朝からすごく風が冷たい。暖房のきいた電車の中がとても心地よくて、ふじこ とあゆみちゃんと手を温めあったり、温かい食べ物のお話をしたりした。ふじ こはこの土日に部活の大会があったみたい。その大会には私が中学のとき にすきだった人も来ていたみたいで、元気そうだったよと聞いて何だかとても 安心した。優しいところ、おもしろいところ、今でも変わっていないんだろうな ぁ。少しだけ、暖かくなった。ぽかぽか。

メールをした次の日の学校はやっぱり何だか少しだけ照れくさくなる。朝の号 令の声を聞きながら、ほんとに私はユニ君とメールしてるのかなって不思議 になる。メールではお話するのに、学校ではほとんどしない。ロッカーから教 科書とかを出しているユニ君の後ろを通って、少しだけ短くなった気のする茶 色がかった髪を見てドキドキする。私だけがこんなにドキドキして、こんなに すきで。少しくらいユニ君も私のこと気になってくれたらいいのに。

生物のあと、アネゴと菊さんと食堂へパンを買いに行った。寒い寒い言いな がら階段を上がっていくと、ユニ君と原田君が下りてくるのがわかった。私は 菊さんの後ろに並びながらパンに目を落とす。ユニ君と、すれ違った。ユニ 君はやっぱり笑顔で、素敵すぎる!なんて思ってたら菊さんとぶつかった。 菊さんはワザト立ち止まったみたいで『絶対ごっちはぶつかるやろなって思っ たら案の定リュックがボサって音した。笑』って言ってた。ほんとに前見てな かった!階段から廊下に出ると恥ずかしくて嬉しくて一気に教室まで走って った。アネゴが『ただすれちがっただけやん!笑』って言ってた。ほんとにそ れだけなんだけど、やっぱり嬉しかった。

そうじへ行くとき、ユニ君は大きなリュックを教室に置いていく。ユニ君のそう じ場所は下だから、リュックを持って行ってそのまま部活に行ったら楽なのに なぁとか思いながらも、教室そうじの私としてはとっても嬉しい。そうじが終わ りそうになるとユニ君は教室に入ってくる。うめさんがニタニタする。たくさん 見ればいいのに、私は気づかないフリをする。ほうきを持ったまま、おしゃべ り。だけどロッカーのところにいるユニ君に全神経は集中してる。その後ろ姿 にひとことバイバイって言うだけなのに、難しい。教室を出て、だんだん遠く なってくリュックを見て、またほんの少しだけ後悔。

アネゴとバイバイをして、職員室に向かった。コンクールに使う本を壷ちゃん に提出しなくてはいけない。誰かが職員室の前にいる。あのリュックはユニ君 だ!手すりに寄りかかって誰かを待ってるみたいだった。すごいびっくりして 思わず引きかえしそうになったのだけれど、そんなの余計にあやしいからそ のまま向かうことにした。少し小走りで前を通る。(急いでたの。)変な走り方 になってしまったーなんて思いながら職員室に入った。いくらなんでも気付い てくれたよね。壷ちゃんとお話して、何だかあっさり用件が済んでしまったの ですぐに出ることになった。だけど、何となくもう片方の出口から出てみた。 (その出口のほうに用があったからというのもあるのだけれど)『失礼しまし た』ってドアを閉めたとき、なんとなくユニ君のいたほうを見てみたらユニ君と 目が合った(気がする)。わーって感じで、また小走りであゆみちゃんのいる 教室に向かった。

調理実習の下準備をしているあゆみちゃんを待つ間、何でさっきユニ君のい るほうのドアから出なかったんだろうと何度も思った。もしかしたら『バイバ イ』って言えたかもなのに。のにのにのに!家に帰って、おとといから探して た去年愛用してたカーディガンが、コートに重なってたのを見つけた。なかな か見つからなくて半分諦めてたから嬉しかった。何だかイイコトありそう!

