窓を開けたままだと風邪をひいちゃいそうだ。澄んだ空にぽかんと浮かぶ雲は どこか寂しげな表情してた。昨日の夜にほんの少しだけごたごたがあって、寝 ぼけ眼のままに私はパックンに相談をもちかけてたみたい。タオルケットのか かっていなかった足首に冷んやりとした風を感じて起きると、携帯には私で止 まったままのメール。

いつのまにか嬉しいことも、悩みごとも、何でもすぐに話したいって思うよう になってた。後から落ち着いて見ると、すっかり取り乱した口調で悩みごとを 相談してたみたいだった。恥ずかしくなって、今は落ち着いていることと、た くさんのごめんねとありがとうを伝えるとよかったって言ってくれた。

夕方過ぎからも、ず〜っとメールをした。ほんとに些細なことばかりなのだけ ど、楽しいなって思う。一緒に出かけることのお話のときに、『パックンとも またお話したいし』って冗談ぽい絵文字たくさん付けて言ってみた。(ほんと の気持ちでいっぱいなんだけど)そしたら「毎日のよーに話してるやん!でも 会って話してもみたいかもね」って言ってた。照れた。ひゃぁー

同じ思い出があることだとか、共通の友達のこと。通ってる学校は小学校から ずーっと違ってても、何だかすごく近くに感じる。住んでる場所もパックンが 引っ越してからはすっかり離れてしまったのだけど、その距離をパックンは近 いと言ってた。自転車で行ける距離だって言ってた。何だか嬉しかった。

パックンよりも先にへばっちゃってすぐにパンクしちゃう自転車の後ろ、また 乗せてね。映画撮影してるとこ見に行こうね。会っていっぱい話そうね。何だ か窓開けてても平気なくらい、ほっぺが熱くなってきた感じがする。

9月27日(土) 晴れ

 

学校帰りに図書館へ寄って閉館まで勉強する、という去年までだったら考えら れなかったこともやっと自分の中で習慣と呼べるものになってきた。昨日もい つもと同じように真っ暗な道を帰ってきて、いつもと同じようにちょこっと夕 飯の手伝いなんかもした。夕飯の後も勉強しなくちゃって思ったのだけど、図 書館でしたからいいかなんてついつい自分に甘くして、枕にばふっと顔を埋め た。

気がついたら夜中の3時で、これじゃぁ仮眠て呼べないなぁなんて思いながら 起き上がった。枕元に置いてあった携帯を見るとメールが何件か届いていて、 その中にパックンからのメールがあった。一瞬夢か本当か分からなくなってし まって、ほっぺをたたいて深呼吸をした。もう一度見ても、何度見てもパック ンからのメールだった。

いつもメールはほとんど私からだったから、何だか嬉しかった。内容を見て、 もっと嬉しくなった。行きたいって言ってた大学の推薦が受かったというもの だった。推薦を受けるかどうかだとか、大学に行って本当にしたいことや夢の ことでずっと悩んでいたのを知ってたから、本当に嬉しかった。今すぐ電話で おめでとうって言いたい気分になった。時計を見て諦めたのだけど。

朝になったらすぐにおめでとうメールを送ろうって思った。何だかすっかり目 が覚めてしまって、早く朝が来ないかなぁって何度もカーテンを開けたり閉め たりしてみた。家を出る少し前に、い〜っぱいおめでとうって気持ちを込めた メールを送った。何だか自分が合格したみたく嬉しかった。

ちょうど電車に乗ったとき、パックンからのメールが届いた。い〜っぱいあり がとうって書いてあって笑った。嬉しそうな絵文字を何個も繋げて使ってて、 ほんとにこんな顔してそうだぁって思った。電車に乗っている間、何通かメー ルを交わした。最後に「がんばれよ、おれに続けぇぇ!!」って言ってくれた。 ほんとにがんばろうって思った。私も絶対パックンに嬉しい報告するからね。

パックンが志望大学に合格したってことも、それを私に教えてくれたってこと も、朝から何通もメールを交わせたってことも全部が嬉しくてしょうがなかっ た。口元が緩みっぱなしのままロッカーの片付けをしてたら、岩澤ちゃんに 「ごっちが早く来よる!この前や思いきり遅刻しよったのに!」って笑われて しまった。

ほんとにほんとにおめでとう。私もがんばるけん。絶対がんばるけん!

