おなかだとか頬だとかがぴんと痛くなるほどたくさん笑って、これは泊まっ て夜中もおしゃべりしないと語り足りないねってみんなでもう一度笑った。 えりちんとあゆちゃんとおしゃべりしたりお買い物したり。「これごっちが 着てそうやぁ」とふたりが選んでくれたのは優しい色合いのかわいいカット ソー。嬉しくて嬉しくて買ってしまった。お気に入りの一着になりそう。

とってもおしゃれで落ち着いた雰囲気の雑貨屋さんにあゆちゃんがおすすめ だよと連れて行ってくれた。手紙を書くのももらうのも嬉しくなっちゃいそ うなかわいいレターセットだとか、ただ身につけているだけでぐんと女の子 らしくなっちゃいそうな小さなポーチだとか。それらをひとつひとつ手に取 りながらかわいいねだとかほしいなぁなんてみんなで笑った。

みんなから少し離れて違う棚のところへ歩くと照明とともにふと雰囲気が変 わった。優しい色合いで揃えられた皮革調のブックカバーが置かれていた。 「うわ、これ欲しいなぁ。こういうの俺ずっとあこがれてたんやぁ」なんて 目をくしゃっとさせて笑っているパックンがすぐ傍にいるような気がした。

いいでしょなんていつか見せてあげたいなぁって思ってみたりしながら、淡 い落ち着いた色合いのそれをレジのお姉さんに渡した。帰りの電車の中でさ っそく読みかけていた小説と合わせてみた。少しだけ近づけた気持ちだ。こ れが読み終わるまでに、なんてもう一度だけお願いしてみたよ。

*

"人が自分を好きになってくれることは嬉しいこと。一人の相手をいっぱい 好きになったごっちはえらいよ。自信もちな。恋人じゃなくて友達になって も僕は相手をずっと好きでいたいなぁ。"

制限文字数いっぱいのメールの中でもらった言葉。
本当に本当にありがとう。

4月25日(日) 晴れ

 

ボールをぎゅうと抱えてとびきりの笑顔になる。嬉しいのが伝わってきて思 わず私もやったぁと叫びながらバンザイをした。まみこ先輩が「そうそう、 得点が入ったら審判はそうやって両手をあげるんだよ」って笑ってた。さっ きすごいかっこよかったよってザキくんに言うと、たれ目をくしゃっとさせ ながらありがとうと笑ってくれた。

空き時間にみんなで大学近くのお店に出かけて、カゴいっぱいにパンやジュ ースを詰め込んだ。あやちゃんが「商品券あるからおごるで」なんて言って くれて、みんなでたくさんありがとうを言った。大学とお店を結ぶ通りをみ んなでのんびり歩きながら「うちらってほんとに大学生に見えてるんかな ぁ」なんて笑った。

***

同じ部活で同じ苗字で、おまけに下の名前までひとつ同じ漢字がある池ちゃ んと試合会場に向かう電車の中でお話。誰かかっこいい人見つけたか?と訊 かれて首を振ったら「そういうときは冗談でもおれの名前を言うんぞ」と怒 られた。じゃぁ池ちゃん、って言いながらいっぱい笑った。

みんなの前ではわいわいと話していたのだけど、電車を降りたあと少しみん なから離れてパックンに対する気持ちを聞いてもらった。だんだんと離れて いくのが分かること、だけど認めるのが恐いこと、会いたいと思うこと、だ けど伝えられずにいること。

2回生の先輩が「お前ら早く来い!じゃないと俺が怒られるんやぁ」と私た ちを迎えに来るまで、ずっとずっとお話を聞いてもらった。いつも心の中で 思っていることなのに、言葉にするだけでこんなにも大きな思いになるんだ なぁと思った。

先輩に「はぁい」と大きな声で返事をしたあと池ちゃんは「おれはずっと好 きでおっていいと思うで。諦めたらそこで終わってしまうんぞ?自信持って 信じたらいいと思う。また話聞くよ」と小さな声で言ってくれた。何だかす ごくすごく楽になって、ありがとうと思った。

4月24日(土) 晴れ

 

パフェ用のトッポを店長にみつからないようにホールのみんなでこっそり食 べたりだとか、よくできましただなんて言いながら西部さんがコーンフレー クを口に放り込んでくれたりだとか。夕方から深夜まで本当だったら眠たく てしょうがない時間なのだけど、ただただ楽しくて。

