8月16日〜8月30日分のログ

 

「これが俺ね、こっちがさーちゃん。」
『うん』
「よーく混ぜます。それで、こうやってこうやって。」
『それでそれで?』
「これで、さっき選んだカードが近ければ近いほど相性がいいってことね。」
『うんうん。』
「じゃぁ裏っ返します。ほら!隣だ〜。笑」
『えええっ、すごいーー!びっくりした〜!』
「あはは。笑」

英会話教室が終わったあと、4人でジュース飲みながらトランプで遊んでたと き、隣に座っていたパックンが"相性占い"の手品を見せてくれた。中学のとき だったかな。何だか懐かしくて、とっても温かい思い出。他にも女の子はいた のに私の名前を使ってくれて、ちょこっとドキってしたのも憶えてる。

『小学校のとき、私パックンのこと好きだったんだよ。笑 懐かしいなぁ』な んてカズくんとお話していたら「俺は正直言ったら中学までさーちゃんのこと 好きだったよ。笑」なんて言われた。うわぁ〜って思った。照れた。嬉しかっ たから、ありがとうって言った。「パックンのこと頑張れよ〜」なんて言われ た。笑った。

思い出せば思い出すほど、パックンの優しいところばかりが浮かんでくる。で も恋にするのはもったいないなぁなんて思う。パックンとは気まずくなったり したくないから。でもきっと私が好きだと伝えても、パックンなら笑ってあり がとうと言ってくれそうだけど。気持ちに答えることができても、できなくて も。

パックンの後ろで服の裾をキュって握って大通りをすごいスピードで走ったと き、大きな背中見ながら『お兄ちゃんみたいだ』って思った。私にはお兄ちゃ んはいないけど、きっとこんな感じなんだろうなぁと思った。すごく安心でき た。パックンは昔から私のことを「俺より年下やと思てたぁ」なんて言ってた から、きっと私がお兄ちゃんみたいって思ったのと同じで、妹みたいなんて思 ったんじゃないかな。

だからずっと自転車の後ろに乗せてくれたりだとか、ずっと傘に入れてくれた りだとか、カキ氷食べようって言ってくれたりだとかしてくれたんだと思う。 とっても嬉しかったし、一緒にいてすごく安心できて楽しかった。こんな関係 は崩れてほしくないから、このままずっと仲良しさんでいたいなぁと思う。だ から恋にはしたくないって思う。

花火の日からちょこっと気持ちがぐるぐるしていたから正直に今思っているこ とを書いてみた。何だかすっきりしたかも!今日は図書館行かずに家で勉強。 何だかとっても涼しくて気持ちよかった。このまま秋になっちゃうのかな。で もパックンのおかげで何だか夏っていう季節を初めて好きになれた気がする。
・・なんちゃって。

8月15日(金) 晴れ

 

昨日の花火と一緒に撮った、ヘンテコな夜景

「パックンのこと気になる?好きになったんじゃない?」なんてカズくんから のメール。昨日たくさんお話したり、ずっと自転車の後ろに乗せてくれたこと はとっても嬉しかったから、好きとかじゃないけど一緒にいて楽しかったこと を伝えた。「昨日別れたあと、パックンがさ〜ちゃんのアド聞きたいって言っ てたよ!あと写メも撮っておけばなぁとか。」なんて言われて、何だかドキっ としてしまった。

「とにかくメールしてみてみぃ(^-^)気持ちがか・わ・る・か・も・よ!」な んてパックンのアドレスと一緒にカズくんはメールをくれた。いきなりそんな こと言われても、なんて思ったのだけど昨日のお礼をきちんと言いたかったか ら送ってみることにした。

昨日、私がいっぱい迷惑かけちゃったこと"ぜんぜんかまんよ"なんて言って くれて"ちゃんと帰れた?"って心配もしてくれた。そのあとお祭りのときに話 したお互いの大学のこととか、受験終わったらみんなで英会話教室の先生のと ころに行こうねってことをお話しした。