10月28日(月) くもり

 

ずっとメールをしていなかったのに、この何日か続けてユニ君とメールをし た。このままずっとメールできなかったらどうしようと思っていたけれど、気ま ずさもあまりなくて何だか安心。今日、ユニ君は試合だった。ネットに試合結 果の速報がでるのを待っていたんだけれど、なかなか出なかったのでユニ君 に聞くことにした。すぐに返信があって、負けたことを伝えてくれた。今まで放 課後、たくさん練習してきたユニ君を見てたから、試合前日も自信満々だっ たユニ君を知ってるから、そのことは私もすごく辛かった。こんなとき、ただ のクラスメートの私はどんな言葉をかけたらいいのかわからなかった。同じ スポーツをしていたのなら、もっと素敵なことばをかけてあげれたかもしれな い。彼女っていう存在なら、もっと優しいことばをかけてあげられたかもしれ ない。でも私は何でもないから"自信無くした。"って落ちこんでいるユニ君に ありきたりなことばをかけてあげることしかできなかった。

"そっかぁ。結果を残せなかったのは残念だけど、一生懸命できたんならい いと思うよ。自信なくさないで元気だしてね。これからもがんばってね。"

一生懸命自分の気持ちを伝えたはずだったのに、活字のことばは冷たく感じ た。この、もやもやした気持ち、伝わってほしい。メールって、難しいよ。

10月27日(日) くもり

 

朝、有ちゃんの机のところで漢文の再読文字を一生懸命頭に叩き込みながら ずっと廊下を見てた。来る人来る人、気になった。しばらくして、少し走りなが ら廊下を通ってくユニ君がいた。笑ってた。ユニ君はほんとにいつも笑顔だと 思う。私が教科書じゃなくぼーっと廊下を見ていたから、有ちゃんが私を見て ニタニタしてた。さっきユニ君が通ったことも、有ちゃんは気付いてると思う。 ふたりで笑った。何も言わなかったけど、笑った。

模試は学科ごとの、出席番号順。ユニ君とは違う教室で受ける。ユニ君と一 緒がよかったなぁって言うと、有ちゃんに『一緒だったらドキドキして模試どこ ろじゃないでしょ!』と笑われた。確かに、そうだなぁって思った。気になって しょうがないと思う。だけど、教室が違っても気になるものは気になった。休 み時間はなるだけ廊下に出るようにした。だけど今日ユニ君を見たのは、朝 の廊下を通っているところだけだった。

数学を受けない私はあゆみちゃんより一足先に街へ行った。雑貨を見るのが すき。本屋で雑誌を立ち読みをするのがすき。おしゃれな人の、服装を見る のもすき。歩くのも、すき。しばらくして、何分に着くよってあゆみちゃんから メールが入った。ゆっくり改札に向かう。改札で、誰かを待つのもすき。

たくさんプリクラを撮って、古着屋さんでパーカーを買って(お気に入り)、新 しくできた今までと違う感じの100円均一のお店に行って、Loftで小さなこ ぶたのシャーペン買って、本屋さんで気になってたマンガ買って、パウダービ ーンズの入ったクッションにふたりでキャーキャー言いながら埋もれてたら いつのまにか外は真っ暗になってて、帰ることにした。違う路線のあゆみちゃ んに、少し離れたホームからバイバイってするのもすき。

家に帰って、さっそく今日買ったパーカーを着てみて気に入ったのでそのま ま着ていることに(これが結構暖かい)。テレビを見て、模試のことをお母さん に伝えたりしていつもどおりに過ごしていたのだけれど、ふとサッカーの大会 のことが気になってネットで検索することにした。そしたら何だか明日が試合 の日みたいで、わーって思った。がんばってねってメールしたかったけど11 時前だった。遅いし、迷惑だって思った。だけど、どうしても伝えたくてしょう がなかった。伝えたい。携帯を何となく部屋の窓に向けて、送信ボタンを押し た。

"試合、明日なんだね!がんばってね!!"

