メモを片手に野菜コーナーを行ったり来たり。それだけで何だか気分は満足し てしまって、妹に「こんなのんびりしてたらお母さん仕事から帰って来るよ」 と大きな声で怒られてしまった。ナツメグってどこに置いてあるんだろうなん て思ってたら「どうせこれ探してたんでしょ。野菜コーナーにあるわけないや ん!」とどこからかナツメグを持ってきてくれた。7つ下の妹のがすっかりお 姉さんしてる。

なんとかお母さんが帰ってくるまでに調理し終えることができた。「まさか玄 関あけたときにロールキャベツの香りがするとは思ってなかったわぁ」とお母 さんが笑ってくれて嬉しくなった。口のまわりをトマトソースで真っ赤にさせ ながら妹もおいしいって言ってくれた。夕飯を一品ずつ作らせてもらうように なってから、幸せだなぁと思う瞬間がひとつ増えた。

食器を洗い終わって、リビングでお母さんとお話するのが最近の日課。あれか ら1週間だね、とお母さん。恥ずかしくなってテーブルに伏せてしまった。学 校の友達は私とパックンが一緒にいるところ見たことないけど、お母さんは先 週会ったときに少しだけいたんだぁと思い出した。

「『あ、おったぁ』とかって可愛〜い声出しちゃって。彼のほうも嬉しそうに 近づいて来てたし。これはすぐに退散しないとって思ったんだから」って笑っ てて、もう恥ずかしすぎた。カップルっぽく見えた?って訊いたら、見えた見 えたって言ってくれた。嬉しいなぁと思った。

E・recipe >> とってもおすすめです。明日は何にしようかな。

1月31日(土) 晴れ

 

ローファー片手に冷たい床になるだけ踵をつけないようにパタパタと走った。 バランス感覚がないのを知っていてか氏家ちゃんはいつもどーんと背中を押し てくる。うわぁと視界が低くなったのにひやひやしながらも、明日は曇りだな んて心の中で思いながら転がったローファーにすっかり冷たくなったつま先を 入れた。みんなから少し遅れて外へ出るとふわぁと暖かい光が広がってた。あ ったか〜い!って空を見上げてたらみんなも眩しそうにそうしてた。

カラフルな絨毯もメタセコイヤの掃除しづらい繊細な葉もすっかりなくなって いた。「掃除なしでええよね!」ってみんなで喜んでたら、ケンちゃんが「今 日は大掃除じゃぁ」って言いながらわざとどこからかむしってきた草を投げつ けてきた。しおりちゃんや氏家ちゃんが最悪やぁって笑ってた。ペンギンみた く袖に指先を隠したケンちゃんは、投げつける草を探してしゃがみこんでた。

「お前らなんでマフラーなんかしよるんやぁ」ってケンちゃんに言われた。す ごくぽかぽかしてたからこればかりはケンちゃんの勝ちだと思ったけど、外し たくないなぁと思った。ずっとぐるぐる巻いていたい。暖かくなったら、きっ とパックンもマフラーを外してしまう。一緒に選んで、私にもぐるぐる巻いて くれた、あったかいって言ってくれたマフラーなのになぁ。

岩澤ちゃんが「一緒に入ってあげよか?」って言ってくれたけど、階段の人が 真ん中に座っている進路資料室に入ることができなかった。いろんな相談し合 いっこできるようになったから緊張したりだとか気まずい思いもしなくて大丈 夫だと分かっているけど、何だかやっぱりだめだ。

毎日、夕飯を一品だけ作らせてもらっている。今日は金平ゴボウ。春に一人暮 らしをスタートさせるころにはそれなりに形になっているといいなぁ。パック ンが「今日の献立は?」なんて訊いてくれたとき、少しだけ照れてしまった。 いつか何か作ってあげられたらいいなぁなんて思ってみたりして。

※ 意地悪な「ケンちゃん」は担任の先生。

1月30日(金) 晴れ

 

初めて手に取ったときどんな風に思ったんだろうだとか、この一文はきっとあ の人も好きなんだろうな、とか。心の中に好きな人を思い浮かべて好きな人が おすすめしてくれた本を手に取る瞬間が、とても大好きになった。

学校からの帰り道、本屋さんに寄るとうめさんが雑誌を立ち読みしてた。私に 気付くと大きな声で「わぁごっちー!今帰り?」って笑ってくれた。同じクラ スだったときは毎日一緒にいたけど、クラスが離れてからふたりでお話する時 間はほとんどなくなってしまった。だから久しぶりにこうしてお話できたこと がとっても嬉しかった。

