ドアノブを袖にはんぶん隠した手で傾けて、午前10時のひんやりした空気を 吸い込んだ。今日から図書館はお休み。きっと家にいたらごろごろテレビ見た りお菓子食べたりするだけになってしまう。学校も立ち入り禁止みたいだから ほんとどうしよう。こんなときに「来ちゃった。」なんて好きな人のところへ 気軽に会いにいけたらいいんだけどな。

お昼をひとりで食べるのも何だかなぁと思って、12時ころにおばあちゃん家 のチャイムを鳴らした。一緒にお昼を作って(卵焼き、へたって言われた)一緒 に「たまにはのんびり食べるのもいいね」なんて言いながら、大きく作りすぎ た卵焼きとか、おばあちゃんの作ったおいしい炒め物を食べた。

おばあちゃんが、お母さんが高校生だったころの話をしてくれた。昔からお母 さんは思いたったらすぐ実行、みたいなところがあったみたい。私が笑うとお ばあちゃんもにこって笑ってた。おばあちゃんの笑った目はお母さんにそっく りだと思った。

途中で遊びに来た妹を自転車のうしろに乗せて、きゃぁきゃぁ言いながら家ま での砂利道を走った。妹は私とふたりになると途端に甘えてくる。家だと「お ねーよりも私のほうが絶対お姉ちゃんやし」なんて言ってるのに。可愛いなぁ と心の中で思いながら、思いきり段差のある道を選んで走ってみた。

あゆみちゃんとは月に一度くらい、電話でい〜っぱいお話ししている。電車の 中で話し足りなかったことだとか、すぐに知らせたい嬉しいこととか。今日は お互いたくさん幸せだ〜って言った。夏ころは私の鼻をすする音が響いてばか りだったけど、今日はお互いに嬉しいため息。ふはぁ

パックンとは今日も寝る前にちょこっとだけメール。今日あった小さな出来事 だとか、この前お出かけしたときに話してたことの続きとか。今日はメールの 途中で私がいつもみたく寝たりせずに"おやすみ"言えるかなぁとか。どんなに 小さな小さなことでも、話したり話してくれたり。何だかとっても嬉しいなっ て思うから、安心して今日も"おやすみ"言えずに寝ちゃいそうだ。

12月29日(月) 晴れのちくもり

 

5時に待ち合わせだったのだけど、3時頃に「もう着いてしまったんやけど」 なんてメールが着て慌てておしゃれして家を出た。窓側の席で本を読んでいる パックンをみつけて、ペコってお辞儀をしたらニコって笑ってくれた。カウン タでペパーミントモカを頼んで、席に着いた。スタバで待ち合わせって何だか 本当のカップルみたいかもって思った。

どうやら午前中から友達くんと来ていて、友達くんは彼女さんと3時頃に待ち 合わせてたみたい。パックンは約束してたぬいぐるみを持ってきてくれていて 私はお気に入りの本をプレゼントした。窓側の席は外を歩く人たちとたくさん 目が合うから何だかドキドキした。

マフラーを見ているとき、どうやら気に入ったのがあったみたいで何回もぐる ぐる巻いてた。そのあと「お前も巻いてみぃ!」なんて大きくて長いマフラー を私にふわっとかけてくれた。大きすぎて店員さんにも笑われたのだけど、何 だかドキドキした。鏡に映った私は顔が真っ赤で、何だか恥ずかしかった。

そのあとそのマフラーを買おうとしてたから、私が「クリスマスプレゼントて ことで買ってあげる!」って言ってみた。「嬉しいけど悪いけんいいよ」って 言われたけど、プレゼントさせて!って何度も頼んだ。いっぱいありがとうっ て言ってくれて、お店から出てすぐに着けてくれた。「じゃぁ欲しいもんあっ たらどんどんおれに言うてなぁ」って言ってた。