何だか変に緊張してしまってすぐに私からおやすみを言った。(それをカズく んに言うと「何やってるん。笑 可愛いねーさ〜ちゃんは!頑張れ頑張れ!」 なんて言われてしまった)そしたらパックンは"さ〜ちゃんとメールできると は思わんかったわーおやすみ"って言ってた。

♪この長い長い下り坂を 君を自転車の後ろに乗せて
 ブレーキいっぱい握りしめて
 ゆっくりゆっくり下ってく     ゆず「夏色」

なぁんて曲を思い出して、着信メロディをダウンロード。パックン専用にしち ゃおうかなぁと思ったのだけど、これじゃぁほんとに好きみたいだって思って やめておいた。でも何だか"さ〜ちゃん"て呼んでくれたりだとか、昨日あのあ とアドレス聞きたいって思ってくれたことは嬉しいなぁって思った。

光のシャワー >> ほんとにすごいキレイだったよ。昨日の花火の記事。

8月14日(木) 雨

 

『撮れた!』「へったくそ」『がんばったのに〜。』

『むっちゃ明るいの撮れたかも!』「や、それ船やろ。笑」

『・・マリモみたいや。』「マリモって!あはは。笑」

『けっこうええ感じやんな?』「ん〜、まだまだやな。笑」

階段の人にあっさり断られてしまった夏祭り。少し(かなり)へこんでいたら、 香川に遊びに来ているカズくんが「俺とパックンとその友達と一緒に行く?」 なんて誘ってくれた。カズくんとパックンは小学生のときから同じ英会話教室 に通っていて、学校は違ったけれど仲良し。パックンとは中3以来会っていな かったし、みんなでまた話したいなって思ったから行くことにした。

待ち合わせ場所に行くとカズくんがいて「変わってないの〜」って笑われた。 少ししてパックンが「うわぁ"さーちゃん"や!」なんて言いながらやって来 た。他にも友達くんがふたりいたけど、いい人そうだったからすぐに仲良しに なった。

花火会場まで行くことにしたのだけど、みんな自転車に乗っているのに私はバ スで来たからひとりだけ歩きだった。カズくんとパックンが「後ろ乗る?」っ て言ってくれたのだけど選ぶなんてできないし、困った。そしたらじゃんけん してくれて、カズくんが乗せてくれることになった。

横乗りしてカズくんの服をギュって持って、花火会場まで一気に進んだ。たく さん人がいて、なかなかいい場所が見つけられなかった。私が何度も見たいっ て言っていたら、みんなが人の少ないところまで歩いてくれた。椅子に上がら せてくれたりした。雨が降り出してきて、ひとつの傘で5人入ったりして大笑 いした。

私が背伸びしながら花火を携帯のカメラで撮っていたら「そんなしてまで撮り たいんかぁ」なんて横で傘を持っていてくれたパックンが笑った。目線を私の 高さまで低くしながら「こんな小さかったら何にも見えんわな。」とかって大 笑いしてた。そのあとも傘でカメラの邪魔をされたり「さーちゃんだけやぞ、 花火ひとつひとつにキャーキャー言いよるん。笑」って言われたりした。花火 は9時までなのだけど、8時58分くらいに微妙な大きさの花火が打ち上げら れて、静かになった。「今ので終わり?!」なんてみんなも周りのお客さんも 言っていた。私が『うちの時計まだ9時じゃないけん、まだあるはず!』って 自信持って言ったらパックンが大笑いしてた。

溢れ過ぎてる人込みの中、今度はパックンが後ろに乗せてくれた。すごいスピ ードで大通りを車と一緒に走った。ガードマンに「こらぁここ走るな!二人乗 りするなぁ〜」って怒られて、私は降りた。ごめんなさい〜って感じでガード マンに言ったあと私は歩いてたのだけど「もうえーよ、乗り!」って、ガード マンの目を盗んでまた乗せてくれた。いっぱい笑いすぎた。

途中でパックンの高校の人にたくさん会った。「うわぁお前ええの!!彼女かよ 〜俺やひとりやで?しかもなんか可愛いし!!2ケツて。ほんまに〜」なんて言 われて、私は首を振った。パックンは友達くんに「嬉しい勘違いされたな!」 って言われて笑ってた。高校の人たちと別れたあと、何だか気まずくて無言だ ったのだけど「可愛いってさ。笑」って言って、また笑わせてくれた。「この あとどうする?もう帰るん?」って聞かれて、とっさに『カキ氷ひとつ食べて から帰る!』って言ったら笑われた。