9月26日(金) 晴れ

 

体育館に響き渡るドラムやベースの音、歓声、手拍子。私もタニミカと岩澤ち ゃんとステージの前まで行って思いきりジャンプした。同じクラスの鎌ピや長 尾くんが出てるから、みんなで叫びまくった。ふと横を見るとすぐ近くに階段 の人がいて、いっぱいジャンプしてた。うわぁって思った。声が聞こえて、階 段の人もこの曲好きなんだなぁと思った。ぽいなぁと思った。笑った。

高校生活最後の文化祭、今日は1日目で非公開日。午前中は音楽祭のようなも ので、各クラスが劇や合唱やコントやダンスを披露して盛り上がった。結果は わかんないけど、クラスの雰囲気が前よりもうんと良くなったと思うからよか ったと思う。ケンちゃんも「おとといまではなんちゃできてなかったのによう 出来てたわぁ、がんばったなぁ」って珍しく褒めてくれた。

劇で使うために持って来てたブレザーは、今日のひんやりした風にぴったりだ った。口癖だった「暑いよ〜」をいつのまにか使わなくなってた。後ろに座っ てた越智くんが「寒〜っ、カキ氷の食券や買うんやなかったわぁ」って言って て、岩澤ちゃんと「ほんまにほんまにっ!」って笑った。

久しぶりのインターネット、開くのは映画のページばかり。おすすめしてくれ た映画がおもしろかったこと伝えたら「この映画は個人的に好きなだけやけん 楽しんでくれるか心配やったよ」なんて言ってて、そんなの私も好きになるの 決まってるじゃんって思った。恥ずかしくてそんなことは言ってないけど、お すすめしてくれてありがとうってことはいっぱい言った。

 
"○○のほうだったかなぁ。見に行きたいよね(>_<)"

−パックン行くとき連れてってね

"さーちゃんの方が近いんちゃん?おれをつれてって"

 
もうとろけた。思わず携帯持ちながら机に伏せちゃった。パックンがとある映 画撮影が地元(といっても少し遠いけど)であることを教えてくれて、こんな話 に。連れてってほしいよ、連れていきたいよ。また冗談ぽくなっちゃったけど ほんとになったらいいなって思った。

明日は文化祭一般公開日。文化祭が終わったら、次は卒業式まで大きな行事は ない。何だかいよいよだ。人に流されないで、自分に負けないで、がんばる! でもとにかく明日は思いきり楽しみます。カメラカメラっ。

9月22日(月) 晴れときどきくもり

 

「これだけは言える 君たちは私の恋人だ さぁ来い!」

みんなで揺れながら歌う木綿のハンカチーフ。男子は肩組んで踊ろうだとか、 女子は手を繋いでぐるぐる回そうだとか言ってたのだけど、ふざけずにきちん と歌おうということになった。4番で男子が歌っているとき女子は後ろを向き ながら揺れて、女子が歌うときは男子が後ろを向きながら揺れるところがある のだけど、練習しててこのときが一番好きだなぁと思った。

鎌さんがリーゼントの転校生役で自己紹介するときにリーゼントちぎって大高 くんに渡したりだとか、野球のときに長尾くんがおなか壊してホームラン打ち ながらトイレに駆け込んだり、受験のときに監督がみんなに答え教えたり、卒 業式の場面のときに大高くんがさっきのリーゼントしてたりだとか、ほんとに 大笑いしまくりのコント。