だんだん空が暗くなってきてたから、公園のイルミネーションを見に行った。 友達がたくさんいるから行きたくないって言ってたけど、いっぱい写真撮った りしてパックンも楽しんでた。どっちがスノーマンを可愛く撮れるか、なんて 勝負した(お互い、自分の勝ちって言った)。夏にこの公園に来たときは他にも 友達くんが何人かいたけど、今日はふたりなんだって嬉しくなった。

花火の日に自転車の後ろに乗せてもらって行った道を、今日はゆっくり歩い た。電車で2駅分の距離を、いっぱいお話しながら歩いた。話すこと話すこと に笑ってくれて、パックンもいっぱい話してくれて私もいっぱい笑った。好き な人の隣を半歩遅れて歩くこと。どうしてそれだけでこんなに嬉しくなっちゃ うんだろう。

HotPepperの星座占いを見ながら「わぁうお座、年末の運勢はあんまりよく ないらしいよ」ってパックンが言ったので落ち込んでたら「・・・うそだよ、見 てみ!」って笑ってた。あと、イベントのフィナーレが何時から始まるのか分 からないからパックンが友達くんに電話していて「え?もう終わったん?そっ かぁ」とか言ってたから、もう終わっちゃったんだって泣きそうになった。そ したらしばらくして「・・・笑。おれ、電話してるように見えた?フリしてたん やって。まだ祭りしよると思うで。行くか?」って笑ってた。すぐに騙される 私も私だけど、パックンは騙すの上手だ。次こそはちゃんと見抜くけんね。

見上げると光のカーテンがずっとずっと続いていて、隣には同じように空を見 上げてるパックンがいた。「マフラーあったかい?」って訊いたら「うん、む っちゃあったかい。ありがとうなぁ」って笑ってた。「お前寒くないか?マフ ラー貸すぞ?」って何度も言ってくれて、いっぱい照れた。「んじゃぁ一緒に 巻こか。笑」って言われたときはどうしようかと思った。

イルミネーションがふっと消えて、ふわぁ〜っと舞った白い風船を見上げた。 「じゃぁ風船追いかけよっか!笑」ってパックンが言ってて大笑いした。同時 にもう一緒にいられないんだって寂しくなった。だけど寂しいなんて言えなく て、帰ろっかって笑った。

帰りの電車の中。ブーツを履いてた足がじんじん痛かった。パックンと一緒に いたときは足の痛さなんて感じなかったのに。やっぱりまたすぐに会いたいな ぁと思ってしまった。いっぱい話していっぱい笑って、また今日もパックンを 好きになった。もう気付いているとは思うけど、いつか伝えたいなぁ。

今日はいっぱいありがとう。最高のクリスマスになったよ。ありがとう。

12月25日(木) 晴れ ☆Merry Christmas☆

 

どこ行こうか、と訊かれたとき私は決まって同じ場所を答えるのだけど、その 度にパックンは「そこ以外ならどこでもいいけん!他のとこ行こう」と言う。 一緒にいることを誰かに誤解されたくないの?って本心をできるだけ冗談ぽく なるように訊いてみると、何だかうまく逸らかされてしまった気がした。

一緒に遊んだり会うことはいいけど、人がたくさんいる場所はだめみたい。少 しのことで悩むほど心を小さく持ちたくないけど、何だかひっかかるなぁ。会 えることだけでもいっぱいいっぱい嬉しいのに、もっと幸せになりたいって思 ってしまう。今の私、何だかすごくぶさいくだ。

たとえば「この映画、ぜったいパックンも好きだろうなぁ」なんて、訊かなく てもわかるようになったこと。夏に会ったときはわかりっこなかった。夏から 何にも変わっていないようで、小さくも大きくも変化していることばかりだ。

図書館の閲覧席の中でもお気に入りの場所があって、空いてたら必ず座る席が ある。今日も迷わずその席を選んだのだけど、何度目をこすってもその席から いちばん近い本棚にある、本の背表紙の文字を読み取ることができなかった。 視力が良いことだけが小さい頃からの自慢だったのに。

鏡の前で何度も着替えたりだとか、天気予報を何度もチェックしたりだとか。 きっと私だけがこんな風に勝手にドキドキしてるんだろうってわかっているけ ど、それでもやっぱり嬉しくてしょうがないや。嬉しいこと、素直に伝えられ るようになりたい。