環境だとか生活だとか周りのひとたちだとか。たった一ヶ月の間にこんなに もがらりと変わったのはこの一ヶ月がきっと初めてで、きっとこれからもな いのだと思う。夢も見ずに熟睡する毎日だけど、とてもとても充実している 気がして何だかとても気持ちがいい。

明日でちょうど、大切で大切でしょうがなく思う日から一ヶ月だ。目を閉じ れば向かいの席でパックンがいたずらぽく笑っている気がして、駅の改札口 で小説片手に私を待っていてくれている気がして、自転車を押しながらゆっ くりと私の隣を歩いてくれている気がして。

思い出よりも今が大切だと言っていたからきっと今は新しい出会いに優しい 目をきらきらさせているのだと思う。私は今も大切だけど思い出もとてもと ても大切に思うから、パックンと話したひとつひとつの言葉だとか感じた温 かい気持ちだとか、ぜんぶぜんぶ覚えていたいと思っているよ。

やっぱり今でも上手く言葉に表すことができないけど、一緒に過ごした時間 や一緒に歩いた大通り、交わした言葉の全部が自信となって心の中に残って います。欲を言えばパックンにも私のように思っていてくれたらとは思うの だけど、片想いの私にとっては今のままでとてもとても幸せに思うよ。

4月18日(日) 晴れ

 

おしゃべりするのも好きだけど、何も話さずにただ一緒にぼうっとする時間 もすごく大切に思うし好きだなぁ、とあゆちゃんが言ってた。その横でぬい ぐるみにぎゅうと頬を当てながらそうだねって笑った。授業の合間の空き時 間に私の部屋でのんびりしながら、あゆちゃんと波長がぴたりと重なること を嬉しく思った。

アルバイト先の居酒屋さんで恋愛大相談会。諦めようと思って話し出したの に、話せば話すほどこんなにもこんなにも好きなんだと改めて気付かされた 気がした。苦手だったコーヒーが飲めるようになったこと、いつも文庫本を 持ち歩くようになったこと、全部全部好きな人の影響だということ。

ばふっと背中に何かが当たったので振り返ると、おはようと優しい笑顔。一 緒の授業がよかったよだとか、応援してくれたらもっとがんばれるよだなん て今の私に言うのは反則だ。嬉しいけど、素直に受け止めることができない や。

*

おめでとうを伝えたらよく知ってたなぁと言われた。そんなの忘れるわけな いよ。だんだんとだけど離れていくのが分かって、だんだんとため息をつく 回数が増えていくのが分かる。誰かを好きでいることはこんなにも苦しいも のだったっけ。

4月16日(金) 晴れ  Happy birthday

 

中学に入学したとき、幼馴染のえみちゃんとどの部活に入ろう?なんて体育 館横の通路に足を放り投げて座って、広い広いグラウンドをずっと見てた。 どこまで続くんだろうだなんて本気で思ってた。だけど高校のグラウンドは もっともっと広くて、真っ青な空の下、そのグラウンドで恋なんかもした。

あの日と同じように青く澄んだ空の下で、買ったばかりの笛を思い切り吹い てみた。それに合わせて部員のみんなが声を掛け合ったりだとかダッシュを したりだとか。高校とは比べ物にならないくらい広い広いグラウンドで、こ の部活を選んでよかったなんて思いながらもう一度大きく息を吸った。

休日は午前中が部活で午後から夜の12時までアルバイトという何だかとって も忙しいスケジュールだ。本当はゆっくり寝転がって読みかけのままだった 小説を読みたいなぁと思うけど、きっと大好きなあの人のことを思い出して しまうからこれくらい忙しいほうがいいかもしれないと思った。

*

簡単に守るだとか可愛いだとか口に出しちゃだめだよ。すごくすごく嬉しい けど、それでも私は何も言わずにただ一緒にいてくれたパックンのがやっぱ り好きだ。一番伝えたいのに伝えられなかったことはこれからも伝えること はできないかもしれないけど、19歳の誕生日にはおめでとうを言いたいな。

4月11日(日) 晴れ

 

一日ひとつの物語、と決めて読んでいた短編集も一冊読み終えてしまった。 勢いで始めた居酒屋さんでのアルバイトも忙しいけれどとても楽しくて、こ れならずっと続けられそうなんてまだ4日目なのに強く実感してみたり。自 分の時間が少なくなる分だけ時間を大切にできている気がして、何だかとて もとても満たされた気持ちだ。