そんな1年を振り返って先生が「君たちは私の恋人だ さぁ来い!」なんて言 って、みんなで合唱。歌詞が最後とっても切なくて、礼をしたあとの余韻が何 だかくすぐったかった。初めて最初から最後まで通すことができて、顔を上げ た瞬間ふっと拍手が聞こえた気がした。それを言うと菊さんや岩澤ちゃんに笑 われてしまった。「でもわかるかも!そんな感じしたわぁ!」って岩澤ちゃん が笑って、私も笑った。

明日のMグラ(音楽祭)思いっきり楽しもうね。盛大な拍手、うちらのものにし ようね。最後にみんなで振る白いハンカチにアイロンをかけながら、思いを詰 め込んでみたよ。

9月21日(日) くもり  すっかり秋になりました。寒いっ!!

 

十回近くみてるよって、感動しちゃうしちゃうっておすすめしてくれた映画。 カーテンを靡かせて夜のひんやりした風がすーっと入ってくる。リビングにご ろんと横になって、クッションをぎゅってして、主人公たちと同じ目線になっ てみる。午前2時前、エンドロールは涙でぼやけてあんまりはっきりと見えな かった。今すぐこの感動伝えたいって思ったけど、時計を見て諦めた。

温かいなぁと思った。あのひとはこの映画を初めて観たとき、どんな風に思っ たのかな。おすすめしてくれたからという理由も十分に占めているけど、私の 中でも大好きな大好きな映画になった。温かい気持ちにさせてくれてありがと う。あのひともこの映画を観て、温かい気持ちになったのかな。

若宮には「どーした、風邪ひいたんか?笑」なんて言われたけど、今日は長袖 ブラウスでちょうどよかった。花火、カキ氷、浴衣を着た人でいっぱいの大通 り、降ったり止んだりの雨、ほんとは涙でいっぱいになってたはずの1日をず っと笑顔でいられたこと。思い出の詰まった夏が、終わろうとしてる。

目の前の問題集を開くのに躊躇ったり、空いてるノートに落書きしたくなった ら、"春に笑顔で会うんだ"って何度も言い聞かせてがんばる。秋だって冬だっ て会えたらいいなぁなんて思っちゃったりもしてるけど、言わないでおく。で もおすすめしてくれた映画がとってもよかったことは伝えさせてね。

9月16日(火) 晴れ

 

ほんとは秋物の服を買いに行こうと思ってたのだけど、昨日受けた模試の後味 があんまりよくなかったから朝からいつもの図書館へ行った。また会ったねっ て泉ちゃんと笑った。松谷ちゃんもいて、ほんとにみんなに負けてられないっ て思った。課題研究用の資料を返却してるとき、後ろの人が何度も咳払いして たから思わず振り返った。そしたら岩戸がいてふたりで大笑いした。同じ中学 だった人もたくさん見かける。がんばらなくちゃ。

今日は私がおすすめの映画を教えてみた。そしたらチェック入れとくねって言 ってくれた。私が邦画でイチバン好きな映画。見てくれるかな。これ以上映画 のお話ばかりしてたら誘っちゃいそうなんて思って、12時少し前に私からおや すみを言った。そしたら今日は早いねって言われた。私の中で夜寝る前にメー ルを交わすのが当たり前になっているように、パックンもそう思っててくれて るのかなぁなんて。ひとことひとことに一喜一憂しながら、ぼうっと考えてみ た。

今の気持ちのまま花火の日に戻ったら、あんなに笑えたかな。ひっついて歩け たかな。素直に目を見てありがとうって言えたかな。ときどき、気持ちが大き くなっていくのが恐くなる。「好き」になったら、目を見て話せないかもしれ ない。大口開けて笑えないかもしれない。でも、パックンの前ならだいじょう ぶって自信もちょこっとだけあるんだけどね。