見てくれるだけでいい。寝てたら、明日の朝見てくれるだけでいい。応援して ます。夏の総体みたく直接応援には行かないけれど、あのときと同じくらい応 援してるよ。まだユニ君の片想いを知らなかったあのとき。だけど、知ってし まった今でも応援する気持ちは変わってない。強くなったかもしれない。がん ばれ、がんばれユニ君。何だか素直にメールできたことに達成感を感じて、 これでゆっくり寝れるわなんて思っていたら、ユニ君専用の着信音が響き渡 った。鳴り止まないうちに、携帯を手に取った。

"まかせなさい"

笑ってしまった。"鳥取砂丘"のときみたく、笑った。自信満々のユニ君。カッ コイイ!!やっぱりすきだなぁって思う。ほんとに、思う。明日、ほんとにほんと にがんばってね。たくさん得点決めてね。がんばれユニ君!

10月26日(土) くもり

 

∴ 追 加 に っ き ∴

下の日記書いてから、ずっとずっとユニ君のこと考えてて、でもこのまま忘 れるなんて無理だって思った。気がついたら、手には携帯。学校では直接恥 ずかしくてなかなかお話できないけど、メールだったら言える。アネゴがこの 前、新聞に載ってた切りぬきをくれた。各高校のサッカー部の紹介。もうすぐ 大会みたい。大会があるって知ってるけど、"大会とか試合近いん?"って送 った。ユニ君は、迷惑なメールは無視する人。つまらなかったら、短くてそっ けないメールをする人。夏前からメールしてたら、分かってくる。目を閉じて、 返信が来るのを待った。待った、というか、祈った。

久しぶりに聞くfreebird。この音だけで、胸がいっぱいになる。そろそろ変 えようと思っていたけれど、メールしだしたころの思い出がいっぱい詰まって るから、やっぱり変えないでイイって思った。無視、しないでくれた。それだけ で嬉しかった。ゆっくり開いた。

"まぁね。今かなり頑張っとるよ"

わわ。絵文字だっ!しかも何だかがんばってるみたい。わー!久しぶりだっ たからなのかわからないけれど、すごくドキドキした。いつもドキドキしてたけ ど、何だか違う感じ。それから、少しだけメールをした。絵文字たくさん使って くれた。それで、私でメールを終わらせたつもりだったのに"おう!!"って最後 に言ってくれた。久しぶりに出た。ユニ君の"おう!!"。ひゃー!

試合がんばってねって言えた。どこと戦うのかとか、聞きたいこと聞けたし教 えてくれた。少しのメール交わすだけでもっとすきになっちゃうこと、絵文字 使ってくれるだけでこんなに嬉しいこと、ユニ君は知ってるのかな。嬉しくて 嬉しくて、すぐにうめさんに報告した。それからたくさんメールして、うめさん が最後に"おう!!(みよっしい風)また明日"ってしてくれて、笑った。

そのあと、ユニ君が前にすきって言ってた曲を今もリピートでかけてる。
♪簡単に自分を責めたり 自信をなくさないで〜
ユニ君がすきって言ってた曲に、今、すごく支えられてる気がするよ。この曲 を教えてくれて、ありがとう。

ユニ君が誰を好きでも、わたしはユニ君がすき。

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私がすきになったのは、ユニ君の笑顔。口をいっぱい広げて、目が細くなっ て、こっちまで幸せになっちゃうくらいの大きな笑顔。暖かい笑顔。今日もユ ニ君は幸せいっぱいの笑顔をしてる。どうしたんだろ?何があったの?簿記 の成績が伸びない私でも、それくらいわかる。ユニ君の笑顔の理由。

日記を書いていなかった間、たくさんのことがあった。書いたら余計に悲しく なることばかり起こってた。昨日の夜なんか、そのことで頭がいっぱいになっ て、もう何も考えたくなくて、9時には布団をかぶってた。だけど、途中何度も 何度も目が覚めた。何回も夢を見た。そのどれもにユニ君が出てきた。もう 見たくなかった。忘れたくて寝たのに、夢もほんとも、一緒だった。ユニ君の 夢、会いたいときには全然会えなかったのに。