みんなで公園に着いたあと「あ〜俺、カキ氷食いたい。」ってパックンが言っ た。「は?この雨の中?寒くないか〜?」なんて友達くんが言って、パックン が横目で私を見て笑った。私はゴメンて口パクで言った。雨の中みんなでカキ 氷食べて、何かいっぱい笑った。「こん中で食べるんイチバン遅いやつが、ス テージで踊ってくること!」なんて誰かが言って、みんなで必死で食べた。

10時半ころになって、私は帰ることにした。駅は近くだったからそのままひと りで帰れたのだけどカズくんとパックンが送ってくれることになった。「乗っ てえーよ」ってパックンが言ってくれて、後ろに乗った。「思い残すことな い?」って聞かれて私は「重い」て言われたのかと思って、そのことを言うと 「まぁ確かに重いけど。笑」とか言ってて大笑いした。『カキ氷食べれたし、 大丈夫だよ』って言ったらよかったって言われた。

「家まで送ったるよ〜、着いた駅から歩くん遠いやろ?」って言われたのだけ ど、さすがにそれは悪いなぁと思って断った。そしたらパックンは駅に通じる エスカレーターぎりぎりのところまで乗せて行ってくれた。降りて、ふたりに ありがとうっていっぱい言った。バイバイしてエスカレーターに乗った。何と なく振り返るとまだふたりともいて、手を振ってくれた。だから私も少し大き く手を振り返してみた。

帰りの電車の中、階段の人に断られたことなんてすっかり忘れてたなぁなんて 思った。こんなにずっと大騒ぎして笑っていられたのも、お互いが友達だって 思っている仲だからだと思った。またみんなでお世話になった英会話教室の先 生のところに遊びに行く約束もした。というか何だかほんとに楽しかった!い 〜っぱい、ありがとうって思ったよ。

8月13日(水) くもり ときどき 雨

 

いつも長〜い列になるの。開館5分前。 雨上がり きらきら

毎日3分ずつくらい早く家を出るようにしているのに、いつも私の前には決ま った人たちが座って単語帳を覚えていたり携帯でメールを打ったりしている。 毎日5分ずつにすれば、あさってくらいには追い越せるかな。それともみんな 私と同じように3分ずつ早く家を出ているのだろうか。開館前の図書館の、自 動ドアの前。

同じ列に中学のとき何度か同じクラスになった岩戸をみつけた。にこーって笑 いながら見てやると、ワザトっぽく顔を背けられた。それに笑うと岩戸も笑っ てて、やっぱ変わってないなぁと思った。いつか日記に書いたほわほわした雰 囲気の人は、今日は来ていないみたいだった。少しだけ、悲しくなってみたり なんかして。

ほわほわした雰囲気の人がいつも座る席に、ひとりのおじいさんが座った。そ の人は何度かお話したことがあって、私をみつけるといつも「こんにちは。」 と声をかけてくれる。今日は携帯のメールの打ち方を聞かれたので教えてあげ ると、ペットボトルのお茶をご馳走してくれた。何だか嬉しかった。

ウォークマンで大好きなaikoを聴きながら問題集を進めていたら、椅子を誰 かに蹴られた気がした。振り返ってみると、岩戸が傘で私の座っていた椅子を 叩いていた。「ばいばい」と岩戸。ウォークマンで声は聞こえなかったけれ ど、口がそう動いてた。『バイバイ』って言ったら笑ってた。

同じ図書館で勉強していたポッカとその友達ちゃんと、ふかふかのソファに座 ってお昼を食べる。「食べたあとこんなして横になったら豚になるんやんな」 「え?牛じゃないっけ」「とにかく太るんやろ。笑 ややな、このソファ良さ すぎ。もう勉強やだ〜・・」なんてのんびりお話した。

もうのんびりなんてしてられないのだけど、でも何だか乗り越えられる気がし た。階段の人がいる学校の図書室じゃなくて、階段の人のいない図書館で入試 までの数ヶ月思いきりがんばろうと思った。階段の人のことになると頭がいっ ぱいになって少しのことで何時間も考え込んでしまうから、もうできるだけ考 えないようにしようと思った。でもやっぱ考えちゃうのだけど。

8月12日(火) くもり

 

バス・新幹線の中でメール ☆踊りまくり 笑いまくり☆ ニッキーはすごく背高くて可愛かった!!