目を真直ぐ見て、大口開けて笑えるかな。傘で視界を邪魔されたり、子ども扱 いされたりして「もう!」って肩をたたけるかな。次に会えるのはいつなのか 分からないけど、もしまた会えたら今度は直接夢のことや好きな映画のこと話 してほしい、話したい。また気持ちが大きくなっちゃった気がする。

9月14日(日) 晴れ

 

「じゃぁ"大"って送るけん!」
「あたしは"丈"やね。笑」
「ハテナ付けたほうがいいよね?"夫?"おっけ、打てたよ!」
『じゃぁ、送信!』

体調崩して欠席してた氏家ちゃんに、テストが終わったあと私と岩澤ちゃんと タニミカで一文字ずつメールを送ってみた。みんなのメールを繋げると「大丈 夫?」になる。送ったあとみんなで笑った。「氏家も今ごろ笑ってそうや!」 なんてお話した。少しして、氏家ちゃんから一文字ずつメールが届いた。3人 のを繋げると"大丈夫!!"になった。よかった〜って笑った。

テストが終わったあとの開放感。この一週間はいつもよりも長く感じたけど、 いつもよりも充実してた。科目は文書処理だけど英語のテストを私専用に作っ てくれた先生が「ようがんばったんちゃう?なかなかできてたよ。」ってニコ ってしてくれた。これでこの前受けた全国模試の結果を見なかったら気分が良 いまま日記を書いてたのだけどなぁ。

1時を過ぎたころ、眠い?って聞いたらこれからがおれの時間やけん平気って 言ってくれて、それからもメールを続けた。ちょっとした夢を教えてくれるの が嬉しい。名前を呼んでくれるのが嬉しい。同じテレビや映画を観て、感想言 い合えるのが嬉しい。1ヵ月前の今日は、次の日が私の中で少しだけ特別な日 になること知らなかったんだなぁ。不思議な感じだ。

真っ暗な図書館からの帰り道も、電車の窓を縁にして虹を見つけたときも、い つのまにか思ってる人がいる。夢、応援するね。大学絶対合格しようね。おす すめしまくってくれた映画、観てみるね。また会おうね。ぜったいぜったい。

冗談混じりで交わした約束、全部ほんとうになりますように。

9月12日(金) くもりときどき雨

 

昼間はとっても暑いけど、朝方と夜は過ごしやすくなってきた。窓を開けると 部屋から部屋へ風が通り抜ける。どこかのお家の夕飯の匂いがして、我が家の 入浴剤の香りがして、りんりんと虫の声が聞こえた。クーラーをつけていると 窓を閉め切っているから気付けなかったこと。

進路のことや、夢のこと。ちょっとした悩みごと、大学に合格したらしたいこ と、テレビに出てたかっこいい生き方をしている人のこと、恋愛のこと。冗談 交じりだけど真剣なこともたくさんお話する。いろんなことを話してくれるか ら、私もいっぱい話してしまう。パックンとのメールは、ちょっとした日課に なりつつある。(私の中でだけど)

−わぁおつかれさま あ、明日もだったりするんかな?

"今日でおわりだよおれは日曜は休かん日だしね"

−パックンが休館日なの??

"そのとーり"

他の人がこんなこと言ってても何にもおもしろくないのかもしれないけど、何 だかいっぱい笑ってしまった。ひとことひとことが何だか可愛い。ピアノのお 話してたとき、いつか「ねこふんじゃった」聞かせてあげるって言ってた。冗 談でいーっぱいのメールだけど、ほんとになってほしい約束いっぱいしてる。

映画いっしょに行く?って言ってくれたこと、ほんとにどうしようかと思うく らい嬉しくなったよ。前に階段の人のことを相談したとき『付き合ってるとか じゃ全然なかったんやけどね、一緒に映画に行ったりして、私は好きだなぁて 思てたん!』って言ったのを覚えてる。一緒に映画行っちゃったら、ほんとの ほんとに好きになっちゃうかもしれないよ。それでもいいのかな。