ユニ君は、すごくすごく素直だと思う。そんなに見つめてたら私じゃなくても ユニ君のすきな人、わかっちゃうよ。休み時間、横向きに座ってマンガ読んで るのも、潤さんの席の近くにいつもいることも、ぜんぶぜんぶ、理由があるん だよね。休み時間に、ユニ君の友達がユニ君とお話している内容も、わかっ ちゃうよ。ほんとに私がユニ君のことすきみたく、ユニ君も好きな子ちゃんの こと好きなんだなって思う。前にもわかってたはずなのに、その気持ち忘れ てた。自分のことばかり考えてた。応援しよるけんって、言ったのにね。

だけど、やっぱり私もユニ君のこときらいになれない。すごくすき。そうじのと き、ドアから入ってきたのがユニ君で、気付かないフリしたけどすごくドキド キしてて、躓きそうになった。教室のうしろでユニ君が好きな子ちゃんのお話 してるときだって、少し近かったからドキドキしてた。そんなこと、ユニ君は気 付いてもいないんだろうけれど。だけど、目をそらされたり、気まずい顔をさ れるのは嫌だから、もうすきじゃないフリをするよ。メールももう送らない。帰 りにグラウンドの前も通らない。廊下を通るときも、なるだけ普通にする。

だけど、私が初めて勇気を出した日に自分で聞くことができたユニ君の誕生 日には、もう1度だけ勇気を出して、自分で"おめでとう"って言いたい。

10月24日(木) 晴れ

 

走った。気持ちだけが先に先に行こうとして転びそうになった。靴箱のところ でキエちゃんを見つけた。『あー!ごっち!』って言いながらキエちゃんは走 っていった。階段のところでフッチーも走っていた。3人で笑いながら走った。 職員室のほうから先生たちがやって来る。鳩もっちに『ほら、速く速く!』って 言われて、鳩もっちを抜かしながらはーいと答える。滑り込んだ教室にはもう 先生がいて、でも何だかザワザワした雰囲気だったので、セーフだったかな と思う。ユニ君は遅刻寸前のとき、廊下をニカーって笑いながら走ってくる。 笑いたくなる気持ちもわかるなぁと思った。有ちゃんに『すごい息荒くなってる よ。笑』なんて言われながら横目でユニ君のほうを見る。朝から笑顔見れた。 久しぶりの、号令。声までもが大すきになってしまった気がする。

私が古典のとき、ユニ君は何の教科かわからないけれど古典の教室の前を 通って授業に向かう。私は同じ古典を選択しているタニミカと廊下にいた。 『教室の中、人めっちゃ多いねー。少なくなってから入ろ!』なんて言って、 廊下にいた。まだ半袖の人がいて、寒くないのかなぁなんてお話していたとき に背の高い、大きなリュックのユニ君が目の前を通っていった。そのリュック 目で追うの、慣れてしまった。私はいつもリュック見てばかりいるなって思っ た。後ろ姿ばかりだ。

古典が終わって教室に戻る。いちばんベランダ側にある自分のロッカーのと ころに行くと、ベランダを授業帰りのユニ君たちが通っていた。すごくびっくり した。目が合いそうになってすぐにそらして、特に用はなかったのだけれどロ ッカーを開けた。前にもこんなことあった気がする。そろそろいいかなって思 って立ち上がったら(私のロッカーは下段なのです)さっきと同じ場所にまだ ユニ君がいて、もうどうしようって感じだった。これ以上視界に入ってきてもら ったら、もっとすきになりそうで恐い。ユニ君が席に着くのを確認してから私 も席に着いた。