受験のこと、進路のこと、4月からのこと。うめさんのお迎えが来るまでの間 だけだったけど、いっぱい話した。2年のときは恋の相談ばかりしていたけど やっぱりうめさんは恋のこと以外でも私にとても的確なアドバイスをくれた。 すごくすごく嬉しくて、ついつい自分のことばかり話してしまった。

学校へ行くのも残り5日みたい。氏家ちゃんと図書館のソファで嫌だ嫌だって ずっと言い合いっこした。氏家ちゃんとも春からはうんと離れてしまう。1日 いちにちを本当に大切にしたい。テスト終わったらカメラ持って行こうっと。 アルバムを大好きなみんなの笑顔でいっぱいにしたい。

肩の少し下まであった髪を、肩につくかつかないかまで切ってみた。いつもの 美容室のお兄さんが「例の彼にバレンタイン何かあげないの?男ってのは手作 りに弱いよ〜!手作りってだけでときめいちゃうもん」とか言ってていっぱい 笑ってしまった。

小学校か中学校のとき、一度だけパックンにチョコレート作った気がする。同 じ英会話教室ってだけだったから気持ちを込めていたかどうかは忘れたけど、 いつもより話すのが照れくさかったのはなんとなくだけど覚えている。あのと きみたく、笑顔で受け取ってくれるかな。

1月27日(火) 晴れ ♪Crystal love melody.

 

夢じゃないかと思って頬を抓ったことは今までに何度もあったけど、頬の痛さ を感じてもまだ夢じゃないかと思ったのは、きっと昨日が初めてだ。こうして 日記を書いている今も、まだどこかふわふわしている。パックンと会ったあと はいつもこんな感じだ。

神戸に向かうバスの中、パックンから久しぶりのメールが届いた。久しぶりな のと、パックンのほうから送ってくれたことがとても嬉しかった。「今、神戸 に向かうバスの中なんだよ」って教えると、「おれ今、神戸だよ!」と返信。 また冗談を言われたのかと思ったけど、本当みたいだった。びっくりしたこと を伝えると、パックンもすごくびっくりしてた。

奨学金の試験と春から住む家を決めるため神戸に来た。前に泊まったすごくお しゃれなホテルにチェックインして、お母さんとおばあちゃんと一緒に夕飯を 食べていたとき、パックンも私もお互い同じ駅の周辺にいることがわかった。 偶然が重なりすぎて、驚くのを越えて笑ってしまった。

12時のフェリーで帰るまでは暇だなぁなんて言っていたから、それまでメー ルでお話してようってことになったのだけど、何だか会いたくてしょうがなか った。せっかく近くにいるんだから会ってお話しよ?って言ってみた。そした ら明日が試験だということを心配してくれたけど、おれはかまわんよって言っ てくれて、三ノ宮の中央口で待ち合わせすることに。

「お父さんに言うたら怒られるけど、黙っとくね。待ち合わせのとこまで送っ てあげるわぁ」と、お母さん。15分くらいで着くね、とパックンに伝えたあ と、お母さんとふわふわ白い息を作ってお話しながら歩いた。小学生のころの 私とパックンを知るお母さんは、私の気持ち、とっくに気付いているんだと思 う。

携帯を片手にこちらへ向かってくる背の高いひとがパックンだと分かって、思 わず「ほんとにおったぁ」と叫んでしまった。私がぱたぱたと走っていくと、 パックンが笑ってた。振り返るとお母さんが私を見てニコってして、バイバイ ってしてた。何だか恥ずかしかったけど、いっぱいありがとうって思った。

「ほんまにびっくりしたし。てかおれ歩きすぎて足やばいけん、どっか座ろ! お茶しようで?」って言ってて、いつもみたくパックンの少し斜め後ろを歩い た。クリスマスのときみたいだぁって思って、ほんとにパックンなんだって思 った。お互い初めての街で知らないとこばかりだったけど、一緒になって迷い ながらいっぱい歩いた。いっぱい笑った。夢みたいだと思った。

ケンタでホットコーヒーを頼んだ。あたりまえのようにパックンがお金を出し てくれて悪いなぁと思ったけど、素直に甘えることができた。だから2階の席 を取るのは私ががんばってみた。やっと座れたぁってすごく嬉しそうだった。 パックンは前から一人旅がしたいしたいって言ってて、それが今日だったみた い。何でも有言実行しちゃうとこ、ほんとにすごいなぁと思う。

