白と水色とうすい茶色。ランダムなボーダーの帆を張った、小さなヨットの 置物を買った。小さな透明の瓶とコルクでできた蓋もいっしょに。家にあっ たカラフルな貝がらを瓶に詰めて、白い棚の上に。季節を感じること、すき になること。夏のおと、匂い、日差し、はきっともうすぐそこ。

窓の外がうんと真っ暗になった頃の、図書館がすき。イヤホンを耳にあてな くても、自然と集中できるから。誰かが筆箱のファスナーをあけた音がした。 高校3年生の夏から冬にかけて、深緑の自転車に乗って大きな図書館にいつも まっすぐに向かっていた。この独特の空間がきっと好きで好きでしょうがな かったから。

発表を終えたあと、首筋がざわっとなった。ただ写真をスライドに映すだけ の発表でもよかったのだけど、時間をかけてプレゼンを完成させたぶんだけ やっぱりうんと心地良い達成感。拍手と先生の笑顔、のちのひとこと。いち ばんよかったよ、って、お世辞でもすごく嬉しいや。

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虹の色や空の青のほんとう、なんてまだもう少し知りたくなかった。雲と雲 を虹で繋いで、いつかノートに浮かばせた。深緑の自転車に乗って赤い空に 想いを重ねていた日々を、ずっと繰り返していたい、なあ。

「お父さん、日曜日はすねてたのよ。でも月曜にね、さやかから手紙が届い たんだ、って話してくれたの」嬉しそうな母の声の向こうに、父が手紙をク ロゼットにそうっと飾る仕草、が見えた気がした。想いをかたちにすること、 ことばにすること。とってもとっても、大切なこと。

6月22日(木) 雨

 

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