12月23日(火) 晴れ

 

天気予報は雪だるまのマーク。私の住んでいるところはめったに雪なんて降ら ないから、朝から空を見上げてはそわそわ。「さぶいのやだけど、雪降るのは いいよね!」なんて氏家ちゃんと笑った。山のほうは白くなってたけど、結局 寒いだけで雪は見れなかった。楽しみにしてたのになぁ。

最近はどの授業も自習ばかり。シャーペンの音だけが響いている教室にいると なぜだか目の奥がじんとしてしまう。去年の今ごろはあのひとの号令にどきど きしてたなぁだとか、前の席の有ちゃんとは授業中にも拘らずたくさんお話し てたなぁだとか。ふぅと小さく息を吐いて、みんなの音に重ねるようにシャー ペンを滑らせた。もう少し、もう少し。

"X'masはどうやってすごすん?"なんて突然訊かれた。返信にとても時間が かかってしまったから、ドキドキしてることがばれちゃったかもしれない。も う寝ようと思ってたから、部屋は暗くて携帯のディスプレイの光が何だか眩し かった。

朝、枕元に転がってた携帯を開いてみる。夢だったらどうしようって思ったけ ど、ちゃんとメールに残ってた。パックンと、また会えることになりました。 幸せすぎて、嬉しすぎて、何だか上手く口を閉じれないよ。

12月19日(金) 天気予報は雪だるま (ほんとはくもり)

 

黄色い風船を持った女の子がとことこ歩いてた。その風船がちょうどパックン の目の高さにあったみたいで、パックンは女の子に気付かれないようにずっと ずっとその風船を指で突付いてた。床に座り込んでる小さな男の子と女の子を 見て「かぁいい!写メ撮りてぇ!」って笑ってた。子犬や子猫が写っているカ レンダーを見ては欲しい欲しい言ってた。

小さな子どもが大好きで、犬とか猫もほんとに大好きみたいだ。一緒にいなき ゃ気付けなかった、パックンのすてきなところ。この前の日記だけじゃ書きき れなかったから、これから少しずつ書いていこうかなぁなんて。

画面が切り替わるたびに起こる笑い声や、最後の大きな拍手。とっても嬉しく て席に着くときには少し涙目になってしまった。トップバッターのクジをひい たときはどうなることかと思ったけど、自分なりには成功できたと思う。課題 研究の成果発表会。大好きな友達と先生からの「お疲れさま、よかったよ!」 の言葉が嬉しくてしょうがなかった。

この何週間はずっと今日のために放課後残ったりだとか家で発表練習する毎日 が続いてたから、何だかとっても開放感。同時に、あと大きな行事は卒業式だ けになってしまったから何だかとても心細く思う。

12月17日(水) くもり

 

窓を開けて、両手に光を届けた。こうしたほうが薄くつけたマニキュアが早く 乾く気がしたから。あと数時間後には会えるんだって思ったら嬉しくてしょう がなかった。家を出るとき、エントランスのガラス戸で服や歩き方が変じゃな いかなぁなんて何度もぐるぐる確かめた。だいじょぶって思うことにした。

夏に染めてた髪を黒く戻してたから、この前に会ったときじゃなく中学のころ のパックンだぁなんて思った。ブーツ履いたからやっと背の高さがつりあうか なぁって思ってたけど、パックンのほうが全然高かった。(くやしかったけど 何だかドキドキした)

『さっき横で中学生の男の子がタバコ吸っててんかぁ。やけん髪がタバコくさ くなった気ぃする・・・』
「・・・どおりでさっきから何か。。(苦い顔する)」
『え?!(頭抱える)』
「・・・笑 うそうそ。冗談だよ!」

会ってすぐにこんな感じで、ずっとずっと笑ってた気がする。私が何か話そう とするたびに寝たふりしたり聞こえてないふりしたり、いじわるなところは夏 に会ったときと変わってなかった。背中にぽかぽか日差しが届いて気持ちいい なぁって思ってたら、パックンが晴れてよかったなぁって言ってた。何だかす ごく嬉しかった。