「今どこ〜?」
『えっとね、インフォメーションてとこの前らへん!改札出たすぐだよ。』
「インフォメーションって女の人がふたりいて、男の人がひとりいて・・?」
『そうそう、それから・・』
「あ、いた。笑」
『あはははは!おはよ。笑』

私が初めてHPを作った中学3年のとき、すぐに仲良しさんになったのがニッキ ー。いっぱい手紙交換していっぱいお話して、高校卒業したらふたりで"いい とも!"観に行こうねなんてず〜っと前から約束してた。それでこの前、大阪 でのライブのチケットが取れたから一緒に行こうって連絡があって、1日遊ぶ 約束ができた。

初めて会うのに何だかず〜っと前から一緒に遊んでた気分。ガイドブック片手 に「反対方向来てる。・・諦めたっ、ここにしよう〜!笑」『諦めるん早!笑』 とかってずっと笑った。いっぱい歩いていっぱい色んなとこ行って、いっぱい 話していっぱい食べた。

大阪駅を出てすぐに空中庭園にひとめぼれした。「あれって空の絵が描いてあ るの?!」ってニッキーが言ったくらい、ほんとに絵が描いてあるみたくキレ イに空を映してた。展望台まで上がって、大阪の街を見渡した。すごくすごく 何だか感動した。

ライブでは原田泰造やいつもここからのふたりをすごく近くで見れたりして、 何だかおもしろすぎた。RAG FAIRの歌声、いつもテレビを通してだったけ ど、目の前で聴けてすごく感動した。ニッキーが好き好き言うのもすごくわか った!

味わう暇もなく飲んだアイス付きミックスジュースとか、走り回った駅のホー ムとか、巨大な踏み切りとか、冷暖房完備の観覧車とか、軟らかくておいしす ぎたたこ焼きとか、おそろいのタンクトップとか、70円のトランクとか。も うほんとに書ききれないことばかり。すーごく楽しかったよ。また遊ぼうね!

8月10日(日) 晴れ

 

大好きな場所。 文字盤、やっぱりハッキリ見えないや。

『あれ、止まりよる。時計。』図書館へ向かう車の中で、ぴたりと止まったま まの赤い秒針を見た。お父さんは「また新しいの買うてやるわ〜。どーんと大 人ぽいやつにするか?」と運転席でにこにこしてた。私は『ほんまに??』な んて喜んでみたけれど。

「それって文字盤あるん?」階段の人が私が左手につけてた腕時計を見て言っ た。私が時計を見て『もうすぐ映画始まるね。』って言った後だった。『ある よ〜!見える?』なんて言ったら階段の人は顔をぐいって近づけて「ほんま や。こっちからやと見えんかったんやって。」なんて笑ってた。左手もほっぺ も熱く熱くなる。映画館が暗くて、赤くなるのバレなくてよかったって思った んだっけ。

私と一緒になってドキドキした時計。もう一緒になってドキドキできないのか な。背中追いかけた昼休みも、部活が終わるのを待っていた放課後も、遠足の バスの中でも、ずっと一緒だった腕時計。

昨日の夜、階段の人と少しだけメールをした。最後に、ひとつだけお願いをし てみた。『それで、ちゃんと諦めるけん。』と最後に書いて。どうしても七夕 の短冊に書いた願い事は叶えたいと思ったから。叶うかどうかは分からないけ れど、ちゃんと伝えた。がんばった、私。

新しい腕時計は何だか少しぶかぶかしていて、すぐに手首が疲れてしまった。

8月9日(土) くもり

 