パックンは私の気持ちに何となく気付いていると思う。それでもいつも通り普 通にしてくれてありがとう。「同じ英語塾に通ってる男の子」なんて3年前と 同じ風には思ってないよ。少しだけ、特別になったよ。パックンはどんな風に 思ってくれてるのかな。3年前と同じなのかな。少しでいいから、特別になっ てたらいいなぁなんて、部屋にすーっと入ってきた風を頬に感じながら目を閉 じて思ってみた。

・・なぁんてかっこよく書いてみたけど、ただ勉強に飽きて窓開けたまま寝ちゃ ってただけです。おーし、あともうちょこっとがんばります。

9月8日(月) 晴れ

 

お昼過ぎ、図書館のロビーで氏家ちゃんに会った。約束してたわけじゃないか ら本当にびっくりして、ふたりで思いっきり笑った。こんなところでも会える なんて何だかすごいねって言った。ふたりで英単語の多さに今更驚いたり、お 互い現社にひとつも手を付けてないことに呆れたりした。

あゆみちゃんと決めた「休みの日10時間勉強」は家にいたら絶対に守れない から、やっぱり図書館。図書館には氏家ちゃん以外にも何人か同じ高校の人が いた。何だかやっぱりすごく刺激される。置いて行かれないようにしなくちゃ ほんと。がんばる!

 
"ホントに早くみた方がよいもう明日いっちゃおうかな"

−わぁぁ連れてってよ〜

"勝手についてこい"

−わぁ本気でついて行っちゃうよ

"好きにしやがれ"

−テストがなかったら行くのになぁ

"じゃ、おれはいってきまーす"

−行っちゃだめ

"じゃホンマにいっしょにいくかい?"

 
どうしようかと思った。眠くて頭ふらふらになりながらのメールだったのに、 一気に目が覚めてしまった。いっしょにいくかい?って聞いてくれたのは映画 のこと。私は前から友達と約束してて、テスト終わるの待ちきれないなぁなん て言ってたら、こんなメールのやりとりが。友達と行くことパックンも知って たから『うん!!』って言えなかった。ぐすん(でも他の映画なら一緒に見たい ってがんばってアピールしてみた)

でもなんかどっきどきした。たぶん冗談だったと思うんだけど、冗談でもそん な風に言ってくれて嬉しかった。会いたいなぁ会いたいなぁ。でも嫌いな子だ ったら冗談でも誘ったりしないよね??なんてそこら中の人に聞きたくなる。 うはぁ〜、ほんとに目が覚めたぜ!(嬉しすぎて文が変だ。)

明日はパックンも私も楽しみにしてるドラマがあるから、感想語ろうねってお やすみを言うとき言ってみた。そしたらおっけぃ、おやすみ待ち遠しいね! とか言ってた。てことで明日もお話できるみたい。やったー!何だか目がすっ きり覚めちゃったからもうちょこっと勉強できそう。今ならほんとに何でもが んばれる気がするよ。

9月6日(土) 晴れ

 

「あっついなぁ。もう。やーだー。」
『教室暑いわぁ、図書室行こうで。』
「行こ行こ!あ。でも岩澤と氏家、帰って来てないなぁ。」
『いつもの書いとく?笑』

そういってタニミカと私は教室の黒板いっぱいに"いわざわ&うじけへ 図書 室で待っとるよー! ご&た より"なんて恥ずかしいくらい大きくてカラフ ルなメッセージを残した。そしたらふたりが廊下から教室に入ろうとしていた ので、慌ててタニミカと教卓の中に隠れた。

−せっかくキレイに書いたのに見てほしいもんなぁ
−こんだけ派手に書いたけん気付くよなぁ?