映画までの時間、イギリスのホストファミリーに送るクリスマスカードを選ぶ ことにした。いっぱい可愛いのがあって、いっぱい迷った。パックンは勝手に 封をあけて"飛び出すカード"を全部楽しんでた。いっぱい悩んだけど、パック ンが初めに「これ可愛いんちゃん!」って言ったのにしてみた。

映画が始まる前、私がトイレに行っている間にパックンはジュースをふたり分 買っててくれたみたい。カウンターのところでジュース飲んでるパックンをみ つけて、ゆっくり近づいてった。私に気付いたパックンがジュースふたつ手に 取って「コーラとメロンソーダ、どっちがいい?」って訊いてくれた。一気に 顔が熱くなるのわかった。パックン、さっきコーラ飲んでたのにって思った。 さすがにコーラとは言えなかった。「おまえメロンソーダって感じしたわぁ」 って笑ってた。ドキドキした。

席に着いて、小さな声でいっぱいお話できた。ときどき肩がふわって近くなっ て、その度にパックンの香りがふわってした。予告ですごくいいなぁと思う映 画があってパックンのほうを見たら「うぉー、やばい。観てぇ!」って小さな 声で叫んでた。笑った。

映画が終わってエンドロールのとき、たくさんの人が席を立ってた。パックン が「いつも最後まで見る派?」って訊いてくれた。ほんとはすぐに席を立っち ゃう派だったけど、ずっと近くで座ってたかったから『見る派!』ってウソつ いちゃった。ずっと小さな声で「よかったー!」「最高だったぁ!」って感想 言い合いっこした。

外に出たらもう真っ暗で、星がすっごくキレイだった。ずっとずっと白い息が ふわふわしてた。映画のこと、大学のこと、勉強のこと、夢のこと。毎日メー ルでも話していることなのに、何だかどれもが新鮮だった。パックンの声を聴 けること。パックンの笑顔を見れること。とってもとっても幸せだと思った。

電車の中でパンフレットを見てたらパックンが覗き込んできて、一緒にひとつ のパンフレット見ることにした。(パックンも買ってたのだけど。)ず〜っと顔 が近くにあって、パックンの香りがふわふわしてて、どうしようかと思った。 乗り換えのときにバイバイすることになるのだけど、パックンはひとつ電車を 遅らして私と同じホームに下りてきてくれた。何だかいっぱい幸せだった。

私にくれるはずだったぬいぐるみを忘れてきたみたいで「いつ渡そうかぁ」っ て言ってた。また会える約束ができるかもって思った。電車の中からバイバイ って手を振ったらニコって笑いながらバイバイしてくれた。とっても嬉しかっ たけど、すぐにまた会いたいなぁって思ってしまった。

嬉しかったこと、ドキドキしたこと。なかなかうまく言葉に表せられないなぁ なんて思いながらこうして日記を書いてたら、パックンがメールで"マジまた どこか行こうね!"って言ってくれた。いっぱい頷いてしまった。

花火の日から、ちょうど4ヶ月。会えない間に気持ちは大きく大きくなった。 次に会うときはもっともっと大きくなっているんだろうなぁ。いっぱい話して いっぱい笑った。いっぱいパックンのいいところ知れた。会うってこんなにも 幸せなことなんだって思った。

また会っていっぱいいっぱい話そうね。

12月14日(日) 晴れ

 

買ったばかりの手帳に、薄いピンクのペンで好きな人の名前を小さく書いた。 そのななめ上にある赤で書かれた14の数字を、同じ薄いピンクのペンでまる くかこんだ。目を閉じるのが嬉しいような、目を開けるのが恐いような。半袖 じゃないパックンに会うのは、きっと4年ぶりになる。

ジャスミンと恋のお話をするときは、いつも図書室前のベンチだ。私はきゃぁ とかわぁとか言いながらすぐにベンチから離れて蹲ったりするのだけど。この ベンチは、他の誰よりも私たちの恋のことについて知ってるんじゃないかって 思う。"おまえはいったいどれだけ恋しとるんやぁ"なんて思われてたりして。