ほんとに雰囲気がね、ふわ〜ってしてた。 ここのこと忘れてたくらい、夢みてた。

この数日間だけ、何だか夢の中にふわふわいるみたいだった。といってもちゃ んと朝の9時ころから夕方6時まで机に向かっていたのだけど。こんなに勉強 に集中できたのは久しぶり。そしてその間だけ、階段の人ではない人に心とき めかせちゃったりなんかしてしまいました。わー。

図書館で私がいつも使っている机は二人掛け。そしていつも通り座ると、いつ も同じバッグが隣に置かれる。たぶん問題集や参考書からすると同い年の人。 初めは何にも思っていなかったのだけど、何日か続けて隣になった日に「最近 いつもこの人が隣だ。」なんて思ってしまって。

全然ドキドキとかはしないのだけど。すごく雰囲気がほわ〜っとしていて、席 を立つ時私はいつも財布とかきちんと持ち歩くことにしていたのだけど、何だ かこの人なら全然大丈夫だなんて思える感じで。朝から夕方過ぎまでずっと隣 にいるから、ちょっとだけ気になったりしてしまった。

「一途だね」なんて言われるのだけど、自分でも少し「私って一途なのかも」 と思っていたのだけど、違った。階段の人に会える学校の図書室じゃなくて、 その人がまた隣に座らないかなぁなんて思いながら図書館に通ってた。台風の 中図書館に行こうとした私を母が「この雨の中行くの?そんなしてまで何で行 かないかんの。」と止めて、私はふわふわした夢から醒めた。

ほんとに夢みたいだったかも。でも問題集はばっちり進んでいるし、机に向か うことに集中できるようになった。恋と呼べないけど、でも何だかよかった。 本当は日記に書かないつもりでいたのだけど、この少しだけ不思議な気持ちは 何だか書き残して置きたくなった。

8月8日(金) 雨 台風〜!

 

向かって左の、体傾けてるのがよしたけ。
その横(向かって右)が私。
この教室でいっぱい恋してた。 卒業アルバムのよしたけからのメッセージ
「その笑顔をたやさず」

お昼は家で食べたいなぁなんて朝から思っていたので、1時に図書室を出た。 今日は階段の人もいなかったし、問題集は先生に質問しなくても大丈夫そうだ ったし。ちょうど天辺にいる太陽の下を歩きながら駅に向かった。単語帳は眩 しくて見えなくて、おなかが空いているから暑さにくらくらしてしまった。

涼しい電車を降りて、定期券を車掌さんに見せる。それをポケットにしまいな がらウォークマンから流れる大好きな曲を心の中で口ずさむ。ふと視線を感じ た。古びた駅の屋根の下。タバコを片手に誰かがこっちを見てる。わぁぁ何こ の人、変な人かえ〜・・なんて思った。思いきり睨むつもりでもう一度見て、思 わず口をあけてしまった。よしたけだった。

私がびっくりしているのを見て、よしたけが笑った。タバコを吸殻に何度か押 し付けて放ってた。小さな駅だからよしたけが吸ってたタバコの匂いでいっぱ いになってた。『吸うたらいかんやん。』って言ったら、また小さく笑った。 私がウォークマンのイヤホンを外してたら「学校?」ってよしたけの声が聞こ えた。『うん。』って言った。目が合って、ふたりで笑った。

よしたけは古びたベンチに座った。その横は十分に空いてたから私も横に座ろ うかなって思ったのだけど、やめておいた。『ひさしぶりやね。』って言った ら「そうやなぁ。」ってよしたけが優しく笑ってた。猫みたいな目、変わって ないなぁって思った。人の目をじっと見てくるところも変わっていなくて、何 だか少しだけドキドキした。

『じゃぁ、バイバイ。』って手を振ったら「ん。バイバイ。」ってよしたけが 笑顔で言ってくれた。歩いても歩いてもタバコの匂いが何となく残っている気 がして、不思議な気持ちになった。タバコの匂いって大嫌いだったのに、何だ か大丈夫だった。

