君との日々は、いつだって春みたいで、居心地がよくて柔らかで。人を愛す とはこんなにも温かいものなのだ、と、歌にももう出てこないようなそんな ありふれた想いを、いつも感じていました。突き放すよに最後の電話を切っ たけれど、たぶんきっと誰よりも、幸せでした。わたし、幸せだったよ。

別れのことまで、私は、物語のよに書き綴ることができるほど、まだ強くあ りません。3年という月日を、ともにしたこと。何よりも、それが、心の支え となっていること。時間をかけて、あるいはいつも元気な姿を見せることで、 伝えていきたい。好きだといってくれた笑顔を、たやさずに、ね。

猫みたいに、私を呼ぶ声。広い、深い肩。幸せないつかの朝を、白い朝を、 いつまでも繰り返していられたら、なんて耽り振り返るのも、きょうだけに しよう。ね、ありがとう。伝えられていたかな、ねえ。いつかまた、笑って 会おうね。くしゃっと笑う、あなたがとても、好きでした。

4月30日(水) 晴れ

 

日の流れはときにいじわるに、心を穏やかにさせる。淡い、小学生みたいな 可愛い恋の高鳴りを、そうっと穏やかに、緩やかに流してしまう。何かを手 放すとき、ずうっとその行く手を見つめることしかできないのは、私の癖だ。 今ならまだ、手が届くのに。まだ、大丈夫なのに。あれほど大切にしていた 想いを、その行く手を私は見つめようとしているのかなあ。

ひとは、大切なひとを空だと詠う。そうっと宿るのは、ひとあしふたあしも 早く訪れた夏みたいな空だ。とても居心地がよくて、きらきらと、手を引き 外へと導いてくれるようで。とても自然に、その中にいることができる。目 を閉じて、想う時間が少しずつ増えていく。どうすれば、いいのかな。耽る とき、何を想う。

描いた夢を、誰よりもきっと、叶えたかった。あの春に始まった幸せすぎた 日々の、ずうっと続きを、いつまでも綴りたかった。いつか買った水色のノ ートに、何を書こうとしてくれていたのかな。一度でいいから、こうして時 間を忘れるくらいに、伝えてほしかった。うなずくばかりじゃなくて、言葉 で伝えてほしかった。きっとこんな風に、求めすぎていた。

柔らかい声に、心を許す。伝えられないもどかしさに、言葉通り、歯痒くも なる。日の流れはとてもいじわるに、心を揺らせる。意識をすると、途端に 下を向く癖は随分と前から変わっていなくて。覚えた足元、電話越しの声、 静かな想いを秘めて、沈めて。大人になればなるほどに、不器用になってい く。だけれどとても支えとなっているから、ありがとう、は伝えさせてね。

4月26日(土) 晴れ

 

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