『今日はね、朝のSHRと帰りのSHRだけのために学校来たん。』というと有 ちゃんは笑ってた。同じ授業がないのは、寂しい。その間に好きな子ちゃんと たくさん進展があるんじゃって不安になる。同じことを言ったとき、菊さんは 『他の日に同じ授業があるだけええやん』と言ってくれた。そうだって思った。 帰りのSHRの今も、ずーっと右をみたらユニ君がいる。幸せだって思った。 そうじが始まるとき、最近ユニ君はしばらく教室に残ってることが多かったか ら教室のそうじの私はすごく嬉しかったのだけれど、今日は何だかすぐに廊 下へ出てしまった。あーあって思ってそうじ用具を取りに行くと、廊下の向こ うにユニ君の後ろ姿が見えて、わーって見惚れてたら振り向いた。かなり焦 った。慌てて目をそらす。そしたらユニ君が戻ってきてる感じで、ドキドキし た。ほうきを2本(上野ちゃんの分)持った私の後ろ通って、教室にいる潤さん のほうへ行ってた。ふー、緊張した。ユニ君と潤さんがまたそうじ場所向かい だしたから私の横にいたうめさんが『おっしゃ、バイバイって言お!』って言っ てくれたのだけれど私がまたわーわー言ってたらそのまま通り過ぎちゃった。 でも、『一瞬横目でチラっと見てたで!!』ってうめさんが言ってくれて嬉しかっ た。

教室のそうじ。みんながユニ君の誕生日プレゼントどうするかって考えてくれ た。『サッカーボールとかは?笑』って誰かが言った。同じサッカー部の池野 くんとかいるから、バレちゃうーって感じだったけれど、決めることでいっぱい いっぱいだった。もう冬になるんだし、タオルは合わない。だからといってマ フラーもどうかと思う。お菓子とか作るので良いかなぁ。みんなほんとたくさ ん考えてくれた。きっと同じそうじ場所だった男子みんなにバレちゃったけれ ど、すきなのは本当だから、いいやって思った。ほんとどうしよう。もうすぐな んだよなぁ。

帰り道。グラウンドにいるかなぁって思ったらいなくて、なぁんだって思ってた らグラウンドよりももっと近くの小さなスペースで練習してた。うわぁこれじゃ ぁ見てたらバレちゃう。しかも、自転車通の人しか通らない道だから駅まで歩 きの私がこの道通ってたらいかにも見るためみたいだーって思った。見るた めなのだけれど。そしたらその小さなスペースの前に誰かが来て、サッカー 部の人はみんなその人の周りに集まってた。みっちゃん先輩だ。みっちゃん 先輩はサッカー部と放送部をかけもちしていて、私の先輩でもある。『お。さ ようなら。』と振りかえってみっちゃん先輩が私とあゆみちゃんに言う。どわ ー、振り向かないで先輩って感じだった。ユニ君は、私がいつもどんな気持 ちでグラウンドが見えるこの道を通っているのか知らないんだろうなぁと思っ たら、なんだかくやしかった。すごく、ドキドキするんだよ。

10月21日(月) 曇り

 

5日前から解き始めた20日間完成の問題集を解きながら、ガタゴトと今にも 壊れそうな音をたてながら走る電車に揺られる。まだどこかペンキの匂いの する新しい駅に下りると、同じ部活の1年生のまこっちゃんが『先輩、こんに ちはー!!』とカワイイ笑顔をして走ってきた。どうやらまこっちゃんも英検2級 を受けるみたいで、この駅のおかげで近くなった学校までの道のりをふたり で"もうダメだー"って笑いながら歩いた。

検定の出来は前回よりも悪くなった気がして本当泣きそうだった。終わったあ と一斉に『やばいー』ってみんなで言った。みんなは冗談かもしれないけれど 私は本気だった。あぁほんとにどうしよう。帰り道、電車を待つ間あゆみちゃ んとプリクラを撮りに行った。開放感はあまりないけれど、何かがひとつやり とげるとすごく嬉しい。次の土曜にはまた模試があるけれど、それもがんばろ うと思う。

いつもの駅で下りると少しだけ雨が降っていた。傘は学校に置いてきたので そのまま自転車に乗ることにした。次の課題研究の面接で必要な資料を探す ために今日のうちに図書館へ行かなくてはいけない。そのときちょうど4時前 で、図書館は5時までだから家に帰らず直接行くことにした。左手で顔が濡 れるのを押さえながら走る。眉毛が!やっとのこさ図書館へ着く。入口の、外 とのギャップが好き。空気が止まる感じ。とても静かで、落ちついている。ロ ーファーが床に当たる音がする。"日本文学"の通路を探していると、誰かが 私に気付いてやって来た。朝倉先生だった。少しお話をして別れた。机のとこ ろには、色縁メガネのお姉さんや本を山積みにしている高校生、ウォークマ ンで音楽を聴きながらレポートか何かを仕上げている人、たくさんいた。とて も頭が良さそうに見える。こんな風に本を選んでいる私も何だか賢いように思 えてきて、何だかいい気分だった。図書館って不思議な気分になる。高1の 夏休みのときみたく、また通ってみようかなぁなんて思った。下がり気味の成 績も上がる気がしてきた。