「ごっちの恋愛に対する姿勢みたいなん、ずっとずっと憧れなんよ!」って笑 いながらジャスミンが言ってくれた。何だか嬉しすぎた。「ごっちが好きにな るひとやけん、絶対やさしくてええひとなんやろうなぁ!日曜日、プリクラ撮 ったら絶対ちょうだいよ!」って言ってくれた。うんって笑った。それから、 卒業してからもこうやって恋愛話しようなぁって約束した。

わざと大きく「はぁ」と息を吐いてみる。"あったか〜い"コーヒーを飲んだか ら余計に白いふきだしは大きくなったみたいだ。平日の放課後はひとりで図書 館だけど、土曜日はポッカも一緒。早く土曜日になりますようにとロビーで天 井を見上げながら、土曜日ここでポッカとお話している次の日は・・なんて考え た。さっきよりもふきだしが大きくなった気がした。

12月11日(木) くもりのち雨
(パックンは冬の雨は苦手なんだって。でも、雪はいいみたい。)

 

"せっかくひさしぶりに会うんだから二時間も黙って座っとくんもなぁって思

ったりもしたけどお互い映画好きやしいっか"

にらめっこしたら勝負にならないくらい、口の端っこが緩んでしかたがなかっ た。いま直接会っているわけじゃないのに、鏡の前で前髪をなおしたり頬を冷 やしてみたり。カレンダーと天気予報を何度も何度もみつめて、もう一度さっ きまでしてたメールを読み返してみた。

来週の土曜か日曜に一緒にごはん食べに行くことになった。幸せすぎて、もう すでにおなかいっぱいなのだけど。私のワガママで、観たかった映画も一緒に 行けることになった。前にいってたぬいぐるみもそのときくれるみたい。楽し みなことがいっぱいすぎて、何だか上手く書けないや。

ふたりで遊ぶ?て訊かれて「勘違いされたら困る〜とかだったら遊ぶのなしで もいいよ」って、なしになるのなんて嫌だって思ったけどそう答えた。そした ら「いやいや大丈夫だよ。こっちが言いたいくらいだよ」って言ってくれた。 何だか嬉しすぎた。私なんて勘違いしてほしいくらいなのに。(なんちゃって)

私の中のカレンダー、来週をクリスマスにしちゃおう。

12月6日(土) くもりのち雨

 

廊下ですれ違うたび気付かないふりをすること、目が合う前にそらすこと。そ んな毎日に少しずつ慣れていく中で、卒業までには絶対にもう一度だけ好きだ ったことを伝えたいと思ってた。だから「春ころはほんとに惚れてたけん」っ て笑いながらだけど言えて本当によかった。好きだったこと、ちゃんと伝える ことができたよ。

絵の具で描くには大変そうだった中庭の木は、カラフルな絨毯の真ん中で淋し そうにしてた。この週末に春から住む家を探しにいく友達もいて、ほんとにバ ラバラになっちゃうんだなぁって思った。「離れてても仲良しなん変わらん自 信あるよ」ってお互いに言うことのできる友達がいること、とても幸せだけど やっぱり離れるのは淋しい。

去年のもう少し寒くなったころ。食堂のストーブに手を翳して、みんなでそう じをさぼってお話してた。窓の外で先輩たちが「これが最後のそうじになるん かえー、がんばろ!」って笑ってた。「なんか最近になってそうじの時間がや けに楽しいんやけど!」なんてみんなと笑いながら、去年の先輩の気持ちと音 をたてて重なった気がした。

「新宿のビルのかたまりが見えるよ」なんて言いながら、お風呂上りに夜景を 楽しんでるみたい。風邪ひかないようにねって笑顔の絵文字を付けたけど、淋 しくてしょうがなかった。春からはパックンとももっともっと離れてしまう。 「離れてても好きなん変わらん自信あるよ」ってお互いに言うことのできる仲 だったら、淋しさはもう少し小さかったかもしれないのに。

もうすぐ課題研究の成果発表会がある。2日目のトップバッターてのは未だに 納得いかないけど、この1年の成果をきちんと伝えたい。今から緊張!