私がミスチルを好きそうだと言いながら発売したばかりのアルバムを持って きてくれた。それ以来少しずつ話すようになって、大学の男の子の中では一 番話しやすい人になった。私が毎日お弁当を作っていることを知っていつも 見たいだとか、今度オムライス食べさせてよだなんて声を掛けてくれる。

照れているところが可愛いだとか好きだだとか、そんなこと今まで言われた ことがないから何て言えばいいのか分からなくて、すごく恥ずかしかった。 見るからに軽そうな人なら無視をするのだけど、何だか真直ぐ過ぎてただた だ戸惑ってしまう。

ぐるぐるする気持ちをパックンにそのまま伝えたいのだけど、忙しいだとか 眠いだとかでメールの返信も本人曰く「ごめん、最近おれすごく適当に返事 しよる」みたい。じゃぁ昨日のあのメールも適当だったんだ、なんてまた新 しく気持ちがぐるぐるしてしまう。

ミスチルのアルバムをエンドレスで流しながら、手帳を開いた。今度ピンク のペンで大きく日付を囲む日はいつなのかなぁ。これが読み終わるころに、 だなんて思いを少しだけ込めて新しい短編集を買ってみたよ。明日からもパ ックンがしてたみたく、おしゃれなカフェでコーヒー片手にかっこよく読ん でみせるから。

4月9日(金) 晴れ

 

いつの間にか苦手だった早起きが大好きになっていて、今日はどんな料理を 作ろうかと考える時間がとてもとても楽しくなっていて、まだ目は瞑ってし まうけれど足がたくさんある虫だって一人で退治できるようになっていた。 不安だった一人暮らしだけど、何だかとっても気に入ってしまったみたい。

エリちゃんとは苗字が同じで入学式のときに隣の席になった。「名簿見てど んな子なんやろうて気になってた!」なんてふたり同じこと言って笑った。 英語のコースも同じだから、どの曜日に授業入れるかまた相談しようねって 立食パーティーのときに約束したよ。

あっこちゃんはコース選択テストのときに隣の席で「消しゴムふたつ持って へん?」って聞いてくれたのがきっかけで話すようになった。いつも冷めた ことばかり言っているけど私の恋のこれからをとても応援してくれていて気 にかけてくれているのが何だか伝わってくるから、あっこちゃんはきっとと ても温かい子だ。

くみくみは奨学金の説明会で隣の席になって、お互い四国から来たことが分 かって仲良しさんに。おまけにふたりとも恋のお話が大好きで、会って1時 間も経っていないのに十年前からの友達みたく意気投合しちゃった。私のふ わふわ頭をとても気に入っているみたいで何だか照れた。一緒にアメフト部 のマネージャーさんになろうね。

えり先輩はクラスの中でお母さんみたくしっかりしていて、私が冗談で先輩 みたいって言ったらそれがあだ名になっちゃったんだよね。お互い一人暮ら し生活がんばろうね。どっちが早く方言なおせるかなぁ?

あやちゃんとあゆちゃんとは同じクラスで、だけどその中でも何だか落ち着 きのなさ具合が似ていて気付けばずっと一緒にいる。中野くんがくれた景品 で当てたぬいぐるみ、3人でおそろいなのすごく嬉しいよ。また月曜から友 達の輪広げに歩き回ろうね。

食券を買って並んでいたら、入試のときに話しかけてくれた男子が覚えてい てくれて懐かしいなぁなんて話が弾んだりだとか、「入学式の練習で名前言 うてた子だよね?声高いなぁ思ってたんよ。」なんて私は知らないけど、話 しかけてくれる子がいたりだとか。

同じ高校を出ている友達が誰もいない中で不安がいっぱいだったけど、何だ か今まで以上に人と話したり接したりすることがとても大好きだと思えるほ ど素敵で大切な出会いばかりの日々だ。「ほんまこれから楽しみやぁ」って きらきらしているみんなに負けないほど、私もきらきらした大学生になりた い。

*

パックンも東京で新しい生活が始まったみたい。それでもいつもみたく今日 は何の映画があるよだとか教えてくれることがとてもとても嬉しい。次に会 うときまでに大人らしいパックンに少しでも近づいていることができるよう に、私も新しい生活を思いきり自分色に染めたいと思ったよ。

4月3日(土) 晴れ

 

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