帰りも相変わらず雨は降っていたけれど、あんまり気にならなかった。

10月20日(日) 曇りのち雨

 

いつもよりも少しだけ早く学校に着いた。自転車置き場から降りてきた菊さん と一緒に教室へ向かう。少し時間が違うだけで、こんなにも学校は静かなん だなぁと思った。私がいつも来るのは予鈴の少し前で、ザワザワしてる。教室 に入ってカバンを置く。もうちょっとだけ早く着たら、朝練見れたかな。2.3時 間目にある英語の宿題をしていると教室にあゆみちゃんが入ってきた。あゆ みちゃんは私の前の有ちゃんの席に座った。マンガを貸してあげた。今朝の 電車の時間がズレたことや、宿題のことでお話してたらあゆみちゃんが『あ。 来たよ!』ってさりげなく教えてくれた。私は誰が?とも聞かなかった。そっち の方向も見ずに、『ほんと?』って笑った。ユニ君が、来たんだ。いつも本鈴 ギリギリにやって来るのに、今日は早いんだなぁ。サッカー部の人たちと固ま って来てたから、やっぱり朝練だったんだ。

英語のプリントは終わらなかった。有ちゃんが友達からその解答をかしても らったみたいなので、私もそれを借りて授業中写すことにした。わっきーはず っと恐い先生だと思っていたけれど、本当はすごく優しく笑う先生。ホームス テイに一緒に行ってから印象が変わった。だけど口は悪くて"stranger" の訳を"変な人"と間違った子に『変な人はお前や!笑』なんて言う。先生が そんなことをいう度にみんな大笑いする。難しいことを言ったあとに、『今頭 が真っ白なやつ手ぇあげろ!』って言って、みんな手を挙げる。ほんとにおか しくて楽しい。思いっきり笑ってたら、ユニ君も笑ってて目が合いそうになっ た。(思いこみ)しばらくして、宿題のプリントの第1問目を私が答えることに なった。何といっても答えがあるから自信満々に答えた。そしたら『お前はほ んっとに俺の話聞いてないなー笑』って言われた。解答はあってるのに。ユ ニ君が同じ授業なときって、私いつも間違えてしまう気がする。古典とか生物 だったら得意なのに!恥ずかしいよー。授業の最後に解答が配られて、わっ きーがひとこと。『この解答のプリント、1問目はミスプリやからな!訂正しと け。』だって。私ってほんとに運がないかも。自力でしなかった罰だなぁ。

4時間目はLHR。今日ははねちのお誕生日会を兼ねて、みんなでお菓子を 食べたりハットリ君のビデオを見たり。(何だかすごく子どもっぽいけれど、 みんなの希望)席は班みたく机を合わす。だけど、そうしたらユニ君が好きな 子ちゃんと近くなっちゃうからほんとは嫌だった。ユニ君は何だか美濃くんと 笑ってた。ぐすん。私は係だから、昨日買ってきたお菓子をみんなに配る。 ユニ君の班のところのとき、サッポロポテトがたくさん出ちゃいそうで焦った。 もうドジなところは見せたくない!私はずっと席を立ってた。みんなテレビが 見やすいところに移動したり、見ない人はマンガを読み始めたりと自由な雰 囲気になった。そしたらそしたら。私の座る席があるところに、ユニ君と美濃 くんが移動してた。何だか半分くらいの男子が集まってた。私座れないじゃ ん!だけど、ほんの少しだけ嬉しかった。好きな子ちゃんとせっかく近かった のに、離れてた。進展がなくてよかった、なんて思ってしまった。