パックンの足が治ったあと、生田神社に行こうってことになった。「おれ、こ こに着いたときすぐにお祈りしてきてん。今日はいいことばっか起こったけん ありがとうって言いにいかないかん!」って言ってて、私と会ったこともいい ことの中に入ってたらいいのになぁって思った。

11時前だったからシャッターが下りていて中には入れなかったのだけど、お賽 銭をしてお願いをした。「神社て手叩くよね?礼をして、・・・もう1回?」 「気持ち込めてたら何でもいいんやって!」なんて言いながら、何回も手を叩 いたり礼をしたり、いっぱいお願い事をした。「ここはご利益ばっちりやぁ」 って言ってた。いっぱい笑った。

パックンとお話できたのはほんの40分くらいだったのだけど、何だか本当に 夢みたいで信じられなかった。こんなところで会えるなんて、全然ぜんぜん思 っていなかった。最後に横断歩道で「またね!」ってバイバイをしたのも、何 だか不思議な気持ちになった。ほんとにほんとに、会えたんだよね。

ホテルに戻るとお母さんとおばあちゃんがにこにこしてた。「パックン君、面 影のこってたわぁ」って言ってた。「明日の試験、700人もおるってさっき 泣き言いってたけど、こんなふうに偶然好きな人と試験前日に会える子なんて 700人のうちさやかしかいないかもよ。すごい確率やん。諦めないで、自信 持ってがんばりな。700人の中のさやかはひとりなんやから」お母さんがそ う言ってくれて、目の奥がじんとした。嬉しかった。

「がんばれよ!んで、いい家さがせよ☆おやすみ」ってパックンからメールが 着たすぐあとに「パックンに会ったらしいね!」ってカズくんからメールが着 た。何で知ってるんだろって慌ててたらお母さんが「あんたもさっき帰ってき てすぐ、あゆみちゃんにメール送ってたじゃない。それと同じかもよ」って笑 ってた。何だかいっぱい照れてしまった。

パックンと一緒に飲んだコーヒーのおかげで寝不足だったのだけど、試験は自 分の力いっぱい出せたと思う。春から住むところは、とっても広くて可愛いア パートを見つけることができて大満足。「すごくいいとこみつけたんだよ」っ てパックンにメールを送りながら、でも春からは会えないんだなぁと思った。

たくさん会えばきっともっと好きになっちゃうから、できるだけ会わないよう にしようと思ってた。日記を書いていない間、そんな気持ちばかりがぐるぐる してた。きっと春からつらくなると思ったから。だけど、約束がなくても遠い 場所で会えたこと、すごい偶然だけどすごい運があるんだと思った。

小さい頃からマンガみたいな恋ばかりに憧れていたから、こんなマンガみたい なことが起こるとどんなことでも信じてがんばろうって思えてしまう。試験は 終わった(期末試験は真っ最中だけど)けど、これからも図書館に通って勉強や 読書は続けたい。何かに一生懸命になったら、結果は必ずついてくると思うか ら。

残りの期末試験もがんばります。学校生活もあと少しだ。

1月25日(日) くもり

 

今月末に大事な試験があるので、それまでおやすみします。毎日の嬉しいこと ドキドキしたことはひとつひとつ水色の日記帳に書いているので、またここに も書けたらいいなぁ。2月に胸を張って大好きな人に会えるように、あともう 少しがんばります。

1月19日(月) くもり 

 

 

マフラーにいっぱい空気を含ませて、頬に冷たい風があたらないように深く深 く巻いてみた。駅までの道のりはひんやりと静かで冷たくて、はぁと息を吐い ただけなのにやけに大きく響いた気がした。白く白く昇ってく息が何だかおも しろくて、もう一度冷たい空気を大きく吸い込んだ。パックンも今、あの大き なマフラーぐるぐる巻いてるのかなぁなんて思ってみた。

日当たりのいい窓側の席までぱたぱた走っていって、みんなで大きく手を広げ た。「向こうのうどん屋から、うちら絶対変な子やと思われるよねぇ」なんて みんなでくすくす笑いながら日向ぼっこをした。休み時間の、小さな小さな幸 せ。こうしてみんなで一緒に笑うのは、あとどれくらいなんだろう。

図書館のロビーで飲むコーヒーはとってもとってもおいしい。苦手だったはず なのに、他のどんな飲み物よりも大好きになった。ふかふかのソファも、なか なか開こうとしない自動ドアも大好きだ。明日はポッカさんが塾みたいだから ひとりでお昼かぁなんて思ってたけどうじけちゃんが来てくれることに。こう してひとりで来る図書館も好きだけど、やっぱり誰かと一緒のが心強いなぁ。

パックンと、もしかしたらバレンタインデーに会えるかも。それを岩澤ちゃん にいうと「もう付き合いよるでん。笑」って言ってくれて、むちゃ照れてしま った。この前、一月末までメールはおやすみするって宣言しちゃって初めはす ごく後悔してたけど、その分ほんとに勉強に集中できるようになったからやっ ぱりよかったんだと思う。

ラストスパート、がんばります。(この前の入試で合格したけど、やっぱりチ ャレンジしたい!)