よしたけは中学が一緒だった、私の初恋の人。卒業してからもときどき道です れ違ったり見かけたりしていたのだけど、こうして話したのは中学以来。隣の 席でよしたけのお話に笑ったり、給食のご飯ついで新婚さんごっこしたりはも うできないけど、また話せてよかった。背が高くなって、オシャレになって、 タバコも吸うようになってて、もうすっかり大人になってた。でも、変わらず よしたけは私の大好きな人だって思った。

久しぶりに卒業アルバムを開いて、よしたけからのメッセージを見る。「その 笑顔をたやさず」黒のマジックで書かれた癖のある丸字。このひとことはすご く大きな力を持っているなぁって思う。やっぱりよしたけはすごい。この笑顔 で明日からもがんばらなくちゃ。よしたけ、元気をくれてありがとう。

8月4日(月) 晴れ

 

幸せのお守り ぷちぷちはっぴー

夜11時前、途切れた集中力や進まない問題集を前にしてそろそろお風呂に入 って寝ようかななんて思ってたとき。携帯が鳴った。誰かなぁなんて思ってみ て、ぼうっとする頭が一気に冴えた。階段の人だ。まさか階段の人のほうから メールが来るとか考えてもいなかったから、本当にびっくりした。

直接には書いていなかったのだけど何だか相談事があるみたいだったから自分 なりに一生懸命考えて答えた。私も最近まで同じことで悩んでたから、階段の 人が元気になったらいいなぁって思ってできるだけ明るく答えた。階段の人も いっぱい話してくれて、最後に"今日へこんどったけどメールして元気になっ たわ。ありがとうの!"って言ってくれた。よかったって思った。

そのあとも友達くんのことだとかお祭りのことだとかをお話して、何だか普通 なのにそれが嬉しかった。やめることになってたメールのこと、「これからも 前みたく頻繁にじゃないけどメールして大丈夫かな?」って聞いてみたら"か まんよ。こっちもいろいろ相談聞いてもらいたいし。お互いにプラスになるよ ーにの!"って言ってくれた。やった〜って思った。

私に相談してくれてありがとう。私でよかったらいつでも何でもお話聞くけん ね。階段の人が元気になってよかった。

8月3日(日) 晴れ

 

お昼を食べたあと杉ちゃんと教室を出て、窓のとこでお話した。セミの声は模 試の間中ずっと聞いていたから、意識しないと聞こえなくなってた。夏休みに 入ってからのお互いのことを全然知らなかったから、ふたりとも話すこといっ ぱいで、何だかずっと笑ってた気がする。

階段の人に対する気持ちが最近自分でよくわからなくなっていたのだけど、杉 ちゃんに毎日図書室に通ってることだとか勉強教えてあげるって言ってくれた ことだとかを話しながら、やっぱり私はすごくすごく階段の人のことが好きな んだなぁと思った。

階段の人が模試を受けているはずの教室のほうを何となく見ていたら、背の高 い人たちが出てきて、その中に階段の人をみつけた。見てたことを気づかれな いように顔ごと背けたのだけど、杉ちゃんは「おるよおるよ、ほんま背ぇ高い なぁ!」なんてずっと見てた。私が顔を背けたまま杉ちゃんの横でキャーキャ ー言ってたら「ほんまにごっちは〜!」って笑った。私も笑った。

模試が終わって家に帰る途中、お父さんが駅まで車で迎えに来てくれたので、 そのまま県立図書館に送ってもらうことにした。閉館まで勉強をしたのだけど やっぱり学校の図書室のが好きだなぁと思った。ときどき聞こえる階段の人の 声に集中力が途切れたり、階段の人が目の前を通るたびにペンは進まなくなっ ちゃうのだけど。

日記を書いていなかった2日間とも、階段の人は学校に来ていつもの席で勉強 してた。前の席の友達くんに数学か何かを教えてて、それが何だかとっても優 しい感じで、私てばそんな風にされる権利を持ってるんだぁなんて思ったら、 すっごく照れてしまった。"解いたげる"って言ったのを階段の人が忘れちゃわ ないうちに、早く質問に行かなきゃって思った。

でもあの笑顔を目の前で見ることになったとしたら、絶対絶対質問どころじゃ ないなぁなんて思った。

8月2日(土) 晴れ  もう8月になっちゃった!

8月16日〜8月30日分のログ 

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