7時間目の前、ミカちゃんと教室の前でお話しながら横向いてた。そしたら直 接見たわけじゃないのだけれど、男子5人くらいが階段から上がってきてた。 別に誰かなぁとも気にしなかったから、そのままぼーっとしてて、(ほんとマヌ ケ面だったと思う)その人たちが通り過ぎてから私の真横通ったのがユニ君 だって気付いた。ミカちゃんに『わぁわぁー』って言葉にならない声で訴えた ら『・・おぉv』って言ってた。遠くなってくリュック見ながら、もう少しキリっとし た顔でいたらよかったと思った。そのあとの簿記の時間の席替えで、美濃く んの後ろになった。去年の冬は、この後ろ姿にほんとにドキドキしてたんだな って思った。何だか懐かしい思いでいっぱいになった。ドキドキはしなかっ た。あのころ本気になって簿記してた。ドキドキと一緒にその気持ちもしまっ てた。冬の検定に向けて、簿記、もう1度がんばろっと。

『マンガなんか読まんとー。今度見つけたら取り上げるからな!』って帰りの SHRでケンちゃんが言った。そのときちょうどユニ君はマンガ隠して読んで たみたいで、ニカーって笑ってた。そうじの時間、壁に寄りかかる。ユニ君が 教室の端っこで潤さんとお話してる。私はうめさんとお話しながら廊下へ行 く。そうじ用具入れへ行くときに、ユニ君たちの横を通ることになる。そんなの ゆっくり通れない!って思って用具入れの前にいる上野ちゃんのところへバ タバタ走った。ほうきを取って、教室へ入った。少しして、ユニ君たちはそうじ 場所へ行ってしまった。『なぁなぁ、ごっち何か最近ええ感じちゃうん?』って うめさんが言った。『最近、何かとうちらの周り出現しよるしさ。ほら、さっきも 教室残っとったし?あたし聞いてあげようか?』なんて言った。絶対絶対、そ んなことはないと思うのだけれど、私の思いこんでたことがうめさんも少しだ け思っててくれてて少しだけ嬉しかった。"最近何かとうちらの周りに出現し よる"こと。たまたまなんだろうけれど、ほんとにこれだけのことで勘違いをし てしまう。嬉しい。幸せな性格なのかもしれない。

チリトリを取りに行こうと廊下に出たら、菊さんが『ごっちぃ〜〜!!』って叫ん だ。窓の近くにいた。下を指差してた。見ると潤さんが見えて、もう少し窓に 近づくとユニ君もいた。どひゃーって感じだった。ありがとう菊さん。私がチリ トリを持ちながらスキップでもしそうな勢いで(してたかも)教室に入って『さっ き下におったのが見れた!』ってみんなに言ったら『ほらほら、ごっちがもう すぐ来るーって思って出てきたんじゃわ。笑 5.4.3.2.1 来たーッ☆』な んて変なユニ君の真似をしてくれた。『てか狙っとるて、絶対!』ってうめさん が言ったので恥ずかしくなって『ね、狙っとるのはうちやもん!笑』って叫ん だたらなんだかそのセリフのが恥ずかしくて、みんなに笑われた。みんなで ほうきとかを返しに行くときにさっきの窓から部室塔へ続く道を見てたら有ち ゃんが『青春やなー笑』って言った。ほんとに青春だって思った。

帰り道、今日もグラウンドの前を通る。近くじゃなくても、すぐにわかった。白 いTシャツ着てた。日にあたると、ほんとに茶色く見える髪。陸上部の杉ちゃ んにバイバイをした。私も杉ちゃんになりたい!って思った。ずーっと放課後 は運動場にいたいって思った。もう1回ユニ君のほうを見たら、サッカー部の 人たちがこっち(の方向)を見てた。『また"追っかけ"がこっち見よるぞー!』 とか言われてたらどうしよう。うめさんと言ってたことが本当になってほしいと 本当に思った。だけど、"思いこみ"のまま終わってしまうのが恐いから、もう 少し"思いこみ"のままがいいと思った。(何だか文が変)

10月18日(金) 晴れ

10月3日〜10月17日分のログ

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