1月9日(金) 晴れ

 

 

まだ冬休みに入る前、図書館の帰りにいつも寄ってた雑貨屋さん。可愛いもの ばかりでどれもほしいなぁと思ってたけど、中でもほしかったのが赤い手袋。 雑貨屋さんに寄るたび手袋に指先を入れてはいいなぁいいなぁと思ってた。久 しぶりに雑貨屋さんに入るとセール中みたいだった。自分にお年玉、というこ とで赤い手袋を買うことに。嬉しすぎてにやけてしまった。

この前パックンとお出かけしたときにあゆみちゃんへの誕生日プレゼントを選 んだのだけど、閉店する時間だったみたいでエレベーターは止まるしお店の電 気も消えだすしで慌ててお店を出た。「毎年マグカップあげるのとかは?今年 から。ひとつひとつ増えていくん。センスあっていいと思うなぁ」『・・・でも マグカップ40個とかって増えちゃうんだよ?』「・・・笑」なんてお店を出て からも何をプレゼントしようか一緒に考えてくれた。

マグカップがいつか40個とかになるのはやっぱりなんだかなぁと思ったので 可愛い写真立てに自分で書いたイラストを入れてプレゼントすることにした。 毎年同じものプレゼントするにしても、マグカップ40個よりも写真立て40個 のほうがいいかなぁとも思ったし。パックンに言うと「なかなかいいんじゃな いかなぁ。おれとしてはマグカップもほしいとこだけど!」って笑ってた。

赤い手袋と可愛い写真立てを持ってレジへ。お店の人に、カードを入れたいか ら自分でラッピングしますと言うと包装紙をたくさん入れてくれた。いくら私 でもこんなに失敗しないよ〜と思ったけど、笑顔でありがとうございますって 言った。結局もらった包装紙を全部使うことになるのだけど。

やっとやっと明日から図書館が開館するみたい。さっそくポッカさんと待ち合 わせの時間をメールで決めた。ポッカさんは最近ファミレスで勉強してたみた いだけど、タバコ吸う人とかいて集中しづらかったみたい。私も自分の部屋だ とついつい他のことしてたからなぁ。明日からもまたがんばろう。

1月3日(土) 晴れ

 

5 4 3 2 1!!

お母さんとおばあちゃんと手を繋いでジャンプした。飛躍できるように、なん て決意も込めて。テーブルの上には食べかけの年越しそばと、途中からひとつ も進まなかった地理の問題集。1/1を表示させている携帯に、たくさんのお めでとうメールが届く。ゆずの夏色が部屋に響いて、今年最初の両手で隠しき れない笑顔になる。

"初詣にでも行きたいね!"って言われて、今すぐにでも連れてってなんて思っ ているのに言えなくて、返事を曖昧にしてしまった。今年は素直になるって決 めてたのにやっぱり1日やそこらでは素直になりきれないみたいだ。だけどま た暇なときお出かけしようねって言ってみた。(今年いちばんの勇気かも) そ したら"だいたい暇だよ!"って言われて、眠気が吹っ飛んでしまった。

大好きな人との予定を書き込んだ、幸せがいっぱい詰まった2003年のカレン ダーを外してくるっと丸めた。今年も大好きな人との予定を書き込めますよう になんて思いを込めて、サカキバラメグミさんの描いたほんわか可愛いカレン ダーを壁に掛けた。

今年いちばんの勇気をたくさん使って、私が検定や試験を全部受け終わった2 月にまた会う約束をした。それまで思いきり勉強に集中して、2月、パックン と胸を張って会えるようになっていたい。そのときまでには素直に気持ちを伝 えられるようにもなっていたいなぁなんて。

いっぱいドキドキして、いっぱい勇気を出して、そして決意を固めなおした。 そんな2004年の始まりの日。

新年明けましておめでとうございます。今年もよろしくお願いします。
2004年も私色に染めちゃいます!・・・なんちゃって

2004年 1月1日(木) 晴れのちくもり

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