12月5日(金) 晴れのち曇り

 

久しぶりに携帯から流れたのは、設定を解除してなかった階段の人の専用音だ った。花火の何日か前以来 私のほうから送ることはなくなってたのだけど、 今でもときどきメールを送ってくれる。そんなとき必ず階段の人は恋で悩んで るのだけど。

ひとつだけ嬉しかったのは、前に教えてくれた夢が変わっていなかったこと。 小学校からの夢なんやっていってたの、すごくすごく覚えてる。入試が近いみ たいだからいっぱい応援してあげた。あのとき教えてくれた夢は本当だったん だって、あたりまえのことなのにとっても嬉しくなった。

気になる子教えるのに、ただは嫌だから何か交換しようで!だとか、クリスマ スに彼女に指輪あげてみたいだとか、後輩がうらやましい〜だとか。いっぱい 本音が聞けたし、い〜っぱい笑った。「大丈夫やろ。優しいしかわいいやん。 えー彼氏ができるって!」なんていわれて、素直に喜ぶことかできた。

いっぱいいっぱい好きだった人。せっかく仲良くなれて嬉しかったのに、気ま ずくて話しづらかった。だけどもう大丈夫だって思う。いろいろ相談しあえる し、恋の相談でものってあげたいって思う。お互いがんばろね。

階段の人は、女の子から「カッコイイけん自信持っていいよ」とか言われたの 私がはじめてで嬉しいって方言いっぱい使いながら喜んでた。方言の使い方も 変わってなくて、いっぱい笑った。階段の人にはずっとそのままでいてほしい なぁなんて思った。

階段の人が入試に行ったとき、何かおもしろいものあったらお土産買ってきて くれるみたい。お互いで「うちらって仲良しや〜」とか言って笑った。でもパ ックンとのやりとりと似てるから、パックンにとっても私はただの仲良しさん でしかないのかなぁなんて考えた。

入試のドタバタしてたころに受けた検定に合格してた。1年のときから落ちて ばかりいたから本当に嬉しい。努力すれば結果はついてくること、やっとやっ と実感できた。1月に向けて、また図書館通い続けようって思った。

12月2日(火) 晴れ

 

準備室から明かりが見えたのでドアを開けると同時に「ケンちゃん!」と叫ん だ。振り向いておはようと笑ったケンちゃんの前に、昨日の夜やっと完成した 卒業アルバムのクラスページを差し出した。おもろくできたなぁって笑ってく れた。教室にいた上野ちゃんとタニミカもチャイムが鳴る前までずっとずっと 見てくれてて、いっぱい笑ってくれた。いっぱい嬉しくなった。

帰りの電車で、あゆみちゃんといずみちゃんと一緒になった。「あたし、この 学校来てほんとによかったって思ってるよ」っていずみちゃんが言ってて、大 きく頷いた。何だかじーんとした。3人で高校のいいとこいっぱい言いながら いっぱい笑った。

「自分のことのようにうれしいよ」ってパックンが言ってくれて、ずっと部屋 でにたにたしてたら妹に変な目で見られてしまった。12月1日、冬のはじまり の日に桜咲きました。大好きな友達にいっぱいおめでとうをもらって、大好き な人にそう言ってもらえて、いっぱい幸せになった。

パックンも卒業アルバムを作る係みたいで、おそろいだねって笑った。ちょっ とした偶然に何か特別なものを感じてしまって、私ほんとにいつのまにかいっ ぱい好きになってたんだなぁって思った。どんな小さなことでも話したくなる し、いっぱい話してくれる。いっぱい幸せだ。

この前言ってたぬいぐるみ、わざわざ頼んでくれたみたい。何だかちょこっと だけ特別みたいで嬉しくなった。今度こそほんとに会って話せたらいいな。

12月1日(月) 晴れ

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