ないものだとばかり思ってたから、何だか信じられなかった。 私がずっと『見間違いかもしれん〜!』って言ってたら、タニミカと岩澤ちゃ んがベランダに出て隣のクラスを見に行ってくれた。『おったおった!おった で、ごっち!』なんて教えてくれて、むちゃ笑った。

そうじが終わったあと、岩澤ちゃんと全国模試の受験科目の希望用紙にマルし ながら『お疲れさまって言いたい〜』ってずっとずっと言ってた。岩澤ちゃん が廊下に階段の人を見つけてくれて、ドアのところから『ごっち!おるで!今 がチャンス!』なんて小声で叫んで教えてくれたのだけど、いつもみたく勇気 が出なかった。帰るときに『会ったら絶対言うんで!』って肩をポンって叩い てくれたのだけど、会えなくてやっぱり直接言うことができなかった。

家に帰って、直接伝えることができなかったお疲れさまを、メールで伝えた。 試合の結果を教えてもらって、なんて言えばいいのか上手な言葉は全然浮かん でこなかったのだけど、でももう一度だけお疲れさまでしたって伝えた。もっ と気持ちを上手く伝えられたらって思った。

来週の月曜から中間考査が始まるから、それが終わるまでメールはやめる約束 をした。この前階段の人が教えてくれた、サッカーの対アルゼンチン戦がテス ト期間中にある。ほんとはまた、メールしながら観戦したいなぁなんて思って いたのだけど、我慢。おととい『行きたい大学に行けたらえーのにな。お互い 頑張ろうな!』って階段の人が言ってくれたから、がんばろう。テスト明けに メールいっぱいするんだ。

てことで、更新ものんびりになります。ごめんなさい。テストがんばります。

6月4日(水) 晴れのちくもり

 

『光がいつもよりもよーけ届く気がするんやけど!』松ユカが英語の時間、い つもよりも空席が多い教室を見渡しながら言った。空席の数だけ、みんなが頑 張ってる印。岩澤ちゃんはバレー、ぽっかさんはバド、ゆかりっちはテニス。 階段の人も今、真っ青な空の下で頑張ってるのかなぁと思った。高校最後の総 体。みんなどんな気持ちなのかな。私は運動部じゃないから実感はできないの だけど、きっと教室に広がった光みたく、キラキラしてるんだろうなって思っ た。

食堂へ行っても、廊下にいても、階段の人の教室の前を通っても、今日はいつ もみたく緊張しなくていいんだって思ったら気持ちが少しだけ楽だったけど、 でもやっぱ学校で会えないのは寂しく感じる。階段の人が学校へ来るのは木曜 日。それまでいっぱい応援しようって思った。

放課後、廊下でユニ君と彼女ちゃんが空き教室を探してた。テスト前だから、 一緒に勉強するみたい。嬉しそうなユニ君の顔を見て、いいなぁって思った。 笑顔でふたりがいるところ見れるようになった。それは、ユニ君に恋してたと き以上に、今好きな人がいるから。ユニ君のときよりも悩んだり泣いたりする ことが多いけど、でも幸せいっぱいな気持ちになることも多いよ。いつかユニ 君たちみたくなれますように、階段の人への恋をがんばろう。

階段の人からのメールは、とってもカラフルな絵文字でいっぱいだった。総体 の結果を教えてくれた。ベスト8まであと少しだったみたい。でもベストを尽 くせて、みんながナイスプレイだったみたいで階段の人がとっても嬉しそうだ ったから私も嬉しくなった。

"そうや≧∀≦明日の為に気合はいりまくりや明日は優勝かも鴨"

何だか文字化けかと思うくらい微妙なギャグも使ってくれた。いつものんびり した感じだけど、今日はすごく楽しい感じで嬉しかった。優勝したら人気者に なっちゃうねって言ったら、有名になりたい〜って言ってた。テニスにも恋愛 にも勉強にも全力尽くすって言ってた。明日からは個人戦みたい。いっぱい応 援するけん!!

階段の人、面倒くさいって言ってた絵文字をいっぱい使ってくれるようになっ た。朝早いみたいなのに、ずっとメールを続けてくれた。(悪いなぁと思って 私からおやすみを言った。)『お互い頑張ろうな!』とか『行きたい大学にい けたらえーのにな』とか『気にせんでえーよ、』とか、話し言葉なのも当たり 前なのかもしれないのだけどすごく嬉しく感じる。今はメールに頼ってばかり だから、総体の最後の日は直接お疲れさまって言いたいなぁなんて思った。

6月2日(月) 晴れ

 

のんびりのんびり 知らない人とも、同じ網のお肉食べた。 今日から6月 予定を書き込むのが好き。

家族みんな揃ってどこかへ出かけるのは久しぶり。私のお気に入りのアルバム が2回通り聞けたころ、車を下りた。思いきり深呼吸。小、中学校と通ってい た英会話教室の先生が『あら、さーちゃん!久しぶり〜!!』と言った。今日は その英会話教室のイベント。卒業生も、家族も、ただの知り合いも、みんな集 まってバーベキューしちゃおう大会。総勢5・60人。知らない人ばかりだけど、 毎年みんな今日を楽しみにしてるってところは同じだ。

先生に頼まれて小学生のビンゴゲームの親(番号を言っていく係)してたとき、 ゲームしてる子の弟か誰かだったんだけど、2歳くらいの子がずっと私のひざ をギュっとしたまま離さなくて、何だかむちゃ可愛かった。階段の人は小さい 子が大好きだから『そんなん連れて帰りたくなってしまうよの。』とかって言 うだろうなぁとか思ってみた。

朝から夕方過ぎまで思いきり遊んで食べて色んな人とお話して、すごく楽しか った。昨日まで天気が悪かったのが信じられないくらい、いい天気だった。テ ストが近いけど、でもこんなに自然でいっぱいのところに来れるなんてあんま りないから、来てよかったと思った。

このお天気だから総体はあるものだと思っていたのだけど、今日も順延になっ たみたい。土のコートは乾きが悪いこととか、階段の人が教えてくれた。階段 の人は何でも詳しく教えてくれる。ほんとに優しいなぁって思う。順延してば かりだから、このままだと上手くいけば水曜まで学校に行かなくていいことに なるみたいで、勉強せんでいいって嬉しそうだった。

"がんばるわ。応援してくれてありがとう。今までにないくらいがんばる"

昨日も言ったけど、改めて応援するねって言った。そしたらそう言ってくれて 何だかとても嬉しかった。少しだけドキドキした。少しだけというか、いっぱ い。今までにないくらいって、どんなだろう。やっぱ何だかすごく階段の人が 好きだ。「明日がいよいよ本番や。緊張や」って言ってた。もう、ほんとに 応援する。言葉じゃ表せないくらい、応援してるね。

6月1日(日) 晴れときどきくもり

Back