なんてタニミカと小声で大笑いしながら隠れていると、岩澤ちゃんが「なんし ょんそこのふたりー!隠れるとこゆっくり見さしてもろたわ。笑 バレバレや で!」なんて言いながら教卓の前に現れた。氏家ちゃんは「でかく書きすぎ! 恥ずいわぁ〜笑」なんて言いながら名前のとこだけ消してた。

タニミカと「なんでバレてしもたんやろ。」なんてお話しながら、4人で図書 室に入った。冷房のスイッチを勝手に"強"にしたり、入り口で自動ドアごっこ したりして遊んだ。ほんとに何でもないことでも、おもしろくて楽しくて可笑 しい。

こんな風に休み時間に4人でふざけながら図書室へ行くことができるのも限ら れてくるのかな。ケンちゃん(担任)に進路のことで相談するたびに、真直ぐ家 に帰らず家の近くの図書館へ向かうたびに、カレンダーを見るたびに、ときど き全部投げ出したくなる。受験生というプレッシャーに負けそうになる。

今日あった楽しいことや小さな不安、どんな些細なことでも伝えたい、聞いて ほしい、知っていてほしいと思う人がいる。また「さーちゃんはほんまに楽し そうやなぁ」だとか「無理せんようにな?」だとか「何でも話してえーよ」な んて言ってくれるかな。プレッシャーに負けそうになったとき、一番にパック ンの顔が浮かんだ。"わぁさーちゃんや"って、目をくしゃってさせて口を大き くあけてた、とびきりの笑顔が浮かんだよ。

9月4日(木) 晴れ

 

まだお互いに観ていない映画があって、観たい観たいってお話で盛り上がって たから(実はパックンもかなりの映画ツウ)この勢いで誘っちゃおうかなぁなん て思ったとき。「でもさーちゃんなら中学生料金でいけるんちゃん!笑」なん て子ども扱いされてしまった。

もう!とかって書きつつも、笑いながら返信した。だけどそのあともそんな感 じが続いて、だんだん笑えなくなった。分かってはいたけど、本当に妹みたい にしか思われていないんだって何だかズキズキした。何通目かで、もう笑えな いよ〜って、へこんでることを伝えた。そしたら冗談だったけど言い過ぎた、 ごめんって謝ってくれたあと「さーちゃんほんとにおとなっぽくなったという かかわいかったよ、まじで!」って小さなハートの絵文字付きのメールをくれ た。ちょこっと嬉しかった。いっぱい嬉しかった!

好きな人とメールをしている友達と、大きな大きな約束をした。1日最低4時 間自主勉強をすること。次の日にどれだけ勉強したかをお互いのルーズリーフ を見せ合いっこすること。もし時間が守れなかったり、あまりにも勉強の痕跡 が見られない場合はその日から3日間好きな人とメールをしてはダメ。なんて 罰までつけちゃったり。いっぱい笑った。がんばろうねって約束した。

「あ〜、でも今日はあのひとに言いたいことあるのに。メール送ろっと。」
『じゃぁ私その間勉強しよるけん。笑 ルーズリーフの枚数勝つよ!』
「いかん!勝ちたい〜!でもメールもしたい〜!笑」

みんなみんな志望通りの大学へ進むことができますように。大好きな人への気 持ちが実りますように。受験生の放課後は、いろいろと忙しいなぁと思った。


−でもまぁ私は私らしくおったらいいよね?

"わかってるやんやっぱ自分をしっかりもっとる人は魅力的"


男の人はやっぱり大人っぽい人が好きなのかなぁなんてことをお話したあと、 自分なりの結論を言ってみると、パックンはそんな風に言ってた。階段の人が 大人っぽい人を好きだと言っていたから私の中で「男の人は大人っぽい人が好 き」という法則が出来上がってしまっていたのだけど、もう気にしないことに しようと思う。妹みたく思われててもいいや。私らしさを持ってたい。

かわいいって言われちゃったよ。まじで、って付いてたよ。ハート付きだった よ。何だか幸せな気持ちになっちゃったよ。おーし、4時間がんばれそう!

9月1日(月) 晴れ

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